2017年8月より日本総合悲劇協会 vol.6『業音』が上演される。劇団「大人計画」の松尾スズキが作・演出をするプロデュース公演「日本総合悲劇協会」は、その名のとおり“悲劇”をテーマとした作品を上演。この『業音』は、日本総合悲劇協会の3作目として2002年に初演された。演歌歌手として再起を目指す元アイドルを主人公に、限りなく深い人間の“業”を負の連鎖のうねりとして描いた本作は、問題作として大きな衝撃を残した。
再演にあたり、15年前の舞台写真と共に、松尾は「“わかっちゃいるけどやめられない”という人間の持つ“業”を、悲劇性と喜劇性が一緒くたになったような混沌の世界の中で描きます。“神とは何か”という壮大なテーマになっていきますが、笑いの中でそれをどう見せていくかということにチャレンジしてきます」とコメントを寄せている。
出演者には、松尾のほか、平岩紙、池津祥子、伊勢志摩、宍戸美和公、宮崎吐夢、皆川猿時、村杉蝉之介、康本雅子/エリザベス・マリー (Wキャスト)が集った。初演時、荻野目慶子の体当たりの演技が話題となった主人公役は、今回、平岩が演じる。平岩は、主人公を演じることについて「初演の時、荻野目慶子さんが演じていた役を演じることを現実的に考えられる年齢に、自分がやっとなったかなと思います。役者として重ねてきた年月を経て、ようやく向き合える役だと思います」と語る。
また、「昔の松尾さんが書かれた作品と、今の松尾さんが書かれた作品はまた違いますし、『業音』は重いというイメージがありますが、松尾さんの中にある原点をのぞき見してもらいたいな、と。松尾さんにとっても、この作品は特別な作品だと思います。また、久しぶりに劇団員の先輩方とやれるので、大人計画という劇団がどういったところで、どんな作品を上演するのか、ということを知っていただき、いろんな視野のお客様に観ていただきたいです」と意気込んだ。
なお、本公演ではパリ公演も行われる。2013年、同じくパリ公演が行われた松尾の作品『マシーン日記』以来、「松尾作品を再びパリで」と望む声が多く、今回は「大人計画」の劇団公演として初の海外公演に臨む。さらに、フランスにおいてアヴィニョン演劇祭と双璧をなす舞台芸術祭、フェスティバル・ドートンヌに参加も決定している。
日本総合悲劇協会 vol.6『業音』は、8月10日(木)から9月3日(日)まで東京・東京芸術劇場 シアターイーストにて上演される。その後、名古屋、福岡、大阪、松本、パリを巡演。日程の詳細は、以下のとおり。
【東京公演】8月10日(木)~9月3日(日) 東京芸術劇場 シアターイースト
【名古屋公演】9月13日(水)・9月14日(木) 青年文化センター アートピアホール
【福岡公演】9月16日(土)~9月18日(月・祝) 西鉄ホール
【大阪公演】9月21日(木)~9月24日(日) 松下IMP ホール
【松本公演】9月29日(金)~9月30日(土) まつもと市民芸術館 実験劇場
【パリ公演】10月5日(木)~10月7日(土) パリ日本文化会館
【オフィシャルHP】http://otonakeikaku.jp/2017go_on/