福岡県出身の俳優・作家・演出家の入江雅人が、福岡出身の強烈な役者たちによる本当の福岡弁で、青春の終わりをセンチメンタルタッチに描く、というコンセプトで書き下ろした新作『帰郷』が2019年1月に上演されることが明らかになった。
本作は入江と池田成志が、20年も前からあたためていた笑いと涙で綴る、男たちの切なすぎる青春ストーリー。出演者には入江、池田のほか、田口浩正、坂田聡、尾方宣久、岡本麗ら福岡にゆかりある名前が連なっている。さらには、チラシ・ポスターのイラストを、福岡出身の松尾スズキが担当している。
【あらすじ】
1980年、福岡。真夏の暑い夜。しげお、向井、香月、長崎、竜彦の5人は、学校のはずれの部室で秋の文化祭で上映するホラー映画を撮影していた。そこで彼らが体験する不思議な出来事とは? 2021年、日本中が、ゾンビパニックに見舞われる。東京で暮らす向井と竜彦、地元に残ったしげお、香月、長崎、かつての仲間たちにも運命の時が迫っていた。夏の終わり。帰郷した向井は、しげおの家を訪ねる。友の願いを叶えるため、青春に終わりを告げるために。「しげちゃん、ドライヴ行くばい・・・ドライヴ」そして車は走り出す。あの海に落ちる夕日を見るために・・・。
上演に先駆け、劇団☆新感線の主宰・演出家であるいのうえひでのりからコメントが届いている。
◆いのうえひでのり
傑作だと思いますネ、コレは!イリポン。ゾンビもののフォーマットを持ちながらの70年代後半、ティーンエイジャーだった北九州のボンクラボーイズ達の青春の終焉の物語。いやあ泣けます。馬鹿なボンクラたちに「あー、あるある」と共感しつつ、ゲラゲラ笑っちゃいます。しかもちゃんとゾンビもののスリリングさや不気味さも押さえてある。イリポンの、ゾンビ愛・映画愛・芝居愛・ロック愛・地元愛、そして人間愛に溢れたまさに渾身の作品だと思いました。
これは、イリポンの『グレート一人芝居』の中で、たびたび上演され続けてきた泣ける名作として評判の『帰郷』を、登場人物・エピソードを膨らませ、いわゆるお芝居(一人芝居じゃなくて)として立ち上げたモノ。一人芝居の時から、映像的だなぁとは思っていましたけど、この新しいバージョンで益々映画を感じさせる台本だと思いました。今回の上演も楽しみですが、いつかコレ、映像作品として見てみたい。そんな気持ちになる作品でした。
いやあ、でも参加したかったですネェ、正直言って。あれは『レッツゴー!忍法帖』の後だったから、もう十数年前だと思いますが、イリポンから「福岡県出身の演劇人を集めてゾンビものの芝居をやりたい」と、「いのうえさんもやりませんか?」と声をかけて頂いた事があるんですよ。あれから十数年経って、こうやってちゃんと企画が生きていて、公演されるってホント凄い事ですよ。イリポンの執念というか、お芝居に対する熱い思いに改めて拍手を送ります。
でも、やっぱ、これはイリポン演出の方が絶対正解だと思うしなあ。参加できていたとしても演助とか?でも、色々せからしい役者ばっかりやし、まぁ、客で良かったのか。ウン。とにかく、この冬、もっとも楽しみなお芝居であることは間違いありません。
舞台「帰郷」は、2019年1月25日(金)から2月3日(日)まで東京・俳優座劇場にて、2019年2月8日(金)から2月10日(日)まで福岡・イズムホールにて上演される。チケットは9月下旬より先行発売予定。