2017年5月から6月にかけて上演が決定している岩松了の最新作『少女ミウ』。2011年の『国民傘』以来、ザ・スズナリという濃密な空間で上演される本作は、一家心中の生き残りの少女・ミウをめぐる「虚偽と真実」についての青春群像劇となる。出演者には、堀井新太、黒島結菜をはじめ、川口覚、富山えり子、金澤美穂、篠原悠伸、藤木修、新名基浩、岩井七世、安澤千草という10名の若手俳優が集まった。
この度、公演ビジュアルが公開された。合わせて、岩松、堀井、黒島からコメントが届いている。
◆岩松了(作・演出)
何年かにいっぺんやりたくなる、小さい劇場での若手公演っぽい感じの一環です。自分で区分けしているわけじゃないんですけど、そういう時は実験的な発想になりがちですね。今回はすごく原始的なことをやりたいと思い、「人もまた動物である」というフレーズを自分の中に置いて考え始めました。人間社会の規律を生み出している倫理や道徳は“人は動物”という観点から考えれば無意味なわけで、その抑圧を外してみたらどうなるか。結果、逆に今の社会を照らし出す形になるのでは。行われていることは、非常に不条理で非人間的なことのような気がするけれども、実は人間の始まりに近いものだという風な印象を、観客に抱かせられればいいなと思っています。
黒島さん演じるヒロインからは、一見おとなしそうだけど非常に無軌道なものを抱えていて、実はこんなに暴力的なんだというような印象を生み出したい。そのことが、“動物的である”ということにつながっていけばいいと思っているんですけど。
◆堀井新太
朝ドラ『マッサン』で父親役だった風間杜夫さんが岩松さんの舞台によく出演なさっていることから、岩松さんの作品を観るようになりました。岩松さんは答えがない、答えを作ろうとしない方なのかなと感じています。僕が未熟ということもあり、作品もですが、ご本人も掴めそうで掴めない、不思議な魅力のあるおじさん、というような印象です(笑)。
ザ・スズナリは、客席が本当に近くて「嘘がバレる!」という怖さがあります。だからこそ、そんな空間で芝居ができることに憧れますし、ましてやここで岩松さんとご一緒できるっていうのは、この上ない幸せです。稽古場では自分の考えなんか全部捨てて、真っ白な状態で岩松さんに染まっていきたいです。
◆黒島結菜
舞台は2本目です。1本目の時は何も分からないなりにすごく楽しくて、すぐもう1回やりたいと思いました。でも、次の作品が岩松さんだと聞いて「どうしよう!」と(笑)。最初は岩松さんに対して怖いイメージがあったんですけど、実際にお話するとそんなことはなかったですね。稽古で何度も同じシーンをやる“千本ノック”の噂も聞きましたが、映像だとそういう機会はなかなかないので、そうやってお芝居を突き詰めていけるのはすごく楽しみです。私は、上手く心を開けないというか、開いているつもりでもどこか自分を隠してしまうところがあったりするんですけど、今回はそういうことを忘れて、全部オープンでやっていけたらいいなと思っています。
『少女ミウ』は、5月21日(日)から6月4日(日)まで東京 ザ・スズナリにて上演される。チケットは、3月11日(土)より一般発売開始。
(撮影/柴田和彦)