映画『アメリカン・バッファロー』『郵便配達は二度ベルを鳴らす』『ハンニバル』等、現代の錯綜する人間関係を描かせたら右に出る者のないアメリカ演劇界の鬼才デイヴィッド・マメット。そのマメットが1992年に発表し、話題となった二人芝居・舞台『オレアナ』。16年ぶりの日本上演となる今回は、TV、映画、舞台で存在感を発揮する俳優・田中哲司と、本作で初舞台を踏む女優・志田未来が出演。全世界で議論を呼んだ衝撃の問題作の開幕を前に、2015年11月5日(木)、パルコ劇場にてその一部が公開された。
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昇進を目前に控え新居の購入も決まり、前途洋々で順風満帆の若き大学教師・ジョン(田中哲司)。彼の研究室を一人の女子学生・キャロル(志田未来)が訪れる。教授の授業についていけない彼女は、パニックに陥り、どうか単位を取らせて欲しい、と涙を浮かべて懇願する。教授は、彼女の肩を抱いて慰め、紳士的な態度で相談に応じた。しかし後日、彼女が教授を“セクシャル・ハラスメント”を理由に大学当局に訴えたことにより、二人の立場は全く逆転する…。
舞台はジョンの研究室。序盤の淡々とした展開の中にも、これから起こる波乱がそこかしこに潜んでいることを感じさせられる会話の応酬。そしてエスカレートする二人の間に繰り広げられる激しい言葉のやり取りと、深まる“ディスコミュニケーション”。どれほど言葉を尽くしても、果てしなく分かり合えない男と女の姿にハラハラさせられる。
大学教師と女子学生。二人だけの研究室で、本当は何が起こったのか? 被害者なのか…、加害者なのか…。“セクハラ”をキーワードに繰り広げられる、二人きりの緊迫のシーソーゲームに否が応でも引き込まれる。「田中哲司 VS 志田未来」、二人の実力派キャストの演技にぜひ注目だ。
また、この日に行われた会見では、志田から「ずっと今まで怖くて逃げてきたので、今回、舞台に挑戦してみようと。ずっと自分が安全な所にいるなと思い、新しい事に挑戦したいなと思いました」と初舞台に至った思いを告白。
さらに「舞台は難しいですね。まだ始まっていないのでこれからですが、日々勉強です。セリフを覚えるのが大変で、シーンが長いですし、失敗できないというプレッシャーがあります」と悩みを打ち明けると、アドバイスを求められた田中は、志田に対して「むしろ僕が邪魔してましたね(笑)僕が追いつけないので、もうちょっとセリフを覚えるスピードを落として欲しいとお願いしてました。映像作品ではミスをしない彼女が、舞台稽古でミスをすると、未来ちゃんもそういうところがあるんだと思って嬉しかったです(笑)」と会場の笑いを誘った。
それぞれの演じる役については、田中から「僕は全く普通の人の役で、被害者だと思っています(笑)キャロルに対して本当にヒドイなと思っています(笑)」と語ると、志田からは「私自身はキャロルが被害者だと思っています(笑)共感できる部分はありますね」と作品さながらの“ディスコミュニケーション”を披露。
そして、人の捉え方や感じ方によって違う本作について、田中は「お客様によって、男性、女性、年代によっても考え方が違う作品。ジョンとキャロルのどっちよりになるか、僕らも観にきたお客様に聞いてみたいですね。楽しみです」と語った。
【舞台『オレアナ』公演情報】
<東京公演> 2015年11月6日(金)~29日(日)PARCO劇場 (11月6日プレビューオープニング、11月7日初日)
<豊橋公演> 2015年12月1日(火)~2日(水)穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
<北九州公演> 2015年12月5日(土)~6日(日)北九州芸術劇場・中劇場
<広島公演> 2015年12月8日(火)アステールプラザ大ホール
<大阪公演> 2015年12月12日(土)~13日(日)森ノ宮ピロティホール