舞台『七夕ジャンクション~昭和篇~「探偵遊戯と優しいウソ」』が2016年8月3日(水)より東京・銀座 博品館劇場にて幕を開けた。本作は、2015年7月に上演された舞台『七夕ジャンクション』シリーズの2作目で、江戸を舞台とした前作から、タイトルのとおり昭和へと時代を移して物語が展開。初日と同日に行われた公開ゲネプロの模様をレポートする。
W主演に『SHOW BY ROCK!! MUSICAL~唱え家畜共ッ!深紅色の堕天革命黙示録ッ!!~』、『ハッシャ・バイ』など舞台を中心に目覚ましい活躍を見せる米原幸佑と、『仮面ライダー アマゾンズ』で仮面ライターアマゾンアルファ役を務める谷口賢志を迎える他、田上真里奈、松本寛也、加藤真央といった若手俳優から、石坂勇、秋本奈緒美といったベテラン俳優まで多彩な顔ぶれが並んでいる。
舞台は蔦屋平九郎(米原)が営む「蔦屋探偵事務所」。いつものように閑古鳥が鳴くある日、事務所のドアを少女・めぐ(田上)がノックする。舞い込んだ依頼の内容は、「父親を殺してほしい」という、かわいらしい見た目に似つかわしくない恐ろしい内容であった・・・。蔦屋は、彼女の顔を見るやいなや、20年前の高校時代、校舎の隅にあった「探偵倶楽部」での日々を思い出す。
めぐの登場により導かれるように再び集まった山城麻司(谷口)や斎賀雅俊(加藤)など、かつての「探偵倶楽部」のメンバー。めぐの依頼を受けて奔走する現代と、彼らが高校時代に結成した「探偵倶楽部」での出来事が複雑に関係し合い、やがて巨悪の存在が浮かび上がる―。
本作の見どころの一つは、蔦屋平九郎役の米原と山城麻司役の谷口の息の合った掛け合いだろう。前作では江戸を舞台に宿命の戦いを繰り広げる敵だった二人だが、今作では親友でありライバルという密な関係であるため、コンビネーションがさらにパワーアップした印象を覚えた。コミカルに笑いを誘う場面もあれば、時に情熱的にぶつかり合う二人。物語をひっぱる米原と谷口のやりとりに注目である。
また、タイトルに「七夕」がついている通り、過去の因縁と未来の運命が時空を超えて重なり合う巧みな構成も見どころだ。少女・めぐの存在を巡って思い出される過去の因縁と恋。蔦屋と山城は、高校時代に置いてきた後悔を背負って、現代の巨悪に立ち向かっていく。サスペンスと青春、二つのジャンルが巧みに混ざり合って、観客を物語の中へ引き込んでいく。
石坂のダンディな佇まいや、秋本の知的でセクシーな振る舞いなど、ベテラン二人の存在も必見だ。また、「七夕」といったロマンチックなモチーフを、シンプルな舞台空間ながら照明が幻想的に彩る。歌やダンスも盛り込まれ、時間が経つのがあっという間に感じる必見のエンターテインメント作品であった。
カーテンコールでは、米原が取材陣に向かって「しっかりとしたものをお客さんに届けられるよう、キャスト一丸となってがんばっていきたいなと思います」と熱く意気込みを語っていた。
『七夕ジャンクション~昭和篇~「探偵遊戯と優しいウソ」』は、8月3日(水)から8月7日(日)まで東京・銀座 博品館劇場にて上演。
(取材・撮影/大宮ガスト)