2018年3月9日(金)に東京・日本青年館ホールにてミュージカル「陰陽師」~平安絵巻~のプレビュー公演が開幕した。本作は、全世界で2億ダウンロードを突破した中国発の人気ゲーム本格幻想RPG「陰陽師」を原作に、ゲームを手掛けた中国の会社ネットイースゲームスと日本の舞台制作会社ネルケプランニングがタッグを組み、中国にて本公演を行うという新しい試みとなっている。
中国公演に先駆け、日本で行われるプレビュー公演を前は、公開ゲネプロと囲み会見が行われ、主演の良知真次をはじめ、三浦宏規、伊藤優衣、舞羽美海、矢田悠祐、君沢ユウキ、遊馬晃祐、佐々木喜英、そして、脚本・演出・作詞を手掛けた毛利亘宏が囲み会見に登場した。
主人公・晴明役を演じる良知は「この物語は晴明に始まり、演じる僕はほぼ舞台に出ずっぱりという感じなのですが、それぞれがキャラクターをしっかりと作り、物語を作り上げられた気がしています。皆さんに観ていただけるのが楽しみです」と挨拶。
弓を得意とし、晴明と行動を共にすることになる源博雅役の三浦は「本当に、ゲームの世界そのままという感じで、ストーリーはもちろん、音楽も衣裳も映像も素晴らしいので、総合芸術として皆さんに楽しんでいただけたら」と見どころを語った。
記憶を失ったことをきっかけに晴明と出会い、付き従うことになる少女・神楽役を演じる伊藤は「まさか、10歳以上年下の子を演じることになるとは思ってもいませんでした(笑)」と笑いつつ、「最後まで若さを大事にがんばりたいと思いますので、ぜひ見守ってください」と、かわいらしい笑顔を見せた。
不老不死で、夢占いに見た運命の人を待ち続ける八百比丘尼役を演じるのは、元宝塚歌劇団雪組トップ娘役の舞羽。「幻想的なゲームの世界から飛び出してきたキャラクターの個性が、舞台上でぶつかっていて、おもしろい世界が出来上がりました」力説し、「ゲームの美しさを生身の人間がやるおもしろさとパワーを感じていただけたら」とコメント。
また、大きな黒い羽を持つ大天狗役の矢田は「初めて翼をつけました・・・。見ての通り幅が広いので(酒呑童子役の)君沢さんと二人、スペース的な意味で、舞台袖で嫌われています(笑)」と苦笑い。そんな細部まで作り込まれた作品であることを強調しながら、「個人的には、僕の演じる大天狗は源博雅の関係性が深いので、そこを僕らなりに楽しみながら作ってみたので、注目していただけたら嬉しいです」と役作りについて明かした。
矢田と同じく、ビジュアルのインパクトの強い酒呑童子役の君沢は「ご覧の通り、見た目から見たことのないミュージカルになっています」と、迫力のある真っ赤な髪を揺らしながら、「この作品の壮大さは、この衣裳も物語っていると思います。僕たちの全力を、どうか楽しみにしていてください」とアピール。
続いて、茨木童子役の遊馬は自身の役について「僕が演じる茨木童子は、君沢さん演じる酒呑童子のことを常に考えて行動しているので、そこを見てもらえたら嬉しいです。また、茨木童子はゲームの中でもなかなかゲットできないとても強いキャラクターなので、衣裳やキャラクターの力をお借りして、最強の茨木童子を演じたいと思います」と意気込んだ。
黒晴明役の佐々木は「僕は、良知さんが演じる晴明のもう一人の晴明、黒晴明を演じるのですが、この黒晴明がどうして誕生したのかということも舞台で描かれていますので、ぜひ楽しんでもらえたらいいなと思います。この『陰陽師』という素晴らしい作品を、日本でももっと知っていただきたいですし、2.5次元舞台という素晴らし文化を、世界に広めていきたいと思います。応援よろしくお願いいたします」と先を見据えた。
演出・脚本・作詞を手掛けた毛利も、「誰も観たことのないミュージカルに仕上がっているような気がしております。エンターテインメントショーであり、深いドラマありと、短時間にぎゅっと楽しさやすごさが詰め込まれた作品になっているので、早く皆さんに、驚いて、感動して、楽しんでいただきたいです」と自信を見せた。
最後に、良知は改めて「規模も大きいですし、日本と中国が協力してこんなにも素晴らしい作品ができたということを、ぜひ一人でも多くの方に観ていただきたいです。作品のタイトルが『陰陽師』ということで、(平昌オリンピックで)フィギュアスケートの羽生結弦さんが金メダルを取ったように、僕たちも舞台界の“金メダル”を取れるようにがんばりたいと思います」と決意表明した。
【あらすじ】
