2015年9月1日(火)、東京・紀伊國屋サザンシアターにて、こまつ座第111回公演『國語元年』が幕を開けた。こまつ座では、本作の上演以降、10月に新宿南口・紀伊國屋サザンシアターにて『十一ぴきのネコ』を、新宿東口・紀伊國屋ホールにて『マンザナ、わが町』の2本同時上演と、劇団では珍しい2作同時上演を行う。本作はこまつ座秋の連続公演の幕開けを飾る作品となっている。
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本作は、井上ひさしの作品の中でも、ことばに対するこだわりや造詣が顕著に表れ、代表作の一つとして語り継がれている。批評性の高い劇ながら、強いメッセージと思いが込められていつつも、多彩な趣向と笑いを楽しみながら、観客をことばの本質へと導いてくれる舞台となっている。
主人公の文部省官吏・南郷清之輔を演じる八嶋智人は開幕に向けて、「稽古初日から本番のつもりで稽古してきましたので、初日もいつものようにやる、という風に思っています。とても優秀なスタッフさん、そして共演者の方々に恵まれて、本番を楽しもうと思っています。僕が演じる清之輔は、実にまじめな普通の人で、今の日本のあり方を支えてきたうちのひとりです。このおかしくも悲しい清之輔という存在を、ご覧いただければと思います。」とコメントを寄せている。
清之輔の妻・光(みつ)を演じるのは宝塚雪組トップスター出身の朝海ひかる。「全員でのチームプレーの芝居なので、集中力を途切らせないように、皆さんの足を引っ張らないよう、自分の課題としてはひとつひとつ大事に演じていきたいです。」と話し、稽古したことを、すべてクリアにできるようにしたいと公演への意欲を語った。
久保酎吉、たかお鷹、山本龍二など芸達者なベテラン俳優陣が、井上が描いた“ことばの日本地図”を芝居によって表現、さまざまな地域の方言がリズミカルにまるで音楽のように奏でられ、観る者は自然と各々の土地のことばが持つ奥深さに気づかされるだろう。言語学的な悲喜劇の末、清之輔が辿り着いた「文明開化語」とは一体どんなものなのだろうか・・・。
こまつ座第111回公演『國語元年』は、9月23日(水・祝)まで、東京・紀伊國屋サザンシアターにて上演。東京での公演後、兵庫、愛知、宮城、山形での公演も予定されている。
撮影:谷古宇正彦