2018年7月26日(木)に東京・俳優座劇場にて『GRIEF7』が開幕した。本作は、「竹久夢二のすべて」や「猫と裁判」などで知られる野村桔梗が“七つの大罪”を元に書いた原作を、三浦香の脚本、錦織一清の演出で舞台作品に仕上げたもの。初日前には公開ゲネプロと囲み会見が行われ、錦織に加え、出演するカラム、碕理人、SHUN(Beat Buddy Boi)、三浦海里、加藤良輔、米原幸佑、JUSTCREWの今井稜、矢内康洋が登壇した。
本作で描かれるのは、牢獄で出会った男たちの、7つの物語。アメリカ・ロサンゼルス近郊の刑務所を舞台に、人間の“闇”に光を当てる。
まず、錦織は「初日が開いたら、演出家ははいらない人間になるんですけど(笑)。ゲネプロを観て、皆さんにちゃんとバトンを渡せたかなと感じています。荒削りな部分もありますが、それも僕の好きなところですし、お客さんの前で、さらにすくすくと育つ作品なんじゃないかと思います」と期待を寄せた。
刑務所の新米看守・ムラセ役を演じる三浦海里は「僕は、一度板の上に出れば緊張しないタイプなんですが、この作品はずっと緊張しっぱなしなんです」と心境を明かす。さらに「顔が弱そうに見えるので、衣裳に肩パットを入れてもらったんですけど・・・」と告白し笑いを誘いつつ、「肩パットに頼らなくてもいいような男になれるよう、がんばりたいます」と目標を掲げた。
IQ250の天才ハッカーで、刑務所に拘束されている囚人・サム役のSHUNは、稽古について「あっという間の1ヶ月でした」と振り返る。さらに「皆で一緒に作り上げてきた作品なので、愛情があります。来ていただくお客様にも、この作品を愛してもらえるように全力で挑みたいと思います!世界一のミュージカルと(記事に)書いてください(笑)」とアピール。
そして、とある事情で過食症と拒食症を併発している囚人・グニョン役の碕は「お話自体はすごく重たいんですが、錦織さんの演出で、笑いやダンスや歌が入っていたりと極上のエンターテインメントになっているなと。そして、このメンバーだからこそできる作品だと思います」と自信を見せた。
心理カウンセラー、元外科医の囚人・ライタ・カワイ役の加藤は「緊張感のある雰囲気ですが、皆でつないで、ラストまでいけたらいいなと思います」、アメリカで寿司屋を営むエディ・フクダ役の米原も「素晴らしいスタッフ陣が集結しているので、それに恥じないパフォーマンスで、キャスト一同がんばっていこうと思います」とコメント。
最後に、物語の中心を担うカラムは「言葉の壁を感じることもあったけれど、皆さんにいろいろと助けをもらいました。こんな素敵なミュージカルに出演することができて、とても嬉しいです」と、胸を張る。
演じるのは、元5人組トップアイドルX-BOYSのメンバーで脱退後に単身渡米、ある事件の容疑で逮捕されるリュウ役。「今までいろんな舞台をやってきましたが、一番自信のある作品になりそう。早く、たくさんのお客さんにお見せしたいなという気持ちでいっぱいです。皆で力を合わせてがんばりたいと思います」と、晴れやかな笑顔を浮かべた。
刑務所で出会った男たち。極限の状態の中で、少しずつ心を通わせはじめた男たちの会話から、少しずつ彼らの背負った罪が見えてくる・・・。三浦香の脚本には、余白があると感じる。その余白に、いつも、仄暗い穴の中を覗き込んでいるような感覚が呼び起こされる。そこに光を当てる、錦織のエンターテインメントに長けた演出。新たな出会いが、作品の陰影を深めているように感じた。三浦香作品に親しんできた方には、知っているけれど新しい、そんな作品になっているのではないだろうか。
カラムの迫力のある歌声、SHUNのラップは、魅力的な楽曲の数々をさらに聴き応えのあるものに。安定感のある碕・加藤・米原も、その表情の先もうちょっと観たい・・・と思わせるような、謎を含んだ登場人物たちを立体的に見せてくれた。そして、最年少の三浦海里は、これまでにない硬質で複雑な役に挑んでいる。役として、役者として、変化していく若き才能から目が離せない。
華やかさに目を奪われる高揚感、垣間見える人間の暗部・・・極上の闇のエンターテインメントに浸れる作品だ。
『GRIEF7』は、7月26日(木)から7月31日(火)まで東京・俳優座劇場にて上演。上演時間は約100分を予定。なお、本作のDVDとCDが、発売されることも決定した。詳細は、以下のとおり。
◆『GRIEF7』DVD
【発売日】2019年1月30日(水)予定
【収録内容】本編(7月27日公演)、特典映像(メイキング映像)※予定
【価格】6,500円+税
◆『GRIEF7』CD
【発売日】2019年1月30日(水)予定
【収録内容】作品で登場した歌を完全収録
【価格】4,500円+税
【公式HP】https://www.clie.asia/g7/
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(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)