岸谷五朗、寺脇康文、三浦春馬らが“愛と音楽”で武道館を揺らしたAct Against AIDS 2017『THE VARIETY 25』レポート

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2017年12月1日(金)、東京・日本武道館にてAct Against AIDS 2017『THE VARIETY 25』~絶好調俳優大熱唱!本物聴かせますミュージシャン!~(以下、AAA)が開催された。このライブは世界エイズデーの12月1日に合わせて行われるチャリティーイベント。今年で26年目、25回目の開催となった今回の公演では、企画意図に賛同した俳優・歌手・ミュージシャンが一同に集まり、一年に一度、ここでしか見ることができないコラボレーションを披露した。

今回の出演者は、岸谷五朗、寺脇康文、三浦春馬をはじめ、(以下、五十音順)WEAVER、大黒摩季、大谷亮平、大貫勇輔、岸谷香、サンプラザ中野くん×パッパラー河合×ふなっしー、Skoop On Somebody、高橋優、DearDream、西川貴教、花澤香菜、ピコ太郎、水谷千重子、柚希礼音、など多彩な顔ぶれが揃った。

本番前には囲み会見が行われ、緊張と興奮を感じさせる岸谷、寺脇、三浦がそれぞれこの取り組みにかける思いを語った。

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◆岸谷五朗
26年目、25回目のAAAです。チャリティーというのが大変なのは、続けることです。続けられるというのは、一番大変なことだなと思っています。
何度か大変な時もあったのですが、今年も素晴らしいスタッフとキャストに恵まれて、またこの武道館で大きなチャリティーが出来ます。目に見えるチャリティーをやっていこうということで、きちんとした寄付をして、その結果ラオスに小児病棟が建ちました。そこでたくさんの子どもたちの命、エイズと戦う子どもたちの命を救うことが出来ています。
HIVは27年前から今でもそうですが、啓蒙啓発がすごく大事です。皆さまのお力添えがないと出来ないことです。皆で必死に汗をかいてがんばっていますので、これからもよろしくお願いいたします。

◆寺脇康文
今回で25回目。私も55歳になるもんだなと思います。僕と五朗ちゃんの跡を継いで春馬が入ってくれたこともあり、子どもたちが健康に生きるためのチャリティー活動が出来ています。
チャリティーは「出来ることを出来る範囲で出来るだけやる」ということ。自分が無理してやっても仕方がないことなので、僕らに出来ることはショーを見せること。これを一年に一回やって、それが子どもたちの命を救えるということであれば、これからも出来る範囲でやっていきたいと思います。こういった活動があることをいろいろな方に伝えてほしいです。

◆三浦春馬
今年もAAAに参加させていただきます。今年もラオスへ視察に行かせていただきました。現地スタッフ、そして患者として病院に集まってくる子どもたちの笑顔を目の当たりにしているので、少しでも現地で働いている皆さんの思いを今日武道館にいらっしゃるお客様に、イベントで楽しんでいただくと共に、彼らのがんばりを少しでも広められたらと思っております。

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イベントは、水谷千重子と岸谷香のデュエットから幕開け。プリンセスプリンセスの名曲「世界でいちばん熱い夏」と「千重子のウインク」を二人で熱唱すると、オープニングにふさわしい明るく元気なナンバーに、会場も早速手拍子で盛り上がりを見せた。水谷が先に降壇した後、岸谷は一人で「ミラーボール」をピアノの弾き語りで披露。

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岸谷香の後は、2.5次元アイドル応援プロジェクト「ドリフェス!」のメインキャラクターを演じる5名によるユニット「DearDream」が登場した。カラフルな衣裳に身を包んだ石原壮馬、溝口琢矢、富田健太郎、太田将熙、正木郁の5名は、左右に伸びるスロープを岸谷、寺脇、三浦と共に歩き、観客に向けて大きく手を振る。そして、センターステージに戻ると「ユメノコドウ」を激しく歌って踊り、会場を沸かせた。

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続いて登場したのは、AAAに毎年参加している大黒摩季。「熱くなれ」で文字通り会場の温度をぐんと熱くした後は、アニメ『名探偵コナン』の主題歌になっている「Lie,Lie,Lie」、そして観客が手を大きく左右に振りながら参加できる「ら・ら・ら」を熱唱した。途中から岸谷、寺脇、三浦と「DearDream」も参加して大黒のステージを大いに盛り上げていた。

