シャーロットが“悪女”になって日本凱旋!ミュージカル『CHICAGO』開幕レポート

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2015年12月4日(金)に東急シアターオーブ(東京・渋谷)で初日の幕を開けた『シカゴ』。ブロードウェイでは史上最長ロングランを誇り、2002年にはレニー・ゼルウィガー、リチャード・ギア、キャサリン・ゼタ=ジョーンズらの出演で映画化もされているミュージカル作品だ。

関連記事:シャーロット・ケイト・フォックスが、『シカゴ』でのブロードウェイ・デビュー目前の心境と来日公演への意気込みを語る

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1920年代のイリノイ州・シカゴ。ある晩、スターを夢見る平凡な主婦・ロキシー・ハートが別れ話のもつれから不倫相手を射殺。当初は彼女をかばっていた夫のエイモスも真相を知ると証言を翻し、ロキシーは刑務所へと送られる事態に。そこで“女王”として君臨していたのはボードビルスターのヴェルマ・ケリーだった。所内で圧倒的な力を持つ看守のママ・モートンを味方につけ、スター弁護士のビリー・フリンを雇っているヴェルマにはマスコミの取材も殺到。その様子を羨ましく見ていたロキシーは、自分もフリンを使ってメディアの注目を集めようと画策する。二人の“刑務所内スター争い”が行われる中、イリノイ州では別のスキャンダラスな事件が起き、マスコミは二人から離れてしまう。そんな状況を打開しようとヴェルマとロキシ―が放った次の一手とは…。

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2014年後期のNHK朝ドラ『マッサン』で、主人公の妻・エリーを演じ、一躍日本でも人気女優の仲間入りを果たしたシャーロット・ケイト・フォックス。『シカゴ』では夫を支え、ウイスキー造りの夢を全身で支えるエリーとは真逆の“悪女”ロキシーを魅力的に演じている。『マッサン』撮影中にオーディションを受け、見事念願だったロキシー役を勝ち取ったシャーロットだが、殺人犯でありながら、スターになる為に、さまざまな手段を使ってのし上がっていくロキシーの様子もチャーミングで憎めない。

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恋人と妹を手に掛けたことで収監され、刑務所内で女王として君臨するヴェルマを演じるアムラ=フェイ・ライト。“史上最高のヴェルマ”とも称されるアムラだが、今回の来日公演でもその実力を如何なく発揮している。肩や腕、首のちょっとした角度でさまざまなことを表現する「フォッシー・スタイル」のダンスを完璧にこなし、舞台全体を牽引していく様は流石の一言。ブロードウェイやウエストエンドでヴェルマ女優として不動の位置を誇る彼女のアクティングは圧巻だ。

金色の額で縁取られた舞台の中央に鎮座するのはオーケストラピット。この為、アクトスペースが極端に狭い舞台上でキャストたちはセクシーな衣装をまとい、ボブ・フォッシーが創り上げたお洒落でクール、そして「All That Jazz」=なんでもアリ、な世界観を体現していく。主役の二人は勿論だが、物語を彩るサブキャラたちの活躍からも目が離せない。

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スターを夢見て何の予備知識も語学のスキルもなく来日した一人の女性が、一本のドラマで多くの人に愛される女優になり、そのことをきっかけにブロードウェイで念願だったミュージカルの舞台に立って、夢を叶えた国=日本に凱旋…そんなシンデレラ・ストーリーを目撃するのも良し、“史上最高のヴェルマ”に酔いしれるのも良し、フォッシー・スタイルのダンスとさまざまな仕掛けを愉しむのも良し…。ブロードウェイで最も愛されているミュージカルの一つである『シカゴ』の「All That Jazz」スピリッツをぜひ客席で体感して欲しい。

◆ブロードウェイ・ミュージカル『シカゴ』◆

東京公演:12月4日(金)~12月23日(水・祝) 東急シアターオーブ
大阪公演:12月26日(土)〜12月27日(日) 梅田芸術劇場メインホール

(取材・文 上村由紀子)

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