『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』をディズニーと共に手がけたキャメロン・マンキントッシュが製作したミュージカル『メリー・ポピンズ』の日本初演が、2018年3月25日(日)より上演される。2月13日(火)には稽古場での公開取材会が行われ、濱田めぐみと平原綾香、大貫勇輔、柿澤勇人が取材に応じた。
本作は、アカデミー賞5部門を受賞した不朽の名作映画『メリー・ポピンズ』をミュージカル化した作品。2004年にロンドン・ウエストエンドで初演されて以降、ニューヨーク・ブロードウェイなど世界10カ国以上で上演された。日本初演となる本公演では、オーディションを勝ち抜いたキャストたちが胸に迫る家族の物語を紡ぎ出す。
この日の稽古場公開では、第1幕で歌われる「鳥に餌を」(Feed The Birds)が平原と島田歌穂のペア、濱田・鈴木ほのかのペアそれぞれで、同じく第1幕の中盤に見られる「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」が平原・柿澤、濱田・大貫の両バージョンで披露された。
「鳥に餌を」は、ウォルト・ディズニーが「ブラームスの子守歌よりもずっと良い」と言い、最も愛した楽曲としても知られる。身なりがボロボロの女性を見て、気味悪がる子どもたちに対し、メリーが「見た目の奥を見ることが大事だ」と教えるナンバーで、メリーとバードウーマン(身なりがボロボロの女性)との歌の応酬が見どころだ。高い歌唱力を誇る、平原、濱田、そして島田と鈴木の、伸びやかで訴えかける歌声が、この日の稽古でも聞かれた。
一方「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」は、公園の中のミセス・コリーの“おしゃべりのお店”で1オンスの会話(15文字のアルファベット)を買ったメリーとジェーンとマイケルが、34文字の不思議な言葉を生み出すシーンだ。明るい楽曲とハードなダンスが見もので、見ているだけで楽しい気分になる。
囲み取材で、平原は「メリーさんは“宇宙人”なので、どうやって宇宙人らしさを出したらいいか、毎日向き合っています」と自身の役柄について話し、「メリーは魔法を使うのが当たり前なので、たくさんの魔法が出てきて(稽古では)パニックです。魔法のかけ方を練習しています(笑)」と苦笑い。
一方の濱田も「まずは小さい魔法から、だんだんと大きい魔法を(覚えていきたい)。まだ今、魔法学校の先生が来て、一から習っているところです」と笑顔を見せた。さらに濱田は、「(メリーは)自分と近いところもありますが、最終的にする決断が違う。(今回は、子役たちもたくさん出演するので)子どもたちと演じると化学反応があって楽しいんです」とコメントを寄せた。
柿澤と大貫にとって、本作の最大の課題は「タップ」だという。大貫は「2月から壁と天井を使うタップの練習が始まります。床でタップをするのと全然違う。魔法の鎧(ハーネス)をつけたままワンシーン15分くらいを演じるので、動きづらくて」と困り顔で明かすと、柿澤も「難しいです」と同意。「壁を伝って天井を一周するんです。今、逆さになってタップを踏む練習をしています」と明かした。
延べ約17万人を動員する超大型ミュージカルである本作。濱田は「とにかく何も考えずに劇場に来ていただければ、素敵な思い出をお持ち帰りいただけると思います」とアピールし、平原は「台本を初めて見た時に、私は泣きながら読みました。それぐらい泣けるミュージカルです」と魅力を語る。
さらに、大貫は「夢と希望と愛に溢れた作品です。稽古場でも涙してしまうシーンがあるくらい、胸に響きます」、柿澤は「子どもから大人まで楽しめます。4歳のお子さんから観ていただけるので、初めての観劇にもいい作品ですし、疲れている大人の方々にもぜひ観ていただきたいです。忘れかけていた思いやりや愛を感じることができると思います」とメッセージを贈った。
ミュージカル『メリー・ポピンズ』は、3月18日(日)から3月24日(土)のプレビュー公演を経て、3月25日(日)から5月7日(月)まで東京・東急シアターオーブにて、5月19日(土)から6月5日(火)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて上演される。
(取材・文・撮影/嶋田真己)