1998年のスタート以来、芸術監督蜷川幸雄のもとで、国内外に次々と話題作を発表してきたシェイクスピア全37戯曲の完全上演を目指す彩の国シェイクスピア・シリーズ。その第35弾にあたる『ヘンリー八世』が2020年2月に上演されることが明らかになった。
歴史劇『ヘンリー八世』は歴史劇には珍しく戦争の描写がなく、舞踏会や戴冠行列、エリザベス女王洗礼の祝賀など、ヘンリー八世時代の華やかな一面が物語に反映されている作品。
【あらすじ】
英国王ヘンリー八世の宮殿では、ウルジー枢機卿が勢力を強めている。国王の寵愛を受けながら、出世のために策略をめぐらし高慢なウルジーは公爵たちの非難の的になっている。そんな中、学識高く才能をもつバッキンガム公が、ウルジーの陰謀によって裁判にかけられ、冤罪により死刑となった。ある晩、王はウルジー邸の晩餐会で王妃に仕える女官アン・ブリンに心奪われる。王は王妃キャサリンとの結婚を無効にしようと離婚裁判を起こすが、キャサリンは自身の敵であるウルジーが審判する裁判への出頭を拒否、ウルジーもまた自分の得にならない離婚裁判の延期を謀るが・・・。
ヘンリー八世をめぐる英国王家のスキャンダルと、その裏に交錯する欲望と謀略、熾烈な地位争いを吉田鋼太郎演出と阿部寛主演で蘇らせる。上演決定に伴い、二人からコメントが届いている。
◆吉田鋼太郎(演出・出演) ※写真は2012年上演『シンベリン』より
「英国王室史上、 最もスキャンダラスな王」と言われるヘンリー八世。政権の為に容赦なく配下を切り捨て、離婚を繰り返すエネルギーは特筆に値し、現代に通じる姿であると思います。 大変魅力的なキャラクターです。ともすれば、良き夫、良き父、良き上司のイメージを持たれがちな阿部さんに、悪の魅力、負のエネルギー、そして、思いきりスキャンダラスでセクシーな王を演じて欲しいと思っています。
◆阿部寛(ヘンリー八世役) ※写真は2014年上演『ジュリアス・シーザー』より
蜷川さんがお亡くなりになって、3年が経とうとしています。ヘンリー八世を吉田鋼太郎さん演出で演じさせていただくということは、大変大きな役割を僕もいただけたと思っています。また、彩の国さいたま芸術劇場でシェイクスピアの熱い日々を送れること、今から楽しみにしています。2020年劇場でお会いしましょう。
彩の国シェイクスピア・シリーズ第35弾『ヘンリー八世』は2020年2月上演予定。
【公式HP】https://www.saf.or.jp/
(『シンベリン』撮影/渡部孝弘 『ジュリアス・シーザー』撮影/引地信彦)