劇団鹿殺しを運営するオフィス鹿によるプロデュース公演『山犬』が東京・座・高円寺にて上演中だ。
同窓会で再会したかつての同級生男女3人。彼らのもとには「テラニシカツヒコ」と名乗る同級生から手紙が届いていたが、全員その同級生のことを思い出せない。手紙に導かれるように裏山に行き、かつて埋めたタイムカプセルを掘り出す3人だが、何者かにより密室に監禁されてしまい…。
この作品は2006年に上演された同名作品のリメイク。劇団鹿殺しの音楽担当である入交星士が書いた小説を原作に、座付き作家・丸尾丸一郎が作・演出を手がけた本作は、エンターテインメント色が強い劇団鹿殺しの本公演とはまた異なったテイストの“本格ホラー”。登場人物は6人とミニマムながら、濃密な空間が舞台上には展開される。鳥肌実、森下くるみ、ISOPPという異色客演陣が想像以上にこの作品世界にハマっているのも、少人数さを感じさせない原因だろう。特に今回初舞台の森下くるみは、全身を酷使する熱演。映像作品とはまた違う顔を見せている。
また、舞台が進み、謎が明かされていくにつれてこの作品が単なる“ホラー”ではないことがわかってくる。胸を掴まれるような切なさは丸尾作品の真骨頂。ぜひこれは劇場で確かめていただきたい。
『山犬』は8月17日(日)まで東京・座・高円寺にて上演。その後8月21日(木)〜24日(日)まで大阪・ABCホールで上演される。