2016年5月11日(水)より東京・草月ホールでの開幕を前に、ムッシュ・モウソワール第二回来日公演『レッド・ジャケット』の来日記者会見が、5月2日(月)都内にて行われた。会見には、出演する平野良伯、滝川英治伯、宮下雄也伯、佐藤永典伯、オラキオ伯、脚本・演出の西田シャトナー伯が出席。稽古真っ只中の様子と、開幕に向け意気込みを語った。
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今回で二回目となる来日公演について、シャトナー伯は「一回目の来日公演のあと、もう一度来日できたらいいなって、みんなで話していて。でも、スムーズに決まったわけではなく、実現しないかもしれない中で相談を繰り返してきたので、再来日できることを大変嬉しく思います」と喜びを語った。
前回公演に続いての来日となったオラキオ伯は「せっかく二回目の来日が叶いましたので、これで終わらせたくない!また三回目ができるように、一回一回が勝負です!!」と並々ならぬ意気込みを窺わせる。
こちらも再来日となる平野伯は、「昨今演劇ブームですが、少人数で(作品作りを)できるということは、役者として至福。今回のメンバーも誰一人個性が被ることなく、この5人だからこそ無限に広がる空間ができるんだなと思いました。劇場も雰囲気あるところなので、本番が楽しみですね」とコメント。
今回の会場には、日本を代表する芸術家・勅使河原宏による壁面陶板が見事な空間演出を生み出す草月ホールが選ばれている。「シャトナー伯の演劇の作り方はとても面白い。みんなで劇場見学に行くんです。稽古場だけで(芝居を)作るのではなく、劇場見学を通して、どんな空間でどんなお芝居をやるのか、一の一から作っていく。その感じが僕はとても好きです」と、同じく再来日の宮下伯はシャトナー伯の独特の手腕を教えてくれた。
今回がムッシュ・モウソワール初参加となる滝川伯は、「シャトナー伯からかけて頂く言葉、皆さんの芝居からも、発見がたくさんあります。日々勉強し刺激を受けながら、終わった時に“このお芝居に出れてよかったな”と心から思えるように、励んでいきたいと思っております」と決意を明かし、同じく初参加の佐藤伯は「僕は、シャトナー伯の作品に出演すること自体が初めてなのですが、挑戦してみたかった世界観や役を頂けてこの芝居の中にいられることが嬉しいなと思っています」と目を輝かせた。
また、稽古場ではよく“お茶会”が開かれているそうで「稽古時間のうち、半分はお茶会してるかもしれないですね(笑)。そういう空気感も作品に反映されている気がします」と平野伯。シャトナー伯は、「それぞれのセンスとか感覚というものを芝居に組み込もうとしているので、お茶会みたいな時間は必要なんですよね」と笑う。このほか、気合いを見せるために突然脱ぎだす滝川伯や、心を許すとおなかを見せてしまうオラキオ伯などのエピソードも飛び出した。
本作で描かれるのは、5人の妄想紳士たちが“たとえ話”を繰り広げる密室脱出劇。シャトナー伯は、今回の作品について「前作『ブラック・ベルト』は、エンターテインメントの要素が強くどんどん外に向かっていくような感じでしたが、今回は気がついたら井戸の中に落ちているような・・・底があるのかわからないお芝居です。密室というけれど、密室ほど果てしなく広いものはもない」と評す。
また、平野伯が「今回演じる役は、今まで僕が演じてきた役どころとちょっと違って、物語を滑り出しから組み立てていく役どころ」と明かすと、オラキオ伯から「確かに、平野伯は器用だからなんでもできるけど、『北斗の拳』で言うとケンシロウっぽくはないもんね」と突然の“たとえ話”が飛び出す一幕も(ちなみに、平野伯は『北斗の拳』で例えるとアミバっぽいとのこと。ムッシュたちは日本の漫画にもお詳しい様子)。
最後に、平野伯は「僕らが仕掛けた想いや罠が、全部お客様に届いたならば、あっという間の芝居だと感じるのでは。でも、後々この話を思い出す時は、あっという間とは思えないぐらいの内容になっていると思います」、宮下伯は「もしかしたら、8割ぐらいのお客様はこういうスタイルの演劇を観るのは初めてかもしれない。新しい世界と新しい生き物を観る感覚で来てほしいなと思いますね」と呼びかけた。
会見後には、稽古の様子も一部公開。「瀕死の男」、「外へ出たがる男」、「中に居たがる男」、「軍人」、「化け物」の中で、オラキオ伯が「軍人」を演じることも明かされた。一人一人に、台詞と肉体の方向性を示していくシャトナー伯。間近に迫る開幕が待ち遠しい。
ムッシュ・モウソワール第二回来日公演『レッド・ジャケット』は、2016年5月11日(水)から5月15日(日)まで東京・草月ホールにて上演される。
(C)ムッシュ・モウソワール第二回日本公演実行委員会