2017年11月27日(月)より東京・帝国劇場にて上演される、ユーミン×帝劇vol.3『朝陽の中で微笑んで』の製作発表会見が8月17日(木)に都内で行われ、脚本・演出を手がける松任谷正隆のほか、出演者の松任谷由実、寺脇康文、宮澤佐江、六平直政、斎藤洋介が登壇した。
今回で3年ぶり3度目の公演となる「ユーミン×帝劇」シリーズは、松任谷由実の歌と俳優たちの演技を融合させた、ミュージカルでも音楽劇でもない新たなエンターテインメントとして好評を博している。松任谷由実が1976年に発表したアルバム「14番目の月」に収録された名曲をタイトルにした今作では、500年後の未来の世界を舞台に、ある男と女の、時を超えた純愛が描かれる。
会見の前には、シリーズ第1弾『8月31日~夏休み最後の日~』(2012年10月上演)、第2弾『あなたがいたから私がいた』(2014年10月上演)のダイジェスト映像、そして今作の予告編映像が流され、期待感が高まったところで登壇者たちが姿を現した。
はじめに挨拶した松任谷正隆は「第3作目をどうするかと聞かれて、でまかせで『SFにします』と言ってしまいました」と本作のテーマ設定について意外な舞台裏を明かす。また、舞台のイメージにも触れ、「(物語の舞台となる)500年先というのは、想像をちょっと超えた未来かなと。500年先には想像のつかないことが起こる、でも、今と変わらないものもきっと残っているんじゃないかな。変わるもの、変わらないものというのをストーリーにして、由実さんの音楽で包んでみたいと思います」とコメントを残した。
松任谷由実とW主演を務める寺脇は、松任谷正隆との初対面について「初めてお会いしたのはラジオの収録だと記憶しておりますが、その時に(松任谷)正隆さんの目が印象に残りまして“優しいんだけど厳しい”という演出家の目だな、と。心にも無いことを言ったら絶対に見破られると思ったので、その収録ではすべて正直にお話しさせていただきました」と振り返る。さらに「普段は岸谷五朗と一緒にやっている『地球ゴージャス』という劇団で公演をしていて、歌ったり踊ったりアクションをしたり、バカなギャグをやったりと騒がしい芝居をしているんですが、その中で今回、正隆さんは僕のこちらの面を描こうとしてくれているんだ、なんか見抜かれているな!という感じがします。きっと今作では寺脇康文の新しい側面を観ていただけると思います」と見どころをアピールした。
「出演が決まったとき、私と同じぐらい母が喜んでくれました。今回、母に親孝行ができると思います」と笑顔を見せたのは宮澤。「以前ミュージカルで共演させていただいた寺脇さんが一緒ということも心強くて、今は楽しみと緊張が入り混じっているんですけど、ユーミンさんの楽曲の中でお芝居をさせていただける機会は私の人生の中で二度とないと思うので、一瞬一瞬をしっかりと噛みしめて、観に来てくださった方にしっかりと届けられるように頑張ります」と意気込んだ。
松任谷由実の大ファンだという六平は「今回の舞台は500年後の未来ということで、だから初めてハゲが出るのかな(笑)」と冗談を交えながら挨拶。さらに、松任谷正隆に対し「厳しい演出家なんですけど」と前置きした上で「今回お話をいただきまして、松任谷さんにまた呼んでいただけるのは役者としてこの上ない喜び」と語る一方、今回は憧れの存在との共演ということで「(松任谷)由実さんは我々の世代のエポックメーカーですから、その由実さんと同じ板の上で舞台ができることは本当に幸せだと思っています」と喜びの表情を浮かべていた。
現在、別作品の舞台公演中という斎藤は「明日から大阪と福岡をまわるので、12月という先の舞台のことはさっぱり見当がつきませんが、近未来の刑事であるらしいということは理解しております。僕らの世代にとって松任谷由実さんのメロディの中で演じることができるというのは、失われた青春がひょっとしたら蘇ってくるのかなという気がします」と期待を寄せている様子。
本作のW主演であり、歌とストーリーテリングを務める松任谷由実は「過去の映像を見ますと、本当に積み重ねてきたなという感慨でいっぱいです」としみじみ。また、共演者に関しては「六平さん、斎藤さんは存在がメッセージというか、SFというか、居てくださるだけで60%ぐらいストーリーが見える」「宮澤さんは舞台の若手ホープで人気も高く、共演できるのを楽しみにしていました」「寺脇さんは、かつて舞台を拝見しましたが、本当にフィジカルで裏付けがあるからこそのコメディ、コントができる。ご自身も仰っていましたが、哀愁というのがフィジカルに支えられたところから滲み出ている」と、それぞれに対して印象を語った。そしてタイトルにもなっている楽曲「朝陽の中で微笑んで」については、「楽曲は荒井由実時代のものですけど、私の作品の中でも最も歌うのが難しい」と語り、「“永遠”とか“宇宙”というワードを初めて日本のポップスに持ち込んだのは私だと自負しているんですけど、その、永遠の中の泡沫というものをこのメンバーで最大限表現できると思っています」と自信を覗かせた。
その後の報道陣との質疑応答の際、台本を読んだ感想を聞かれた寺脇は「お芝居の間に歌があるということで感情がぶつ切りになってしまうのかなというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、良い映画を見たあとに主題歌を聞いている時ってすごく幸せじゃないですか。作品を思い出しながら、浸りながら、その曲を聴いてもう一度蘇らせる感動というものがあると思うんですがそれが何回もできるというイメージ」と作品の魅力を話した。
また、「松任谷由実さんの作品の中で一番思い入れのある曲は?」という質問では、キャストそれぞれがお気に入りの1曲とそれにまつわるエピソードを話すなか、六平が次々と曲名を挙げながら思い出トークを展開し、その興奮ぶりにキャスト陣から笑いが起こる一幕も。
そして会見の終盤には、本シリーズのトップシークレットだという劇中の使用曲について、松任谷正隆の口から情報の一部が披露されるサプライズがあり、具体的な曲名は避けつつも、アルバム12作品(「acacia」、「OLIVE」、「PEARL PIERCE」、「THE DANCING SUN」、「POP CLASSICO」、「ALARM a la mode」、「Frozen Roses」、「A GIRL IN SUMMER」、「DAWN PURPLE」、「Cowgirl Dreamin’」、「14番目の月」、「MISSLIM」)から計16曲が登場することが明らかとなった。
最後は松任谷由実が「私自身も回を重ねてさらなる完成度の『朝陽の中で微笑んで』、とっても楽しみにしています。皆様にもぜひ足をお運びいただけたら嬉しいです」と観客へ向けてメッセージを贈り、会見を締めくくった。
ユーミン×帝劇vol.3『朝陽の中で微笑んで』は、11月27日(月)から12月20日(水)まで東京・帝国劇場にて上演される。