2017年5月25日(木)より東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて舞台『幻想奇譚 白蛇伝』が開幕した。本作は、「西遊記」「水滸伝」「三国志」に並ぶ著名な民話である「白蛇伝」をベースに、脚本・演出の菅野臣太朗が描くファンタジー。初日前日には公開ゲネプロと囲み会見が行われ、主演の山下聖菜をはじめ、伊勢大貴、椎名鯛造、Kimeru、秋夢乃、兼崎健太郎ら全出演者13名が登壇した。
主演を務める山下が演じるのは、大白蛇の妖・白娘(パイニャン)。ある出来事をきかっけに外界へ落ち、助けてくれた青年に恋をする。そんな役どころについて、山下は「人間に対してすごい愛情を持った、妖らしくない妖です。他とは違っていても、それをまっすぐ貫いていく強さのある魅力的な女性だと思います」とコメント。さらに人間の姿と白蛇の姿で“二面性”があることも明かし、「結構戦うシーンもあるので、観ていただきたいです」とアピールした。
白娘が恋をする薬売りの青年・許仙(キョセン)役の伊勢は「今回、オリジナルの演出で、両親から聞いていた歌が大好きな青年になっています。この歌を通して、許仙の優しさを表現していきたいです」という言葉どおり、劇中では何度か歌声を披露。歌手としても活躍する伊勢の、柔らかく深い響きを持った声に注目だ。
白娘を慕って人間界に一緒に降りてきた青魚の化身・少青(シャオチン)役を演じるのは椎名。「幼馴染のような関係の白娘のことがすごく好きなんですが、突然ライバルが現れて・・・しかもそれは人間。思いも環境も複雑なんですけど、こういう愛の形もいいなと思ってもらえたら」と語る。無邪気故にとんでもないことをしでかしてしまう少青だが、その想いはひたすら一途。椎名はキレのある身体能力で魚の妖らしさを表現することはもちろん、その想いを表情で雄弁に物語っていた。
白娘の因縁の相手となる妖の女頭・胡媚娘(フーメーニャン)役の秋は「妖艶な妖で、悪役と思われがちかもしれないですけど、実は人間との関係で傷ついた過去を持つ切ない役です。一人の女性として、ラストシーンに込めた深いメッセージを感じていただけたら嬉しいです」、そんな胡媚娘に側近として付き従う狼の化身・天狼(テンロウ)役のKimeruは「頭の切れる妖で、殺陣がスマートなので注目していただけたら」とそれぞれアピールした。
そして高僧・法海役の兼崎は、釈迦如来の命を受けて妖退治を行っている役どころのため立ち回りが多いそうで「中国ならではの動きもありますね。僕自身、中国武術が大好きなので楽しみながらやっています」と言いつつ、「出る度に戦っているどんどん疲れていきます(笑)」と冗談を混ぜ、共演者たちを笑わせていた。
このほか、仙人で白娘の義兄・黒風仙(伊阪達也)、許仙の働く薬剤店の店主・王琳(反橋宗一郎)、胡媚娘に従う熊の化身・剛双(横井寛典)、蛇の化身・斑(鷲尾修斗)、蛙の化身(齋藤健心)、法海の弟子として共に旅をする僧侶・素道(秋沢健太朗)など、個性豊かな人物たちが登場する。それぞれの抱える背景が、壮大なファンタジーを彩っていく。
妖が人間に恋をする。その純粋な想いの行く末は―。
Askプロデュースvol.18『幻想奇譚 白蛇伝』は、5月25日(木)から5月30日(火)まで東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて上演。
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)