長塚圭史演出『セールスマンの死』に風間杜夫、片平なぎさらが集結

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KAAT神奈川芸術劇場(以下KAAT)の2018年度ラインナップ発表で、上演が明らかになっていた『セールスマンの死』の出演者が発表された。本作は、アメリカ現代演劇の旗手アーサー・ミラーの戯曲。家庭の崩壊、若者の挫折感など、第二次世界大戦後「アメリカン・ドリーム」に影を落とした人間疎外、そして平凡なアメリカ市民の夢と挫折を鋭く描き、1949年に初演されトニー賞ベスト・プレイ賞、ニューヨーク劇評家賞、ピューリッツァー賞などを受賞した。

今回、演出を手掛けるのは長塚圭史。長塚がKAATで演出を手掛けるのは、これで2作目となる。KAATの芸術監督である白井晃より「経験も実績もある長塚さんには、近代戯曲の素晴らしいものを現代的な視点で創り直してほしい」とオファーを受けた長塚は「これほどに素晴らしい戯曲を読むことはなかなかない。しっかり向き合って、今の時代にどう響くのか、ということを考えていきたい」と応え、今回の上演が実現した。

出演者にも、風間杜夫、片平なぎさ、山内圭哉、菅原永二、伊達暁、加藤啓、大谷亮介、村田雄浩といった個性と実力を兼ね備えた俳優陣が集結。

出演者発表にあたり、長塚、風間、片平よりコメントが届いている。

◆長塚圭史(演出)
恐ろしい戯曲です。演出する余地などほとんど許されていないようでいて、どこまでも自由に飛び回れるような余白もある。いつかこれだけの戯曲と向き合える日があったら幸い、とほとんど夢見るような心持ちでおりましたが、まさかこうして本当に実現することになろうとは。『LAST SHOW』と『マクベス』で風間杜夫さんとご一緒したことは、私の劇人生において最も貴重な経験となっています。その風間さんがウィリー・ローマンを引き受けてくれたことによって、扉は開かれました。
或るありふれた男の、理想を抱いた父親の、そして愛すべき夫の生涯と彼の家族の心象が見事に描かれた戯曲です。ウィリー・ローマンは目まぐるしく進歩する世界の中で何を見たのか。「生きる」ということをじっとりと深く見つめたこの作品を、ずっとご一緒したいと願っていた片平なぎささんをはじめ、素晴らしいキャスト・スタッフと共に上演出来ることに、いや、でもやっぱり恐怖と、それでいて途轍もない期待に胸が膨らむばかりなのです。

◆風間杜夫(ウィリー・ローマン役)
この作品が世に生まれたのは1949年。僕と同い年である。以来、現代社会の普遍的問題を内包した話題作として重ねて上演され、日本でも印象的な公演実績を残している。その評判は耳にしたが、観る機会を逃していた。今、台本を手にすると、俺もこんな深い役をやる年齢に達したのかと、あらためて思う。僕はセールスマンの経験を持たないが、時を刻むように急ぎ足で役者稼業を続けてきたことを振り返ると、生き方はそれ程遠いものではないかもしれない。役者としての力量だけではなく人間そのものが問われる時に来たような気がして、いささか身が震える。いや、信頼できる演出家と楽しい共演者が一緒だ。同じ時間を生きたこの作品に、僕のすべてをゆだねてみよう。

◆片平なぎさ(妻/リンダ・ローマン役)
数少ない舞台経験の中でも翻訳劇は2作品目となる『サラリーマンの死』。不安と期待にもうソワソワザワザワ。どうにも落ち着かない自分がいます。
誰からも必要とされなくなった老いた夫、追い詰められ苦しむ夫のたった一人の理解者である妻リンダは、私にはまるで聖母のように見えます。長年連れ添った夫婦の間に流れる空気感とは・・・。難しい芝居が要求されそうです。「スチュワーデス物語」以来、35年振りにご一緒させていただける風間杜夫さんに心を寄せながら、才能あふれる長塚圭史さんに沢山の肉付けをしていただきたい思いです。自分が、この先、舞台人として生きていけるか!?チャレンジ精神を持って臨みます。

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『セールスマンの死』は、2018年11月に神奈川・KAAT神奈川芸術劇場<ホール>にて上演される。その後、地方公演の予定あり。

【あらすじ】
かつて敏腕サラリーマンであった主人公のウィリー・ローマンは、60歳を過ぎ、かつてのような精彩を欠き、家庭内の問題も抱えて、過去の思い出にすがっている。二人の息子たちも30歳を過ぎても自立できず、妻のリンダは夫を尊敬し献身的な愛をささげているが、自身をとりまくさまざまな問題に必死に耐えている。夢を叶えるにふさわしい仕事こそセールスマンであると信じてきたウィリーが、家族のため、そして自分のために選んだ道は・・・。

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