2016年9月3日(土)より東京・シアターGロッソにて舞台『インフェルノ』が開幕した。『メサイア』シリーズや『魔界王子 devils and realist』で知られる高殿円が原作を手掛け、漫画をRURUが担当し、漫画雑誌「ARIA」(講談社)で連載中の近未来サスペンス・アクションが、早くも舞台化。植田圭輔演じるコーザ・ファミリーの御曹司・リッカと、平野良演じるリッカの“息子”・ノエルの「血よりも濃い絆」の物語が描かれる。
皇歴235年、人形(ドール)病という死に至る病の大流行により、富裕層は東京湾に巨大な人口の島、通称「セブン」を作った。捨てられたかつての東京、通称「ラージ・プリズン」は、マフィアたちが群雄割拠する巨大なスラムと化していた。
ロシア系マフィアとして巨大な勢力を持つコーザ・ファミリーの御曹司という運命を背負ったリッカ、そして「ラージ・プリズン」の底辺でスラムドッグとして生きていたノエル。二人は運命の出会いを果たし、血とワインと短剣の儀式で“親子”となった。マフィアたちは幹部の椅子を求め、抗争を激化させる。入り乱れる様々な思惑に、リッカとノエルも次第に巻き込まれていく・・・。
植田は、「この『インフェルノ』という作品が舞台化されるのは初めてになりますが、キャストにはそうそうたるメンバーが揃いました。作品をより良くしようと、稽古の初期段階から演出の西森(英行)さんを中心にみんなでディスカッションし、認識を合わせながら、一つのゴールを目指してきました。僕自身、初日の幕が開けてもまだまだ上を目指して、お客様に本当に楽しんでいただけるような作品になるよう、がんばります。ぜひ、お楽しみください!」と意気込む。
平野は、「ここまでアクションが多い作品は、30代になってからは間違いなく初めて。派手な演出やアクションが多いので、アクションチームを含め、怪我をせずに最後まで走れたらいいなと思っています。アクションやセットも豪華なので、目で観て楽しい部分もありますし、根本には人と人との心理戦もあります。演劇的にも、かなり楽しめる作品になっていると思います」とコメント。
見どころについて、植田は“男っぽさ”を挙げ、「女性だけでなく、男性のお客様にも楽しんでもらえるのでは。肉弾戦だけでなく、言葉の中に潜むやりとりがすごくスリリングです」と語り、平野は“人間模様”として、「リッカとノエルだけでなく、その周りにいるキャラクターたちにもいろいろ繋がりがあり、その関係がまたおもしろいと思います。一人一人が主役のように、観てくださるお客様が誰にでも感情移入できるような作り込みをしてきました」とアピールした。
原作者である高殿が脚本を手掛けており、リッカとノエルだけでなく、野心を持つクラウド(山内圭輔)と彼を熱く慕うスネーク(桑野晃輔)の信頼関係、掴みどころのないウィウィー(唐橋充)とその尻を叩きながら支えるアンク(新田健太)のバディ関係も濃く描かれている。
リッカを溺愛する兄・サーシャ(藤田玲)、平和主義のリッカの叔父・オリーブ(藤原祐規)、謎の辻占い師・ブラック・サンタ(中村龍介)も多面的な顔を見せ、物語が進むにつれキャラクターの造形を一層深めていく。
また、アクションシーンでは“ナイフの名手”であるノエル演じる平野のナイフ捌きが鮮やかだ。特に、片桐康志(六本木康弘)との闘いで見せるその手腕には、目を見張るものがあった。シアターGロッソという劇場空間を存分に使った演出も、目がいくつあっても足りないぐらい見応え抜群。
今回の平野を「動」とすれば、リッカ演じる植田は「静」。幼い頃に家族とともに毒を盛られ、足に後遺症を持つリッカは、深く思慮を巡らせながら、鋭い眼差しで自らの運命を切り開いていく。これまでのイメージを覆すような、二人の熱演にも注目だ。
(撮影/鏡田伸幸)
『インフェルノ』は、9月3日(土)から9月11日(日)まで東京・シアターGロッソにて上演。
なお、ニコ生で9月10日(土)の13:00公演と18:00公演が生配信されることも決定。さらに、ルッキュでも千秋楽の9月11日(日)16:00公演の模様が後日配信される。詳細は、公式ホームページにてご確認を。
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