北山宏光の主演舞台『THE NETHER(ネザー)』が、2019年10月から11月にかけて上演されることが決定した。本作は、人が「ネザー/NETHER」と呼ばれるインターネット上の仮想空間で膨大な時間を過ごすという近未来の世界を舞台に、「人の欲望の暴走」や「倫理の危うさ」といった普遍的な問題を描いた作品。2015年には、ローレンス・オリヴィエ賞で作品賞を含め4部門にノミネートされており、日本ではこれが初上演。
日本版の上演台本・演出を手掛けるのは、振り込め詐欺、原発事故、イラク戦争など、社会問題を題材にした作品に取り組み続けている瀬戸山美咲。瀬戸山は、本作の中で描かれている人間の欲望や犯罪倫理だけでなく、#MeToo運動やLGBTQといった性自認や性的指向に着目。主人公の性別を女性から、あえて性的なことに恐怖心や嫌悪感を抱く男性にすることで、本作を「男性vs女性」の構図に捉われない“人間と人間”の物語として再構築するという。
主演を務めるのは、Kis-My-Ft2の北山宏光。北山の舞台出演は、2017年の『あんちゃん』以来約2年ぶり。北山は、欲望渦巻くネット上の仮想空間を捜査する捜査官役を演じる。
共演には中村梅雀、シライケイタ、平田満。そして少女役として長谷川凜音と植原星空がWキャストで出演。
発表にあたり、上演台本・演出の瀬戸山と、出演者より北山、梅雀、シライ、平田より以下のコメントが届いた。
◆瀬戸山美咲(上演台本・演出)
人間は肉体と心を持つ限り、「満ち足りなさ」や「寂しさ」を感じてしまう・・・。この作品はインターネット上の犯罪をサスペンスフルに描きながら、そういった人間の普遍的な姿を描いています。また、テクノロジーと倫理、仮想空間での表現の自由など、今、私たちが直面している様々な問題が盛り込まれている戯曲です。とても刺激的なキャストが揃いました。みんなで化学反応を起こしながら、人間の本質に迫っていきたいと思います。
◆北山宏光(モリス役)
初めてお話をいただいた時、その世界感と内容に最初は戸惑いました。ただ台本を読みこんでいくと、これは現実でも起こりうる可能性もある話だし、社会的なメッセージが込められていて、非常に楽しみになってきました。表現するには、まだまだ未知数な部分もありますが、良いチャレンジになると思っています。共演者の方々も、大先輩ばかりで、生半可な気持ちでは到底、太刀打ちができないので、ちゃんとしがみつき、自分の中でも成長できる舞台にしたいです。
◆中村梅雀(ドイル役)
芸歴55年目にして、出演者が少人数のお芝居に出るのは初めてです。海外作家の作品も数えるほどしか出演していませんが、今回の「バーチャルと現実の世界を行き来する物語」がどんな舞台になるのか、今からとても楽しみです。立派な仕事をしても、家族が居ても、どうにもならない心の歪みや孤独を抱えてしまう人間の、デリケートでチャーミングな深層心理に迫るおもしろい作品です。ぜひ、たくさんの方々に観ていただきたいです。
◆シライケイタ(ウッドナット役)
命の根源や生きることの本質を問い、生きるって何だろうと感じさせるようなこの作品に、俳優として参加できることを、本当に嬉しく思います。最近は脚本や演出をする機会が多く、久々に出演のみに集中する作品になるので、とても楽しみにしています。今をときめく北山さんや大先輩方と共に、良い作品を作っていきたいと思います。
◆平田満(シムズ/パパ役)
このような視点の作品をあまり観たことがなかったので新鮮な気持ちで台本を読みました。仮想空間というのは、僕にはあまり馴染みのない世界ではありますが、この作品の世界観や人間関係を、どれだけリアルに感じられるものなのかがとても興味深く、その中でシムズという役にチャレンジできることにやりがいを感じています。キャストの皆さんや演出の瀬戸山さんと一緒になって、今まで観たことがない、やったことがない演劇になればいいなと思います。
【あらすじ】
インターネットが発達した近未来。
人々は「ネザー/NETHER」という仮想空間で膨大な時間を過ごしている。捜査官・モリス(北山)はネザーで行われる犯罪を取り締まっている。尋問室で、彼はシムズ(平田)という男と対峙していた。シムズには自分の管理する「ハイダウェイ」というエリアで子どもとの性行為を提供しているという疑惑があった。モリスはハイダウェイの顧客だったドイル(中村)という男の尋問も並行して進めていく。
また、モリスはハイダウェイに潜入捜査官・ウッドナット(シライ)を送り込んでいた。ウッドナットはそこでアイリス(長谷川/植原)という美しい少女と出会う――。
『THE NETHER』は、以下の日程で上演される。
【東京公演】2019年10月11日(金)~11月2日(土) 東京グローブ座
【大阪公演】2019年11月7日(木)~11月10日(日) 森ノ宮ピロティホール