2000年に公開され、世界中で絶賛を受けた名作映画『BILLY ELLIOT』(邦題『リトル・ダンサー』)を、アカデミー賞ノミネート監督であるスティーヴン・ダルドリーが演出し、エルトン・ジョンが楽曲を手掛けたミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』。2005年にロンドン・ウエストエンドで初演されて以降、10年以上のロングラン公演を行い、2009年にはトニー賞で10部門を受賞するなど大ヒットを記録した本作が、2017年、ついに日本人キャストで上演される。12月18日(日)には、キャスト発表・ビリー役お披露目会見が行われ、オーディションを勝ち抜いてきたビリー役4名と、吉田鋼太郎、柚希礼音らキャストが発表された。
本作は、イギリス北部の町ダラムに暮らすビリーが、バレエに魅せられ“ダンサーになる”という夢に向かって困難を乗り越えていく姿を描いた作品。日本初演キャストたちは、メインキャストをはじめ、全キャストをオーディションで決定した。中でも、主人公ビリー役は約1年をかけた長期育成型オーディションとして実施され、Kバレエスクール、Higuchi Dance Studio、コナミスポーツクラブなどの日本最高峰のコーチ陣のもと、バレエ、アクロバット、タップなどのレッスンが重ねられてきた。1346名にのぼるオーディション参加者の中からビリー役に選ばれたのは、加藤航世、木村咲哉、前田晴翔、未来和樹の4名。
会見の24時間前に合格が発表されたばかりで、まだ初々しい印象の強い4名だが、名前を呼ばれると笑顔で登壇。加藤は「スタート地点に立つことができたので、引き続き努力してがんばりたいです」、木村は「合格と言われても実感がなかったんですけど、今、こうやって『BILLY』と書かれたTシャツを着てだんだんと実感がわいてきました」、前田は「(合格と聞いて)すごく嬉しかったです。落ちた子の分までがんばっていきたいです」、未来は「これからがスタートだと思うので、努力を忘れないで、自分らしいビリーができるようにしたいです」とそれぞれ意気込みを語った。
この日の会見には、エグゼクティブ・プロデューサーを務めるルイーズ・ウィザーズ、アソシエイト・ディレクターのサイモン・ポラード、アソシエイト・ミュージックスーパーバイザーのスティーブン・アモス、アソシエイト・コレオグラファーのトム・ホッジソンといった海外クリエイティブ・スタッフ陣も出席した。
ルイーズは、本作の魅力を「世界共通で感動を与えているのは『夢が叶えられる』というテーマを持っているからだと思います。また(ビリーだけでなく)ビリーのお父さんの物語でもある。子どものために自分自身を犠牲にするということは、世界中の家族に理解していただける大きなテーマだと思います」と語った。
また、今回のオーディションで重視した点について、トムは「可能性、そして、どれぐらいなりたいかという欲望を見ました。バレエ、アクロ、タップ、芝居、歌といったすべてのスキルを持ってオーディションに臨む子はいません。でも、それぞれ強みを持っていました。自分を表現する喜び、ダンスを踊る喜びを元々持っている子たちでした。私たちはそれを表現するツールを学ばせるのが仕事です。そして、稽古についてこられるタフさを持っているかも見ています。そして、最終的には物語を語ることが出来るかを重視しました」と振り返る。ルイーズも「特別な子ばかり」と笑顔で語り、日本版キャストに自信をのぞかせていた。
なお、この日の会見ではその他のキャストも一挙発表された。ビリーのお父さん役をWキャストで務めるのは吉田鋼太郎と益岡徹。ビリーにバレエのすばらしさを教えるウィルキンソン先生役にはWキャストで柚希礼音と島田歌穂。そして、ビリーが大人になった姿であるオールダー、ビリーにはWキャストでKバレエカンパニーの栗山廉と大貫勇輔が決定した。そのほか、久野綾希子、根岸季衣、藤岡正明、中河内雅貴、小林正寛らの出演も明かされた。
ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』は、2017年7月19日(水)から7月23日(日)まで東京・赤坂ACTシアターにてプレビュー公演が行われ、本公演は7月25日(火)から10月1日(日)まで東京・赤坂ACTシアター、10月15日(日)から11月4日(土)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて上演される。
(取材・文・撮影/嶋田真己)