ジャニーズJr.内ユニット「SixTONES」の京本大我が初主演するPunk Fantasy『BOSS CAT~シャルル・ペロー「長靴をはいた猫」より~が、2018年7月6日(金)に開幕した。出演は、京本のほか、中山祐一朗(阿佐ヶ谷スパイダース)、高田翔(ジャニーズJr.)、細見大輔、平野潤也(演劇集団円)。初日前日には公開ゲネプロと囲み会見が行われた。
“長靴をはいた猫”役の京本は、全身ショッキングピンクのスーツ姿で登場。「スタイリッシュでありながら、ちょっとパンクな弾ける猫。目元にラインストーンが入っているんです。カラコンはしたことがないので怖い、と話したらこうなりました」。客席から見ると、目元が時々キラリと光って猫らしさが出ることを意識している。
演じる役については「猫が這い上がっていく物語。(中山)祐一朗さんが演じる次男を利用しながら、一緒にのし上がっていく。自由気ままな猫です」とコメント。舞台上ではさりげなく猫らしい動きを入れ、しなやかでしたたかな猫を表現した。
中山は、3人兄弟の次男役で「猫に操られるがまま階段をのぼっていきます」とのこと。中山のとぼけたキャラクターが、京本演じる賢い猫と対照的で良いコンビになっている。
細見は、会見には黒のスーツで現れたが「猫にいいようにされる王様と、3人兄弟の長男を演じます」と2役あることを発表。舞台上では、全身きらびやかな王様もコミカルに演じている。平野は3役を演じる。「3兄弟の三男と、王様に使える執事と、オーガという抽象的な役です」と、登場のたびに衣装をガラリと変え、別人のようだ。
また高田は、使用人や兎を演じるほか、今回の舞台で女装に初挑戦。「姫を演じます。カツラもつけマツゲもしています。めっちゃかわいいですよ。役が決まった瞬間にスネ毛も剃りました!寝る前に美白クリームも塗っています」とアピール。
そんな高田について、細見は「かわいいです。でも、客席で見るぐらいでちょうどいいと思います。近くだとちょっと・・・(笑)」と苦笑い。京本も「向かい合うことが多いんですが、日によっては本当に美人です。日本的な美人かどうかは・・・(笑)」と評価した。
高田本人は「所作は、宝塚を見て勉強したりしました」と、かなり研究熱心な様子。個人的には「アンジェリーナ・ジョリーみたいなクールビューティー」をイメージしているとか。京本は「タイプではないけれど癖になる」と言いつつ、「お客さんにはあまり姫に惑わされずに物語をお聞きいただきたいです」と希望した。高田の姫役以外にも、それぞれが衣装を着替えて視覚的に鮮やかになっていくので、その変化も楽しめる。
京本は座組みの中で最年少、しかも初主演で、初ストレートプレイ。「主演という感覚はなく、いつもと同じ・・・でも、ちょっとプレッシャーもあります。苦しみながら楽しんでいます」と明かした。高田に「台詞覚えが一番早かった」と褒められたが、「ちゃんと準備をしないと遅れをとるなと台詞を覚えていったけれど、皆さんの演技力の安定感についていくので必死でした」と謙虚な姿勢。本番までに通し稽古を13回行ったらしく「いつも通りやれば大丈夫」と終始、丁寧で誠実に会見に応じた。
本作は、父親を亡くした3兄弟がそれぞれ、会社と、貯金や株などの動産と、猫を相続するところから始まる。ヨーロッパの民話をフランスの詩人シャルル・ペローが童話出版したものを下敷きに、演出の鈴木勝秀がオリジナル脚本に書き上げた。原作を知らない人も物語の世界に入り込める工夫が散りばめられている。
猫(京本)を相続したのは、優柔不断で働くのが苦手な次男(中山)。実はこの猫は稀代の大悪党で、王様相手に前代未聞の詐欺を働こうとするのだった。不安がる次男に、猫は言葉を変えながら何度も不敵に微笑む。
「私に任せておけば大丈夫です」、と。
少女アリスが白兎に誘われ不思議の国を訪れたように、京本演じる“猫”が、観客を風変わりな寓話の世界に連れていく。気品があって、頭が良くて、どこか秘密を隠しているようなダークさを纏う猫。ここは一つ、彼の言うとおりすべて任せてみよう。すると、気づかぬうちにこの優雅な猫に騙され・・・夢を見せられているかもしれない。
Punk Fantasy『BOSS CAT』~シャルル・ペロー「長靴をはいた猫」より~は、7月6日(金)から7月8日(日)まで東京・よみうり大手町ホールにて、7月19日(木)から7月22日(日)まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演。
【公式HP】http://www.bosscat-stage.com/
【公式Twitter】@BOSSCAT_st
(取材・文・撮影/河野桃子)