2017年11月29日(水)に東京・俳優座劇場にて舞台『バグバスターズ3』が開幕した。本作は2016年の初演、2017年5月の再演、そして11月23日(木・祝)から11月26日(日)まで、続編となる『バグバスターズ2』の上演を経たシリーズ最終章。初日前には公開ゲネプロが行われ、林明寛、渡辺和貴、反橋宗一郎、樋口裕太、中尾拳也らがアクションと共に、スピード感溢れる台詞の応酬を繰り広げた。
【あらすじ】
ゲームデザイナー赤木京介(林)は、数多くのゲームを世に送り出してきたものの、ソーシャルゲームの台頭で成績が落ち、ついには落ちこぼれが集まるバグ除去チームに入れられる。ここで赤木は、青柳茂樹(反橋)ら同僚たちと共に、バグを除去する作業や、作業効率を良くするために、自らがゲームの中に入ってバグを除去する装置を開発する。ゲーム内のキャラクターになって、バグを次々と撃退していく赤木たち。
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ところが『バグバスターズ2』で登場したアルティメイトとの戦いで、赤木は昏睡状態に陥ってしまう。青柳、緑川六郎(樋口)、黄月明紀(中尾)、五大健太郎(渡辺)ら「バグバスターズ」は赤木を助けようと奮闘。その甲斐もあって赤木は目を覚ます。
赤木の前に、共にアルティメイトの陰謀を阻止するために行動していた徳山秀治(磯貝龍虎)、轟総一郎(山崎雅志)、そして絶縁状態であった赤木の父親で冒険家の赤木宗典(有川マコト)が現れる。彼らは、赤木が意識を失っていた間に、青柳たちがアルティメイトの策略により捕まり、ピンチを迎えていることを伝えに来たのだ・・・。
この事件の黒幕は誰なのか、また突然、赤木の前に姿を現した父親は何を息子に伝えようをしているのか。そして、絶体絶命のバグバスターズの運命やいかに!?
劇中では、囚われの身となっているバグバスターズたちが心の奥底に秘めていた傷が再現されていくシーンがあるのだが、まるで漫才のような言葉の選び方や使い方、さらにスピード感溢れる台詞の応酬で表現されていることから、会場から何度となく大きな笑い声が沸き起こっていた。
特に、緑川を演じる樋口と、下柳達哉を演じる登野城佑真のコンビによる掛け合いは見事。また、五代の母、昌子を演じる小玉久仁子が自身の動きをすべて口で説明しながら見せていく様は、まるでギャグ漫画を生で見ているようなおもしろさがあった。最初は笑いが多めに仕込まれていたが、後半に進むにつれ、時折胸に刺さる内容が増えていき、物語に深みを増していった。
そして、バグバスターズ救出というメインストーリーとは別で描かれる赤木父子のサイドストーリーにも注目。ある出来事がきっかけで息子からはとことん嫌われている父・宗典。何度追い払われても気が付けばいつも息子の側にいて、気が付けばまるでこの物語のゴールまで息子たちをナビゲートするような存在となっている宗典。彼は何故そこにいるのか。宗典を演じる有川の飄々としたたたずまいが、イライラさせつつもどこか憎めない父親像を作り出していた。
このほか、進藤碇役の小林涼、大澤大悟役の大海将一郎、ミスターI役の山中翔太、星野銀河役の前田大翔、西可奈子役の高橋明日香らが出演。
舞台『バグバスターズ3』は、12月3日(日)まで、東京・俳優座劇場にて上演。
※山崎雅志の「崎」は、「大」の部分が「立」が正式表記
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)