世は平安。人と妖(あやかし)が共存していた時代・・・陰界に属する魑魅魍魎は、都の人々の間に潜み機会を伺い、陽界の秩序は危機に晒されていた。
陰陽二つの世界を自在に行き来する異能者「陰陽師」である晴明。彼は、自らの立場以外の記憶を失っていた。同じく記憶なくした謎の少女「神楽」、晴明の式神だという「小白」と共に、記憶を取り戻そう動き出す。弓術と結界術を得意とする源博雅、不老不死の占い師・八百比丘尼と出会い、行動を共にしていく中で、黒晴明という謎の存在が・・・。
毛利によるショーアップされた演出はもとより、佐橋俊彦の音楽、本山新之助の振付など、2.5次元舞台を黎明期から支えてきたクリエイターたちの力が、これでもかと結集している。会見の中で、佐々木が黒晴明の姿になるまで約2時間かかることや、良知が初めてネイルサロンを体験したという話が明かされていたが、細部までこだわりが感じられるキャラクターのビジュアル造形が素晴らしかった。中でも、絵巻物を見ているような衣裳の作り込みは、原作ゲームの美しいビジュアルをそのまま立体化したような精巧さだ。
さらに、それを体現する役者陣にも、これまでの経験を踏まえた自信と確かな手応えがみなぎっていた。三浦の持つ躍動感、伊藤の可憐な少女性、舞羽や矢田の情感豊かな歌声、君沢の豪快さ、遊馬の喰らいつく力に加え、黒無常役の平田裕一郎と白無常役の内海啓貴の見せるコンビネーション、判官役の片山浩憲が醸す得体の知れぬ存在感、雪女役の七木奏音が指先からつま先まで巡らせる美、紅葉役の門山葉子が漂わせる女の妖しさ・・・。
また、晴明の表裏一体の存在として立つ黒晴明を、観る者の脳裏に刻みつけていくような佐々木の魅せる力には、さすがと唸らされる。そして、何と言っても良知が中心にいる絶対的安心感。深く響く歌声はもちろん、美しく聡明な晴明が、失った記憶に惑わされ苦悩する姿は時に人間くさく、自身の演じる役柄だけでなく、作品全体に体温を与えていくような力を感じた。
「2.5次元」という言葉が誕生したのはいつだったか。近年ではメディアでその言葉を取り上げられる機会も増え、舞台ファンだけでなく、一般的な層えの認知度も上がってきたと思う。日本でのプレビュー公演を経て、中国でこの作品がどう発展を遂げるのか。想像するだけで、胸が高鳴った。日本で培われたエンターテインメントが、ついに世界へ。時代の針が進む音が、聞こえる気がした。
ちなみに、本作ではスペシャルカーテンコール行われ、写真・動画撮影OKシーンが設けられている(撮影は、携帯電話またはスマートフォンに限定)。アナウンスに従って、「陰陽師」の世界を形として残すべく、ぜひ参加を。
※アナウンスがあるまで携帯電話の電源は切ったままで
※フラッシュ撮影は禁止
※周囲の妨げになる行為、公演の妨げになる行為は禁止
ミュージカル「陰陽師」~平安絵巻~プレビュー公演は、3月18日(日)まで東京・日本青年館ホールにて上演される。なお、プレビュー公演千秋楽となる3月18日(日)18:00公演は、WOWOWにて独占生中継が行われる。詳細は、WOWOW公式HPにてご確認を。
【詳細】http://www.wowow.co.jp/stage/onmyoji
◆公演情報
ミュージカル「陰陽師」~平安絵巻~
<プレビュー公演>
東京:3月9日(金)~3月18日(日) 日本青年館ホール
<本公演>
深セン:3月30日(金)~4月1日(日) 深セン保利劇院
上海:4月7日(土)~4月15日(日) 虹橋芸術センター
北京:年4月20日(金)~4月22日(日) 北京展覧館劇場
【キャストによるお見送り開催】
3月11日(日)18:00公演(終了)
晴明:良知真次、源博雅:三浦宏規、神楽:伊藤優衣、八百比丘尼:舞羽美海
3月13日(火)19:00公演
酒吞童子:君沢ユウキ、茨木童子:遊馬晃祐、紅葉:門山葉子
3月14日(水)13:00公演
黒無常:平田裕一郎、白無常:内海啓貴、判官:片山浩憲
3月15日(木)19:00公演
黒晴明:佐々木喜英、大天狗:矢田悠祐、雪女:七木奏音
3月16日(金)19:00公演
晴明:良知真次、黒晴明:佐々木喜英
【公式HP】http://www.musical-onmyoji.com/
【公式Twitter】@musical_onmyoji
(C)Musical OMJ 2017
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)