森山未來、大植真太郎、平原慎太郎によるフィジカルパフォーマンス『談ス』が、3月1日(火)の鎌倉芸術館 小ホール(神奈川公演)を皮切りについにスタートした。本作は、三人のダンサーが、舞台上で身体全体を使ってその独特な世界観を表現する作品。舞台で組み体操のようなダンスから、チョークと3人の動きを組み合わせたパフォーマンスまで、ダイナミックに表現する新しいダンス公演となっている。
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2014年に行われた初演が大反響を呼び、再演の要望を多数受け、今回ダンス公演としては異例の15都市24公演を行う本作。日本に先駆け、2月にはストックホルムでも公演が行われた。初演ではなかった小型カメラを用いた新演出を取り込むなど進化を見せている。ストックホルムの地元新聞社の記事では、「談ス(C/Ompany)恐れに挑む容赦ない道化」と評された。
以下、「スヴェンスカ・ダーグブラーデット」より。
スウェーデンと日本を拠点にするC/Ompanyの新しい作品は曲芸的で容赦ない道化と言える。3人のダンサー達はものすごいスピードで互いにぶつかり合い取っ組み合う。
3人のタイトな相互作用は現在のストックホルムのダンス界では勝利的なコンセプトだ。Kenneth Kvarnstromと彼のカンパニーであるKulturhusetでの作品「TRE」が痛いほどに美しい動きと技の融合だとしたら、大植真太郎の新作「談ス」は最高なる道化作品だ。両作とも同様に人間の存在について、不確かな要素や人間関係における可能性やその反動から照らし出される人生などをテーマにしている。
日本人のダンサー兼振付家の大植真太郎は、これまでにC/Ompanyのプロジェクトにおいて肉体的なルールと芸術的な暗号を用いて、ユーモアと暗さのある暴力的かつ曲芸的な振付作品をいくつか発表してきた。「談ス」も例外ではない。ライブカメラによって鳥瞰的に映し出される、象徴的な2体のブリキ製おもちゃの兵隊達は時に喋ったり、時に振付家の役割を果たす。
円形の床とチョークもまたこの作品のコンセプトに重要な役割を果たしている。デュオ、トリオが発する英語、日本語、それぞれが少しずつ混ざったうなり声、うめき声、掛け合いは、武道の様なコンタクト即興とともに豪華な乱交パーティーの様な効果を生み出す。大植真太郎、森山未來、平原慎太郎の3人からはまるで見知らぬ力が押し出されているかのようだ。彼らの身体は、互いにバランスを取りあう面になったり、時には違う物体を想起させたり、また日本のある種“自虐的”なカルチャーを飾らずに取り込みつつ同時にそれを自嘲してみたり。息つく間もないほどの驚きが散りばめられている―ここではみんなが恐れに挑戦するように取っ組み合う―だが終盤に訪れる静寂の前には「攻撃的な」動きや、そこらじゅうに散乱するチョークのオーバードースを少し味わう事も出来る。
終盤、舞台は廃墟を思わせ、床にはBIRD、PLANT、HOPE、LOVEなどの言葉が見られる。最後にはこの剥き出しの大地の中央にトリオが輪になって立ち、互いに大胆に倒れかかる。距離が離れることで相手に受け止められないリスクが増える。人間のパラドクスを力強く、複雑に表している。
『談ス』全国ツアーは、2016年3月1日(火)の神奈川・鎌倉芸術館 小ホールを皮切りに、全15都市24公演が行われる。日程の詳細は下記のとおり。
◇『談ス』全国ツアー日程◇
3月1日(火) 神奈川・鎌倉芸術館 小ホール
3月3日(木)~3月8日(火) 東京・イイノホール
3月9日(水) 愛知・アートピアホール
3月11日(金)~3月13日(日) 大阪・大阪ビジネスパーク円形ホール
3月14日(月) 長野・まつもと市民芸術館 実験劇場
3月16日(水) 石川・金沢市文化ホール
3月17日(木) 新潟・りゅーとぴあ・劇場
3月19日(土) 青森・リンクモア平安閣市民ホール
3月20日(日) 宮城・仙台電力ホール
3月22日(火) 北海道・道新ホール
3月24日(木) 京都・ロームシアター京都 サウスホール
3月25日(金) 広島・広島市南区民文化センター ホール
3月26日(土) 福岡・アクロス福岡 イベントホール
3月27日(日) 大分・大分コンパルホール
3月29日(火) 沖縄・国立劇場おきなわ