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熱くなった会場を一転、しっとりとした空間に変えたのは、Skoop On Somebody。メジャーデビュー21年目を迎えた二人はロングヒット曲の「sha la la」と20周年記念シングルの「Every Kiss, Every Lies」を披露。大人の余裕すら感じさせる演奏に場内から惜しみない拍手が贈られていた。

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Skoop On Somebodyが拍手を浴びながらステージを降りると、会場は暗転。スポットライトが当たるステージの上には、岸谷、寺脇、三浦の姿が。3人はパンチパーマに金色のロングコートにダボダボのパンツという衣裳、そして怪しげなサングラスという・・・どこかで見たことのある姿。3人に続いて姿を現したのは、「本物」のピコ太郎!4名が、ピコ太郎が長男、岸谷が「ピコ五朗」、寺脇が「テラ太郎」、三浦が「春ピコ」という「ピコ四兄弟」設定で、まずはピコ太郎が通常の「PPAP」を歌い出す。しかし、「ちょっと待った!」と声を上げ、ピコ太郎の動きを一時停止のようにピタッと動きを止めた寺脇・・・いや、「テラ太郎」。

突如始まった刑事コントでは、寺脇がベテラン刑事、三浦が新人刑事、そして岸谷が私立探偵に扮し、殺人事件の現場にペンとパイナップルとりんごが落ちていた・・・という「PPAP」ドラマバージョンを展開。ひとしきりコントが終わると、何もなかったかのように「ペンパイナッポーアッポーペン!」と再び歌い出したピコ太郎に、3人も続きダンスを披露した。4人のユーモラスなやり取りに、会場は、爆笑の渦に。

なお、「PPAP」を4人でやる、という話について、岸谷は「ピコ太郎さんがトランプ大統領と会った翌日に電話で打ち合わせして台本を作り、今日披露します」と語っていたとのこと。

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笑いの後は再び熱く聴かせる音楽が続く。WEAVERは「くちづけDiamond」「だから僕は僕を手放す」の2曲で、杉本雄治のしなやかな歌声とピアノの旋律に奥野翔太と河邉徹のスピード感溢れるベースとドラムで、武道館を包み込む。

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WEAVERの後は、サンプラザ中野くんとパッパラー河合がステージへ。この二人がこの日本武道館という場所で歌う曲といえば・・・もちろん「大きな玉ねぎの下で」。観客が歌に合わせて自然と手を左右に振りながら揺れている様が印象的だった。曲の途中からはふなっしーも登場。実はふなっしーの3枚目のシングル「アルクナシ」をサンプラザ中野くんが手掛けたことで今回のコラボが実現したそう。

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ここで、毎回恒例となっている『ウルトラマンティガ』のオープニング曲「Brave Love,TIGA」をサンプラザ中野くん、岸谷、寺脇、三浦で熱唱・・・すると、一人だけウルトラマンティガのお面をつけた謎の男が乱入してきた。その正体は、TVドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の風見役でブレイクした大谷亮平!韓国のCMやドラマでブレイクした「逆輸入型俳優」として注目されている大谷は「Brave Love,TIGA」への参加のみでステージを去ろうとしたが、岸谷が「お前には韓国語という必殺技があるだろう!」とハッパをかけられステージにUターン。「歌は得意ではないんですが・・・」と言いつつも、福山雅治の「Squall」をハングル語で心を込めて歌い上げた。

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ライブの中盤では、岸谷、寺脇、三浦からAAAの活動報告が行われた。AAAの収益金は、国内外のHIV感染者・患者への支援やエイズ基礎知識の啓発資料の制作費などに使用されている。2016年のAAAチケット収入で1286万9308円、25年間24ステージのトータルで2億7937万2382円の収益金が集まったとという。また「THE VARIETY」チームが寄付をしている特定非営利活動法人「フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJAPAN」によって、ラオスで「ラオ・フレンズ小児病院」を設立し、現在も運営が続いている。「フレンズ~」は、現地スタッフのみで運営していく方針で進めており、より自立した運営を目指し、寄付金が病院のスタッフ育成費用としても使われているという。過去の収益金で購入した車のメンテナンスや心電図モニター、持続陽圧呼吸療法用器機の購入にも、昨年の収益金が使われたことも合わせて発表された。

