2018年7月23日(月)に東京・IHIステージアラウンド東京にて開幕した新感線☆RS『メタルマクベス』disc1。作を宮藤官九郎、演出をいのうえひでのりが手がける本作は、2006年以来の上演。「disc1」「disc2」「disc3」3つのカンパニーが組まれ、「disc1」には元劇団メンバーであり、21年ぶりの新感線作品出演となる橋本さとし、新感線初参加となる濱田めぐみ、2度目の出演となる西岡徳馬らが出演している。
初日前日に行われた囲み会見には、橋本、濱田、西岡が登壇。ランダムスター役の橋本は、久しぶりの新感線参加について「稽古がすごく楽しくて、自分が自分でいられるホームに帰ってきたような気持ちになりました。早くお客様の前に立ちたい、でも、もっと稽古をしていたい。矛盾してますよね(笑)」と、生き生きと表情を輝かせた。
ランダムスター夫人役の濱田は「とにかくエネルギーがすごい!“新感線の新幹線”に乗ってるみたい(笑)。とにかく乗って、乗ってからその後を考えよう!みたいな感じでした」と、初参加の醍醐味を味わっているようだ。
西岡は、初演の『メタルマクベス』を観ていたそうで、「それで『俺も新感線出てみたい』と思ったんですよ。本当におもしろかったので。劇場は違いますけど、負けないようにがんばりたいですね」と意欲を燃やす。一方、初めて体感する客席が回転する劇場については「迷っちゃうんだよ(笑)」と苦笑い(舞台裏では、「上手」「下手」ではなく、東西南北で位置を把握しているそう)。
橋本と濵田の衣裳は、メタルテイストでパンチが効いている上にセクシーさ全開だ。「お色気でいこうかな」という橋本は「(胸元を)もっと開けてくださいと、ギリギリを狙いました。もしかしたらポロリもあるかも(笑)」とニヤリ。濵田の衣裳については「めぐちゃん、意外と・・・って、目のやり場に困っちゃうんだよね」とこぼしていたが、濱田は「大丈夫、大丈夫!すぐに見慣れますから~」と、度量の大きなコメントで返していた。
最後に、橋本は「disc2、disc3がなかなか超えられないような高いボーダーラインを残していったろかなと!かなりエネルギッシュなステージになっていますので、お客様も夏バテせず、来てもらえたらなと。僕らも毎公演ベストな状態でお届けしたいと、気合い十分ですので、ぜひ楽しみにいらしてください」と呼びかけた。
「disc1」には、このほか、松下優也、山口馬木也、猫背椿、粟根まこと、植本純米、橋本じゅん、西岡德馬、山本カナコ、礒野慎吾、吉田メタル、村木仁、冠徹弥、富川一人、小沢道成らが出演。
西暦2218年―。戦争により荒野と化した世界で、フェンダー国、ギブソン国、新興勢力のESP国が争いを繰り返していた。ESP国が誇る無敵の将軍ランダムスター(橋本さとし)が、戦いを終え盟友エクスプローラー(橋本じゅん)と共にESP国のレスポール王(西岡)の元へと急ぐ前に、突如3人の魔女(猫背、植本、山本)が現れる。
ランダムスターに向かって、なぜか“マクベス”と呼びかける3人は「あなたはマホガニーに領主となり、いずれは王になる」と予言めいた言葉と共に、1980年代に活躍したヘビーメタルバンド“メタルマクベス”のデビューアルバムを手渡すのだった。
国に戻ると、魔女の予言どおりのことが待ち受けていた。ランダムスターがそれを愛する妻(濱田)に打ち明けると、妻は魔女の予言を現実にしてしまおうと夫をたきつける。手に入れた新たな城で開いた宴に、王とその息子レスポールJr.(松下)マグダフ(山口)ら友人を招いた夜、計画を実行する夫妻だったが・・・。
演出面では、『髑髏城の七人』での経験がいかんなく発揮され、劇場の機構が駆使されている。右に左に回転する客席に、だんだんと感覚が麻痺していき、舞台の世界の中に吸い込まれていくようだ。また、ステージ上では実際にランダムスター、エクスプローラーたちがバイクで走り回り、一段と疾走感のある場面が作り出されている。
そして、こんな橋本さとしが観たかった!生バンドの演奏に乗せて、シャウトをぶちかます圧倒的歌唱力。まるでロックライブの会場のような感覚に、興奮が身体の奥から湧き上がってくる。そして、ミュージカル界の歌姫・濱田も、野心に満ちた迫力の歌声で新感線という新境地へと足を踏み入れた。破滅へと突き進むランダムスター夫妻の運命を、この夏二人が駆け抜ける。
ONWARD presents 新感線☆RS『メタルマクベス』disc1 Produced by TBSは、8月31日(金)まで東京・IHIステージアラウンド東京にて上演。上演時間は約3時間55分(1幕:1時間55分、休憩:20分、2幕:1時間40分)。
なお、8月9日(木)の12:30公演と18:00公演では、全国各地の映画館でライブビューイングが開催される。詳細は、公式HPにてご確認を。
※西岡徳馬の「徳」は旧字が正式表記
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)