こまつ座第115回公演『木の上の軍隊』が、2016年11月10日(木)から11月27日(日)まで東京・紀伊國屋サザンシアターにて上演される。本作は、井上ひさしがオキナワの二人の兵士の逸話をもとに20年以上構想を練り続けるも上演に至らなかった作品。その思いを引き継ぎ、モダンスイマーズの蓬莱竜太が生前の井上が遺したメモや資料本などから書き下ろし、2013年に初演された。
3年ぶりの再演となる今回は、上官役を初演から引き続き山西惇が演じ、新たなキャストとして新兵役に松下洸平、語る女役に普天間かおりを迎える。演出を手掛けるのは、初演と同じく栗山民也。上演にあたり、出演者からコメントが届いている。
◆山西惇(上官役)
『木の上の軍隊』は、間違いなく自分の俳優人生の節目となる作品だった、と思います。モチーフである史実の重さ、原案の井上さん、脚本の蓬莱さん、演出の栗山さん、それぞれの思い、それら全部を引き受けて、舞台上の木の上で「上官」として生きる、という体験は、精神的にも肉体的にも凄絶なもので、経験や技量を超えた「俳優に必要な何か」を自分に掴ませてくれたと思うからです。初演から3年、新たな共演者と作る、新たな『木の上の軍隊』。今の自分のすべてを注ぎ込んで、もう一度、この壮絶な作品に立ち向かう覚悟です。
◆松下洸平(新兵役)
昨年、演出の栗山民也さんから「木の上、よろしくな」と仰っていただいた日から、僕の頭の中にはいつもこの作品があります。初演の客席で、涙を拭きながら精一杯の拍手をしていたのを今でも覚えています。出演が決まり、嬉しくもあり、時々まだ夢なのではないかと疑う日もあります。多くの方に愛された戯曲を共演者の皆様と考えながら、新しい『木の上の軍隊』をお届けできるよう精一杯演じさせていただきます。
◆普天間かおり(語る女役)
はじめまして。『木の上の軍隊』に出演させていただきます普天間かおりです。大切なメッセージが込められたこの素晴らしい作品に加われますことを、心から嬉しく光栄に思っています。舞台初挑戦ではありますが、沖縄のアイデンティティをそっと胸に抱きながら、精一杯取り組みます。ぜひ劇場へお越しくださいませ。
沖縄の基地の問題が次々と起こり続けている“現在”だからこそ、決断された再演。蓬莱は、「語る女」に「琉歌」を歌わせるなど、脚本に改訂をほどこした。
こまつ座第115回公演『木の上の軍隊』は、11月10日(木)から11月27日(日)まで、東京・紀伊國屋サザンシアターにて上演される。