安西慎太郎、松田凌、前島亜美らがもたらす、ありふれた職場の小さな“奇跡”舞台『幸福な職場』開幕

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2017年1月26日(木)より東京・世田谷パブリックシアターにて、舞台『幸福な職場~ここにはしあわせがつまっている~』が開幕した。本作は昭和34年、蒲田の工場で、初めて知的障がい者を雇用した時の実話をもとにした「お仕事」にまつわる物語。その初日前に公開ゲネプロと囲み会見が行われ、安西慎太郎、松田凌、前島亜美(SUPER☆GiRLS)、谷口賢志、馬渕英里何、中嶋しゅうが登壇した。

『幸福な職場』公開ゲネプロ_3

昭和34年、大森康弘(安西)は病に倒れた父親の代わりに、通産省への道を諦めて、チョーク工場・日本理化学工業の専務として働いていた。工場では、突然に若造が自分の上司になることを快く思わない久我省一(谷口)と、開発部で働きたいが、単調な現場作業に飽きている原田亮輔(松田)が働いていた。そんなある日、養護学校の教師・佐々木友枝(馬渕)が知的障がいを持つ吉岡聡美(前島)を雇って欲しいと訪ねてくる。最初は断っていた大森。このやり取りを、大森の父親から康弘の面倒を頼まれていた寺の住職・谷口欣太郎(中嶋)も見守っていた。やがて、佐々木の熱意に負けて仕方なく、大森は「職業体験ならば」と聡美を受け入れるのだが・・・。

作・演出を手掛けるきたむらけんじがプロデュースする劇団「東京フェスティバル」で2009年に初演されて以来、5度目の再演となる本作だが、今回はオール新キャストとなっており、新たなエピソードも追加されている。

『幸福な職場』公開ゲネプロ_2

初日を迎え、安西は「きたむらさんとのお話で、仕事場は不満だったり色々なものをため込んでしまう場所だけど、この作品を観て、明日頑張る材料とかを探し出してくれたらという話しをしていました。本当にそういう作品に仕上がっています」と挨拶。続けて「僕の役は、最初は知的障がい者の方を否定しているんですが、やがて、その方を雇用することが、会社にとって一番良いことだと決められる、そういう懐が深く魅力的な男です」と役の魅力を語った。

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仕事に不満を持っていたところに、知的障がい者と働くことになってしまう若者を演じる松田は「自分が演じる役は、知的障がい者の雇用に対しての反発心を持っていたりと、相対する役どころになります。でも、そういった気持ちは誰しも瞬間的に抱いてしまうと思うので、共感していただきつつ、人間としても少しずつ成長していくような様を感じてもらえたらと思います」と役に対する思いを打ち明けた。

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本作の中心であり、知的障がい者という難しい役を演じる前島は「知的障がい抱える人生について、色々と考えながら稽古をしてきました。そして、知的障がい者の方でも、一人の人間の人生ということには何も変わりがないと気づきました。夢もあるし、恋もするし、働く幸せを求めて、この職場で働かせてくださいと、たくさんの人に声を届けていきます。その姿に、皆さんが慣れすぎて感じられていない幸せを見いだして欲しいです」と呼びかけた。

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本作は実話をベースに脚色した物語であるが、そのことについて、谷口は「その点を皆で大切に、そして重大にも感じつつ、舞台を作ってきました。この6人による稽古場は本当に楽しくて、素敵な舞台になっています。現実に起きた話ですから、皆さんの現実と繋がって次に進む一歩になってくれたら嬉しいです」とコメント。

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そして、それぞれ見守る立場を演じる馬渕と中嶋。馬渕は「とても有意義な稽古を経て、初めて芝居を通すことになります。できるだけリラックスして楽しんで、そして感じたものをそのまま、たくさんの方に伝えていただければと思います」と意気込み、中嶋も「とても楽しいキャストに巡りあえました。その楽しさがお客さんに伝わって、楽しんでもらえたらと思います」と初日を迎えての気持ちを語った。

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障がいを持った少女が人生で初めて「働く喜び」を知り、様々な事情を抱えた従業員たちに、仕事への向き合い方を考えるきっかけをもたらす本作。深く考えさせられる作品ではあるが、決して悲壮になることはなく、時に笑いに溢れる心温まる作品だ。

『幸福な職場』公開ゲネプロ_10

舞台『幸福な職場~ここにはしあわせがつまっている~』は、1月29日(日)まで東京・世田谷パブリックシアターにて上演。

(取材・文・撮影/櫻井宏充)

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この記事を書いた人

演劇、海外ドラマ、映画、音楽などをマルチに扱うエンタメライター。エンタステージ立ち上げからライターとして参加し、小劇場から大劇場のストレートプレイにミュージカル、2.5次元、海外戯曲など幅広いジャンルにおいて演劇作品の魅力を日々お伝えしています!

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