又吉直樹の初純文学作品「火花」を原作とした『火花』~Ghost of the Novelist~が、2018年3月30日(金)より上演される。それに先駆け、3月2日(金)には都内にて制作発表会見が行われ、観月ありさ、植田圭輔、石田明(NON STYLE)、又吉直樹(ピース)、そして、脚本と演出を手掛ける小松純也が登壇した。
これまでドラマに映画と映像化されてきた「火花」だが、この舞台版ではこれまでとは違った角度から作品を捉えるという。小松は、その詳細を「作者と女優の世界を、小説の世界のもう一歩外側に置き、二つの流れが最後には一緒になっていく、という構成にしてみました」と語った。また「『火花』には、又吉さんがこの小説を書かざるをえなかったパッションが滲み出ている気がしているんです。そこで“又吉さんがこの小説を書く”ドラマを作ってみたらどうだろうと考えました」と、脚本執筆の根本にあるものを熱弁した。
真樹役、そして本人役としても出演する観月は「原作とは違った新しいストーリーが展開されていて、脚本を受け取ってからあっという間に読み終えてしまいました。これは楽しい舞台になるな、と今からワクワクしています」と笑顔でコメント。原作者である又吉とは「まったん」「あり姉(ねえ)」と呼び合う仲であることも明かされた。
植田は、オファーを受けた当時を振り返りながら「嬉しい気持ちが強かったですが、これまでに、ほかの方が同じ役を演じていることもありますし、プレッシャーは少なからずあります。でも、今回は舞台ということで”ここは自分の戦場だ”と思い、自分にしかできない徳永を演じたいです」と意気込んだ。
「どっちかと言うと、(自身が演じる)神谷みたいな人にイジメられていた人種です(笑)」と笑いを取った石田。また、ポケットに手を突っ込んで斜めに構えたポスターのビジュアルを見ながら「こういう役は、相方の井上に任せていたのに!」と冗談を交えながら、「神谷と同じ芸人ということで、近しい感情を表現できるのではないでしょうか」とアピールした。
原作者である又吉は、本人役として出演。自分が半透明に写っているポスターを指しながら「幽霊みたいになっちゃっていますけど、実はこのデザインは“原作者という不確かな存在”を表現しているんです」と明かした。本人役ということもあり、小松からの演出はあまりないようで、今回の稽古では「まず又吉を知り、そして又吉をゼロから作る」作業から始めているそうだ。
また原作者として「小説の良いところを引き出しながら、また全然違うものになっています。だから、脚本を読んだ時はびっくりしました」とコメント。「お芝居をやったことがないので、できるか自信がなかったのですが(自分役で出るという)構成を聞いて、それならやってみたいと思い参加しました」と出演の経緯を語った。
会見の後半では、フリップを使いながら「お互いが気になっていること」を聞くコーナーが行われた。植田は、作品中で徳永が神谷に弟子入りする話を持ち出し「(舞台上で弟子という立場で過ごす)僕と、(普段コンビを組んでいる)井上さん、どっちがかわいいですか?」と質問し、石田が「こんなん答えるまでもないわ(笑)!」と、すでにコンビ間でのいいテンポが生まれていることを見せていた。
さらに、観月は又吉に「演技中に本当に照れるのやめて!!」と示し、稽古場での様子を暴露。それに対し又吉は「観月さんに“好き”って言われたり、抱きしめられたら照れないヤツいないやろ(笑)」と言いつつ、「がんばって、ちゃんとやっていきます」と宣言していた。
最後には、観月が「ドラマや映画にはない、舞台だけの『火花』をお届けできると思いますので、ぜひ足を運んでいただければと思います」と呼びかけ、会見を締めくくった。
『火花』~Ghost of the Novelist~は、3月30日(金)から4月15日(日)まで東京・紀伊國屋ホールにて、5月9日(水)から5月12日(土)まで大阪・松下IMPホールにて上演される。
【公式HP】http://hibana-stage.com/
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)