KERA CROSS『フローズン・ビーチ』製作発表!KERA「無責任な立場で観客として楽しみたい」

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2019年7月12日(金)神奈川・杜のホールはしもと・ホールでのプレビュー公演を皮切りに、7月31日(水)より東京・シアタークリエにてKERA CROSS第一弾『フローズン・ビーチ』が上演される。その製作発表が5月13日(月)に行われ、出演の鈴木杏、ブルゾンちえみ、朝倉あき、シルビア・グラブと、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(作)、鈴木裕美(演出)が登壇した。

KERA CROSSとは、劇作家・演出家ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)の数々の戯曲の中から選りすぐりの名作を、才気溢れる演出家が異なる味わいで新たに創り上げるシアタークリエ連続上演シリーズ。

その第一弾として『フローズン・ビーチ』が選出され、人間群像を深く描き切ることで話題を呼んでいる鈴木裕美が演出を務めることとなった。同作は、1998年にKERAの作・演出で、劇団ナイロン100℃が初演した作品であり、第43回岸田國士戯曲賞を受賞。女性の心理を繊細に描く名手と言われるKERAの才能を世に知らしめた、ナイロン100℃初期の代表作である。

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自身の作品を他の演出家が上演するKERA CROSSについて、KERAは「過去にそういうお話をいただいたことはあるのですが、知らない人に触られるのはイヤと思ってずっと断ってきたんです(笑)。ですが信頼できる人だったら、むしろ楽しいかもしれないなという思いになりました。そういう年なのでしょうかね(笑)」と、はにかんだ。

さらに、今夏にKERA CROSSとしてさらに4本の発表が控えていると明かし「誰が演出するのか、ドキドキするじゃないですか。そんなことで、1本目は80年代からとても信頼している鈴木裕美さんに『フローズン・ビーチ』という自分にとっても記念になる作品をやっていただくことになりました」と語った。

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挨拶に立った鈴木裕美は「KERAさんとは本当に長いお付き合いで、KERAさんのお芝居をたくさん拝見しているのですが、そのたびに飲み屋で『KERAさんの本はKERAさんが演出するのが一番だよね』と申しておりました」と話し、あらためて「『フローズン・ビーチ』の演出のお話をいただいて、その魅力に転んだという感じです。今でも、KERAさんの本はKERAさんが演出するのが一番だと思っているところもあるのですが“本がおもしろいから、私がやってもおもしろい”という気持ちに切り替えています」とコメント。

配役はこの製作発表で初めての明らかになった。実は鈴木裕美の願いで、今まで配役を決めずに台本の読み合わせを重ね、つい先日に鈴木が役を決定したのだとか。

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千津役は、第24回読売演劇大賞最優秀女優賞を受賞し、演劇界を牽引する鈴木杏。本作への出演について「オリジナルキャストの女優さんたちは、とても大好きで尊敬している方々です。憧れてやまない人たちの伝説的な作品ですし、光栄であると同時に大きな挑戦だと感じています。この作品でしか出会えない4人だと思うので、とことん苦しんで、とことん楽しんで、私たちに見える新しい『フローズン・ビーチ』の景色を探していきたいです」と意気込んだ。

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市子役は、独特なメイクとファッション、そして「35億」のセイフで大ブレイクしたブルゾン。今作で女優として初舞台を踏むことについて「お話をいただいた時にシンプルにうれしく、ワクワクしました。でも、話を聞けば聞くほど、私でよかったんだろうか・・・と。生まれたての赤ちゃんに高級料理を食べさせるような『ありがたみが、お前は分かるのか?』という状況でして(笑)。すごく贅沢な環境にいさせてもらっています」と話すと「至らないところだらけなので、何も知らない状態でぶつかっていこうという気持ちで、しがみついてがんばっていこうと思います」と気を引き締めた。

