2016年11月26日(土)より東京・新国立劇場 中劇場にて舞台『ヘンリー四世』第一部-混沌- 第二部-戴冠-が開幕する。その初日前にフォトコールと囲み会見が行われ、浦井健治、岡本健一、ラサール石井、中嶋しゅう、佐藤B作が登壇した。
新国立劇場ではシェイクスピアの歴史劇『ヘンリー六世』三部作(2009年)、『リチャード三世』(2012年)をすべて同じスタッフ・キャストで上演。数々の演劇賞を受賞するなど高い評価を得てきた。そして、今回上演される『ヘンリー四世』は、このシリーズに7年越しで取り組んできた鵜山仁の演出のもと、ダイナミックな二部構成の大作として描く。
フォトコールでは、第二部第5幕より1シーンが公開された。第一部で無頼の騎士フォールスタッフ(佐藤)と放蕩三昧だった、ヘンリー四世(中嶋)の長男ハル王子(浦井)。そのハル王子がヘンリー五世として即位した後に、フォールスタッフ、判事シャロー(ラサール)、ピストル(岡本)の前に現れるシーンが披露された。
囲み会見では、岡本、中嶋と共に『ヘンリー六世』から続いての出演にすることについて、浦井は「メンバーの顔ぶれを見ると、肉親のように思っています。しゅうさんは本当の父親に見えて、舞台上でも自然と涙が出ます。岡本さんは、常に僕のお芝居に助言してくださり、ありがたいです」と共演者を称えた。
今回からの参加となるラサール、佐藤について、中嶋は「こういう言い方は失礼かもしれないですけど、ラサールさんやB作さんのような、シェイクスピアなんてやらないような人たちが、出演してくれることがすごく嬉しいです(笑)」と語ると、佐藤は「中嶋さんのおっしゃるとおり、初めてシェイクスピアのお芝居に出させていただきます(笑)」と笑いながら応えた。
第一部ではギャッズヒル役、第二部では判事シャローを演じるラサールは「少し(言葉を)足さないとナチュラルにならないなところには、鵜山さんからOKをいただいて『シェイクスピアならこう書くだろう』というアドリブも入れています」と明かした。
そんな佐藤とラサールが加わったことについて、岡本は「シェイクスピアは難しくて高尚なイメージがあるんですけど、お二人がいることで、いい意味で日常に入りやすくなって、高尚さがなくなるんです」と語ると、ラサールから「“いい意味で”って付ければ、何言ってもいいと思ってるでしょ(笑)!」とツッコミが入り、会場は爆笑に包まれた。
本作の見どころについて、ラサールは「最初に台本を読んだ印象が、鵜山さんの演出で変化し、すごくおもしろくなっています。ロックもいっぱいかかるし、動きもおもしろいし、セットもすごくて、飽きないと思います」と解説。
シェイクスピア作品への出演について、浦井は「シェイクスピア作品には人間のエネルギーが必要です。身体がトーンダウンしてしまうと最後の台詞まで到達できないので、体力づくりをがんばっています」と役作りの難しさを説明した。体力づくりの内容を尋ねられると、浦井は「寝る!」と即答。その言葉に、会場からは再び笑いが起こった。
最後に、佐藤が「本気の気持ちだけは失わずに、芝居が上手くできてうまい酒を飲むのが楽しみです(笑)」との意気込むと、浦井は「自分はお酒が飲めないので、B作さんたちが盛り上がっている横でジンジャーエールを飲みます(笑)」と笑顔で続け、「全員が命をかけて上演します。お客様が心にこの時間を刻んでいただくと、その時間が永遠のものになると思います。この大作を、お祭りのように楽しんでください」と締めた。
舞台『「ヘンリー四世」第一部-混沌- 第二部-戴冠-』は、11月26日(土)から12月22日(木)まで東京・新国立劇場にて上演される。
(取材・文・撮影/櫻井宏充)