加藤和樹出演の舞台『罠』7年ぶり開幕!深作健太「加藤くんがすごく色っぽく」

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2017年7月13日(木)東京・かめありリリオホールにて、舞台『罠』が開幕した。それに先立ち、初日前日には公開ゲネプロと囲み会見が行われ、出演者の加藤和樹、白石美帆、筒井道隆、演出の深作健太が登壇し、意気込みを語った。

本作はフランスの代表的劇作家ロベール・トマが1960年に発表し、パリで初演。その後は世界各国で上演されている。日本においてもいく度か上演されているが、2009年に加藤和樹の初主演舞台として開幕し話題となり、翌2010年に再演。そして今回、7年ぶりに3度目の上演を迎える。登場人物はわずか6人。誰もが怪しく、誰もが真実を語っているとは思えない状況の中、約2時間、ワンシチュエーションで繰り広げられるサスペンス会話劇だ。

物語は新婚3か月のカップルがバカンスで訪れていたとある山荘で始まる。些細な夫婦喧嘩から妻のエリザベートが行方不明に。夫のダニエル(加藤)はカンタン警部(筒井)に捜査を依頼、そこへマクシマン神父(渡部秀)に付き添われエリザベート(白石)が戻ってきたが、全くの別人だった。ダニエルは妻ではないと主張するが、状況証拠は揃わない。やがて本当の妻を知る証人として、絵描きのメルルーシュ(山口馬木也)や看護婦(初風緑)が現れるが、ついには殺人事件にまで発展してしまう・・・。

会見で7年ぶりの再演について心境を聞かれた深作は「この作品は初めて舞台演出をさせていただいた作品、また加藤くんと筒井さん、白石さんほか素敵なみなさんと上演できることが楽しみでなりません」と挨拶、続けて「7年たって、加藤くんがすごく色っぽくなっていました。この作品は加藤くんの醸し出す雰囲気と一緒に作品自身もすごく成長して、さらに色気のあるサスペンスに仕上がっている」と絶賛。

この言葉に照れながらも加藤は「またこの恐ろしい罠に自分がはまるのかと思うと、稽古が始まるまでは不安でしたが、より深めていく部分と新たに加わった方々と新しいものを作る気持ちで挑みました。初演は稽古場に行くのがつらい程人間不振になりましたが、今回は稽古も和気あいあいとしていて、作品に向き合えている感じがすごくします」と胸の内を語り、昔と違う部分については「前に演じていたものが身体に残っていて、意外とそれが邪魔をして、そこから新しいものを作らなければと思いました。新たに気持ちを作ることは難しいことと痛感しました」と苦労を吐露。2時間出ずっぱりのダニエルをエネルギッシュに、そして衰弱していく様を見事に演じていた。

初演から8年ぶり2度目の出演となる白石は「初演の時は初舞台でした。8年経って、軽やかに階段を上がるシーンでちょっと違うなと(笑)筋トレをがんばりました」と笑いをとりつつ、「深作さんが核となる部分の解釈をすごく掘り下げてくださって、8年前にエリザベートを演じた時より愛も深まって、ダニエルに対しての態度もすごく広がったように感じます。同じ役なのに初演とは全く違う印象になっていると思います」と自信をみせる。このコメントどおり、警部の前では困惑する妻をにこやかに、ダニエルの前では冷酷な姿も魅せるなどミステリアスなエリザベートを熱演している。

本作初出演となる筒井は「(この舞台は)場面転換が無いので、ある空間でずっと続いていくその難しさをヒシヒシと感じています」と噛みしめる。劇中ではダニエルが唯一の味方として頼り、親身になって捜査をすすめる警部を味わい深く演じているが、「再演メンバーとは慣れ感が違い、戸惑いました」と明かし、重厚な物語からか稽古場では真逆のキャラクターでムードメーカー的な存在だったとか。

そして8年ぶりの白石との共演について聞かれた加藤は「前はちょっとクールで怖い印象がありましたが、今回はめちゃめちゃキュートなんです!笑い方やちょっとした仕草が『かわいいな、チクショー』って(笑)そこがダニエルとしてはイラっとするんです」と語ると、すかさず白石は「今回は愛をふりまいていますから」と掛け合いを見せ、会見は和やかな雰囲気に。

さらに「家族から誰?知らない人と言われたらどうする?」という質問に対し、加藤は「必死に説明しても無駄だということがこの舞台で痛感している。人間の思い込みは怖いなってすごく思います」と作品になぞられて答え、白石は「現在の、スマホなどが大活躍している時代とは違う、1960年代だからこそのお話なので、その世界観を楽しんでいだきたい」とニッコリ、加藤とうなずき合った。

作品の見どころについて、深作は「会話劇なので、それぞれのキャラクターの作りこみ方がカギになる作品です。特に今回、キャラクターの裏の裏、表も何枚も色々な層を積み重ねていって、厚みのある人物を魅力的に作り上げることができた。仲の良さもチームワークの良さとして、6人がつくるドライブ感を楽しんでほしい」とアピール。

舞台上では、今回初参加となる渡部が、あきらかに怪しいエリザベートとグルになってダニエルを追い詰めていく。フレッシュで優しい神父を装いながらも陰では怪しい動きをするなど細かい演技に注目だ。同じく初参加の山口は、絵描きのメルルーシュとして唯一緊張をほぐしてくれるようなキャラクターを個性的に演じ、2010年から続投の初風は、一癖ある看護婦役で事件をかきまわしていた。

最後に加藤が「一度観た方は観たからこその楽しみ方があり、今回初めての方は、もう一回観たいと思える作品になっています。色々な人に観ていただきたいです」と観客を誘うコメントを残し、会見を締めくくった。

舞台『罠』は7月13日(木)の東京・かめありリリオホールでの公演を皮切りに、7月15(土)、7月16日(日)に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて、8月8日(火)から8月15日(火)まで東京・サンシャイン劇場にて上演。

(取材・文・撮影/谷中理音)

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