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愛と萌の双子の姉妹の2役を演じるのは、TVドラマ『下町ロケット』の好演も記憶に新しく、映画・TV・舞台で活躍中の朝倉。「もともと舞台をやりたいという気持ちがあったので、その気持ちを爆発させることができるぞ、と嬉しい気持ちでいっぱいでした。自分自身をぶつけていって、何回も恥をかいて、そこからいろいろと自分の中で見つけられるものがたくさんあると思います。そう思うと、本当に楽しみです」と舞台に立つ喜びを語った。

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咲恵役は、ミュージカルでの活躍はもとより舞台・映像を問わず存在感を放つシルビア。「KERAさんの本も、裕美さんの演出を受けるのも、共演者のみなさんとも初めてなんです。この年になってくると、全員を知らない現場はというのは少なくなっていて、めちゃめちゃ緊張しているんですが、今回は歌がないので安堵しています(笑)」と笑いを誘いながらも「いくつになっても挑戦の場があるということが嬉しくて、その場を与えられたことがすごく幸せです」と打ち明けた。

キャスティングの意図について問われた鈴木裕美は「このチームがしゃべっているとワクワクするとか、この関係性とノリでこう組んだほうがおもしろそうだな、という思いで決めました。(舞台を見れば)みなさんも同意してくださると思います」と自信を見せた。また、現状での演出プランのイメージについては「自分の世界にその本を引き寄せるというよりも、その世界にお邪魔するほうが好きなんです。KERAさんの世界に、お客様を上手にお招きできればと思っています」と説明した。

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それぞれの役柄について、鈴木杏は「一見強いように見えるんですけど、実はとても弱い人。でも、そこがとても人間らしいですし、等身大の女の子だなと思います」。ブルゾンは「私のネタや素の部分からしても、ちょっと遠いような感じがしました。そこに近づくためにはかなりの努力が必要だと思っています」。

朝倉は「愛と萌はどこかズレている部分があるのですが、他の役の中では意外とまともな感じがしています(笑)。でも、それがすごく難しくもあり、おもしろくもあると感じています」、シルビアは「もしかして一番楽観的な役柄かもしれません。みなさんほど多い悩みを重たく考えていない役柄なので、その空気感を作らなきゃなと思っています」とコメントした。

1980年代から16年のスパンで2003年に終わる芝居である本作。今の時代に上演することについて、KERAは「初演時も再演時も2003年を未来のこととして書いていました。今となってはずいぶん昔の話で、だいぶ見え方も変わると思うんです。当時、書いたときの時事ネタみたいなものは、今書いたときみたいに笑えないと思うんですけど、初演された時に、こういうことで笑っていたんだなと笑ってもらってもかまいません。自分でもどうなるか非常に無責任な立場で観客として楽しみたいです」と期待を寄せた。

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「KERA CROSS」第一弾『フローズン・ビーチ』の公演詳細は以下のとおり。東京公演のチケットは、5月18日(土)より一般発売開始。

【神奈川・橋本プレビュー公演】7月12日(金)~7月14日(日) 杜のホールはしもと・ホール
【新潟公演】7月25日(木) 長岡市立劇場 大ホール
【福島公演】7月28日(日) いわき芸術文化交流館アリオス 大ホール
【東京公演】7月31日(水)~8月11日(日) シアタークリエ
【大阪公演】8月16日(金)~8月18日(日) 大阪・サンケイホールブリーゼ
【静岡公演】8月21日(水) 静岡市清水文化会館マリナート
【愛知公演】8月23日(金) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
【高知公演】8月28日(水) 須崎市立市民文化会館 大ホール
【高松公演】8月31日(土) レクザムホール(香川県県民ホール)小ホール

【公式HP】https://www.keracross.com

(取材・文・撮影/櫻井宏充)

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この記事を書いた人

演劇、海外ドラマ、映画、音楽などをマルチに扱うエンタメライター。エンタステージ立ち上げからライターとして参加し、小劇場から大劇場のストレートプレイにミュージカル、2.5次元、海外戯曲など幅広いジャンルにおいて演劇作品の魅力を日々お伝えしています!

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