舞台 彩の国シェイクスピア・シリーズ第35弾『ヘンリー八世』が、2020年2月14日(金)に埼玉・彩の国さいたま芸術劇場で開幕した。本作は、1998年のスタート以来、芸術監督蜷川幸雄のもとで、国内外に次々と話題作を発表してきたシェイクスピア全37戯曲の完全上演を目指す彩の国シェイクスピア・シリーズの1作であり、2017年12月にシリーズ2代目芸術監督に就任した俳優・吉田鋼太郎が演出する3作目。
16世紀イギリスの史実をもとにした歴史劇だが、時代物としての体裁にはこだわらない吉田の演出にも注目だ。華やかな英国王宮を舞台に王をめぐるスキャンダルと、その裏に交錯する欲望と謀略、熾烈な地位争いが、シェイクスピアに造詣の深い吉田ならではの手腕で、現代社会にも読み替えられる権力闘争、栄枯盛衰を今の観客へもリアルに届くよう創り上げられた。
ヘンリー八世役には、本シリーズの『シンベリン』『ジュリアス・シーザー』にも主演した阿部寛。約5年ぶりの舞台出演となる阿部が、絶対的存在感で「英国王室史上、最もスキャンダラスな王」を演じる。共演は吉田のほか、舞台初挑戦となる金子大地、宮本裕子、山谷花純、谷田歩、河内大和など。
以下、吉田と阿部のコメントを紹介。
◆吉田鋼太郎(演出・枢機卿ウルジー役)
『ヘンリー八世』は皆さんに馴染みのない、シェイクスピアの最晩年の戯曲です。芝居の構造はしっかり作ると共に、蜷川幸雄さんから続く彩の国シェイクスピア・シリーズにはエンターテイメントの要素を盛り込むことも重要。構造を作りながら、どうやっておもしろくみせるかという兼ね合いに時間をかけ、 いつもより2割、3割増しに長い稽古時間をとりました。丹念に稽古した甲斐あって、主演の阿部寛さん然り、初舞台の金子大地くんもしっかり理解して、自分の中に取り入れてくれました。僕の目指したものが役者さんたちにも伝わっていて、非常におもしろい芝居になったと確信しています。シェイクスピアは言葉の芝居。お客様に言葉をきちんと伝えないと成立しない芝居ですが、役者たちは明晰に台詞をしゃべり、さらにそこに感情を乗せるということができた。目指していた理想的なシェイクスピア上演の形が出来たと思います。
◆阿部寛(ヘンリー八世役)
これまでみんなで一所懸命に稽古をしてきて、ようやくお客様の前で演じることができます。劇場に入ったお客様の反応をはやく感じたい。全体像を共有できるのが楽しみです。
【あらすじ】
舞台は英国王宮。
ヘンリー八世(阿部)の寵愛を受け、出世のために策略をめぐらす高慢な枢機卿ウルジー(吉田)は公爵たちの非難の的になっている。ある晩、ウルジーが催す晩餐会で王は王妃キャサリンに仕える女官アン・ブリンに心を奪われる。王は王妃との結婚を無効にしようと離婚裁判を起こすが、宗教や複雑な国際問題が絡み、歴史的な問題へと展開していく――。
彩の国シェイクスピア・シリーズ第35弾 『ヘンリー八世』は、以下の日程で上演。上演時間は、1幕1時間30分、休憩15分、2幕1時間35分の計3時間20分を予定。
当日券情報:https://horipro-stage.jp/today/
【埼玉公演】2月14日(金)~3月1日(日) 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
【北九州公演】3月14日(土)・3月15日(日) 北九州芸術劇場 大ホール
【大阪公演】3月19日(木)~3月22日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
【公演詳細】https://horipro-stage.jp/stage/henry82020/
【公式Twitter】@Shakespeare_sss
(撮影/渡部孝弘)