今年9月、ラオ・フレンズ小児病院を訪問した三浦は、4年前にラオスを視察した際に出会ったトンシーちゃんと再会できたことも報告し、スクリーンに映し出されたトンシーちゃんと一緒の記念写真を見ながら笑顔を浮かべていた。

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後半戦は高橋優の演奏からスタート。AAAの活動のテーマにもリンクするような「明日はきっといい日になる」「虹」を力強く歌う。ここで三浦がステージに姿を見せ、二人で「ルポルタージュ」を熱唱した。この曲は三浦が主演したTVドラマ『オトナ高校』の主題歌ということもあって、まさにここでしか聴けないレアなコラボとなった。

なお、楽曲作成については「いつもの高橋優くんじゃないバチバチの曲を作ってほしい、と言われて作った曲です」と語った高橋。その言葉どおり、激しいアップテンポのメロディと歌詞を全身で表現しながら歌う高橋と三浦は、まるで長年の相方のように、息の合ったコンビネーションを見せつけていた。

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曲調が一転し、ついに柚希礼音がステージへ。会場のペンライトが激しく揺れる中「僕は何をしてるんだろう?」を歌う柚希の艶と伸びのある声に合わせて、大貫勇輔が柚希に絡みつくように踊る。宝塚歌劇団退団後から、さらに音域を広げたのではと思うくらい美声を響かせる柚希はもちろんだが、大貫の重力を感じさせない踊りに何度もどよめきが上がっていた。

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次に控えていた大人気声優・花澤香菜は、緊張のあまりか、ステージに出てくるタイミングをはずしてしまい「もう一度最初からやらせてください!!」と懇願。舞台裏にダッシュで引っ込む姿に、会場からは「かわいい~!」と歓声が上がった。改めて登場した花澤は、幾分頬を赤らめながらも「星空ディスティネーション」をステージの端から端まで歩きながら嬉しそうに歌っていた。そこに岸谷、寺脇、柚希が加わって、4人で「WINDING ROAD」を見事なアカペラで聴かせる。柚希、花澤は2018年4月から上演される地球ゴージャスプロデュース公演Vol.15『ZEROTOPIA(ゼロトピア)』に出演するメンバーでもあるが、この段階ですでに舞台に向けたチームワークが出来つつあるように見えた。

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そして『ZEROTOPIA』に出演するもう一人、西川貴教が、今回のAAAのトリを務めた。西川のヒットチューンのイントロが聞こえてくるだけで、場内はすでに大盛り上がり。女性ダンサーを従えた西川が「WHITE BREATH」「WILD RUSH」「HIGH PRESSURE」と一気に歌うと、場内の床も空気もステージもすべてが揺れているような興奮状態となっていた。

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西川の最後の曲となる「HOT LIMIT」では、岸谷、寺脇、三浦が家庭用扇風機を手に持ち、いそいそとステージへ。そして西川の身体のいろいろなところに風を送り、あたかも「HOT LIMIT」のMVのような状態にすると、歓声に笑い声が交じる。曲を終えた西川は「(扇風機が)近いから!ただでさえ口が乾くんだから!」と3人に突っ込みを入れつつも、楽しげな満面の笑み。

約3時間に渡るAAAライブもいよいよ最後の曲。オフィシャルTシャツに身を包んだ出演者が全員ステージに揃い「THE VARIETY」のエンディング曲『一人じゃないから』を合唱。最後の挨拶として、岸谷は「皆様のチケット1枚1枚が、大きな大きな寄付になっています」と語り、三浦は「皆さんが会場にお越しいただいた事実が、現地スタッフの自信や技術の向上、何より子どもたちの笑顔に繋がっています」と感謝の思いを伝えた。寺脇は「出来ることを出来る範囲で無理せずチャリティーをやっていこうと思います。皆さんもお付き合いください!」という言葉を改めて観客に届け、ライブを締めくくった。

「エイズの撲滅」という企画主旨に賛同したミュージシャンや役者、声優が一同に集まり毎年行われているAAA。26年という長きに渡りこの活動を継続できたのは、寺脇が口にしていた「出来ることを出来る範囲で無理せず」というチャリティー活動の基本に「楽しく」というエンターテインメントの要素を加えたからこそではないだろうか。これからも末永く活動を続け、さらに大きな輪へと発展してほしいと願う。

(取材・文/エンタステージ編集部、撮影/オフィシャル提供)

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