阿部顕嵐「ジャニーズJr.の立場と就活生は似ているかも」舞台『何者』ゲネプロレポート

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2017年11月25日(土)に舞台『何者』が東京・天王洲 銀河劇場にて開幕した。本作は、小説「桐島、部活やめるってよ」で鮮烈なデビューを飾った若手作家・朝井リョウの直木賞受賞作の舞台化作品。初日前日には、公開ゲネプロと囲み会見が行われ、阿部顕嵐(Love-tune/ジャニーズ Jr.)、美山加恋、長妻怜央(Love-tune/ジャニーズ Jr.)、鈴木勝大、宮崎香蓮、小野田龍之介、演出の丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)が登壇し、取材に応じた。

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フレッシュのスーツ姿で「なんだか新CMの会見みたい(笑)」となごやかに談笑しながら現れた出演者たち。主演を務める阿部は、心境を問われると「(ゲネプロを終え)一段階上がって、今、やっとスタートラインに立てたという気がします。バッチリ!って言いたいですね」と本番に向け、気合いの表情を見せた。

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ミュージカル『魔女の宅急便』のトンボ役に続いてのジャニーズ外部舞台出演となる阿部は、“就職活動”をテーマとする本作について「ジャニーズJr.としての立場と、就活生は似ているかもしれません。僕たちのデビューが決まること=就職が決まるみたいな感じで。仲間がデビューできることが決まると、嬉しい反面、嫉妬のような複雑な気持ちが芽生えたりします。(自分に)通じるものがあったので、共感しました」とコメント。

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一方、長妻はこれがジャニーズ外部舞台初出演となる。「ジャニーズ事務所にいた頃は・・・」と話し出す長妻に、周囲からは「ちょっと、辞めたみたいになっちゃってるよ(笑)!」とツッコミが。長妻は「今もいます(笑)!」と照れ笑いし、改めて「ジャニーズ事務所でのライブや舞台では、自分をどれだけ目立たせられるかが勝負なんですが、この出演を通して、皆さんと対話をしながら作品を作ることを大きく意識するようになりました」と自身の変化を語った。

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そんな二人について、小野田は「普段のLove-tuneとしてのキラキラな感じとはまた違った熱さで、エネルギッシュなお芝居をしているので、観に来てくださるファンの方は鼻血ブーでしょうね!二人の新たな一面をお見せできると思います」と“保護者”的視点から見どころをアピール。

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また、子役時代から様々な経験を積んでいる美山は「いろんなフィールドから、個性的なメンバーが集まったと思います。すごく楽しく演じさせていただいています」とにっこり。宮崎も「同年代のキャストが多いので、いろんなことを話し合いながら、時にはわちゃわちゃしながら、学校みたいな雰囲気の中で稽古を重ねてきました。その空気感も、舞台を通して伝わったらいいなと思います」と、座組みの仲の良さを感じさせた。

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本作はストレートプレイだが、劇中にはダンスシーンも含まれている。ダンスが苦手だという鈴木は「僕が『なるほど、こういう振りか』と覚えた頃には、皆は3ステップぐらい先に行ってしまっているんですよ!」と苦労を明かしつつ、「でも、ほぼ出ずっぱりの顕嵐のがんばっている姿を近くで見ているので、自分も最後までやりきらなきゃと思っています」と、互いに刺激を得ている様子。

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演出を手掛けた丸尾は「キャストたちのいろんな面を見せることを心がけたんです。素晴らしい原作で、映画にもなっているこの作品を、舞台特有の表現に落とし込めないかと考えました」と語る。表現の一つとして阿部が舞台で“生着替え”を行うのだが、それに対し阿部は「あのシーンは丸尾さんに捧げています(笑)」と告白し、笑いを誘った。

最後に、阿部は作品のテーマになぞらえながら「就活中の人、これから控えている人、終えた人、世代を超えて、たくさんの人に観ていただきたい作品です。一回では観きれないと思うんですけど、一つ一つの身体の動き、すべてのシーンに意味があるよう、全員でグループディスカッションして作り上げました。就活、がんばります!」と挨拶し、会見を締めくくった。

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かつて、御山大演劇サークルで脚本を書いていた二宮拓人(阿部)。拓人のルームシェア相手であり、バンド活動に明け暮れている神谷光太郎(鈴木)を横目に、拓人は就職活動に専念していた。ある日、拓人たちと同じアパートで、留学経験を持つ小早川理香(美山)と宮本隆良(長妻)が同棲していることを知った二人。光太郎の元彼女で理香の友達・田名部瑞月(宮崎)も加えた5人で「就活対策本部」として、理香たちの部屋に時々集まるようになる。

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拓人は、信頼を寄せるサークルのOB・サワ先輩(小野田)に相談や愚痴を聞いてもらいながら、就活に励んでいく。共に励まし合い、目標に向かっていく5人だったが、徐々に本音や自意識があらわになり・・・。

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パネルに映し出されるSNSや、白を基調とした舞台セット。TAKAHIROの振付、オレノグラフィティの音楽が加わった空間は、忘れていたかったえぐ味を呼び起こす。不安定な若者たちの心理をえぐるような丸尾の演出に、食らいつく役者たちの表情が非常に魅力的だ。特に、ほぼ舞台に出ずっぱりの阿部の目には、全身全霊で役のすべてを表現しつくそうという、強い意思が伺えた。

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要所要所で登場人物たちが口にする“何者”という言葉が、突き刺さるように“現代”が浮かび上がらせる。ふと、ヘルマン・ヘッセ「デミアン」の一節が脳裏をよぎった。今しかないこの一瞬を、ぜひ劇場で。

舞台『何者』は、12月10日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場にて上演。

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※宮崎香蓮の「崎」は、「大」の部分が「立」が正式表記

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)

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