2016年9月6日(火)、東京・Bunkamura シアターコクーンにて『家族の基礎~大道寺家の人々~』が開幕した。本作は倉持裕が、初のシアターコクーン公演のために書き上げた新作コメディ。初日前日には公開ゲネプロと記者会見が行われ、作・演出の倉持に加え、松重豊、鈴木京香、夏帆、林遣都、堀井新太、黒川芽以、山本圭祐、坪倉由幸、眞島秀和、六角精児が登壇した。
舞台は、大道寺尚親(松重)が息子の益人(林)からインタビューを受けているシーンから始まり、やがて尚親の回想シーンへと繋がっていく。松重が「10歳から実年齢の役までを演じるんですけど、10歳の少年は息が上がります(笑)。この舞台の短い時間を、人生のように走り切りたいです」と意気込みを語ったように、普段は見られない松重の少年姿は、実にコメディらしく楽しい。
そして、尚親は須真(鈴木)に出会い、結婚する。松重と鈴木は、これが舞台初共演。夫婦という役どころについて、松重は「鈴木京香さんと“疑似家族”を作り上げる過程が、本当に幸せでした。鈴木京香さんという人を好きになりました」と告白。鈴木も「今までの松重さんの頼れるイメージが100倍ぐらい増して、頼り切ってしまいたい気持ちになりました」と松重への信頼を明かした。
尚親の娘・紅子役の夏帆も「お父さんとお母さんが出会ってプロポーズするシーンが好きです。娘としてはこうやって夫婦になったんだと思うと、気恥ずかしいところがあるんですけど、その瞬間の松重さんと京香さんがとても可愛らしいんです」と見どころとして、そんな二人の出会いのシーンを挙げた。
大道寺家の隣人の少年・明司を演じる堀井は「劇中で大道寺家が成金になる瞬間がすごくおもしろいです。成金具合が半端じゃないです(笑)」と説明するように、大道寺家は偶然に思いついたヒット商品で大金持ちとなるが、やがて家族の中のすれ違いが激しくなっていき・・・。波乱万丈の大道寺家がどうなっていくか、笑いとともに目が離せない。
そして、鈴木が「子どもたちだけで親のことを話し合っているシーンが雰囲気が良くて、楽しくて好きです」と、見どころとして挙げる若手俳優陣たちの演技にも注目だ。その中でも、舞台初出演の林。「稽古が終わって寂しかった」と言いつつ、「今は、皆さんと本番で毎日お芝居ができるという嬉しさが上回っています」と語り、伸び伸びとした演技を繰り広げていた。
また、歌やダンスのシーンもあり、紅子の友人・由弦役の黒川が「五郎丸(六角)さんが歌って、みんながダンスをするシーンとか曲が好きで、ハッピーな気持ちになります」と話すと、五郎丸役の六角は「自分のバンドを持って紅白に出るのが夢でして、これが良い足がかりになればと思っています(笑)」と冗談を交えてコメント。
松重が「『家族の基礎』というタイトルからもわかるように、妻との出会いから子どもたちの成長までが描かれているんですけど、家族で言い争うシーンが一番楽しいです」と語っていたが、常に順風満帆とはいかないのが家族というもの。波瀾万丈の大道寺家はどうなっていくのか、大道寺家の“基礎”とは・・・?コメディでありながら、最後はホロリとさせる、実に楽しい作品だ。
『家族の基礎~大道寺家の人々~』は、9月6日(火)から9月28日(水)まで東京・Bunkamura シアターコクーンにて上演。その後、愛知、大阪、静岡にて公演を行う。日程の詳細は以下のとおり。
【東京公演】9月6日(火)~9月28日(水) Bunkamura シアターコクーン
【愛知公演】10月1日(土)・10月2日(日) 刈谷市総合文化センター 大ホール
【大阪公演】10月8日(土)~10月10日(月・祝) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
【静岡公演】10月16日(日) 浜松市浜北文化センター 大ホール
(取材・文・撮影/櫻井宏充)