「Dream Stage -読奏劇-」インタビュー!崎山つばさが表現する『走れメロス』は大人の味わい

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8月29日(土)21:00に、「Dream Stage(ドリームステージ)-読奏劇-」第3弾となる崎山つばさの『太宰治 著/走れメロス』が配信される。“「朗読」を楽曲の「Music Video」のように届ける”ことをコンセプトとしたこの企画に崎山はどのように臨んだのか?

偶然から生まれた、タイムリーなイメージの具現化。崎山とクリエイター陣のセッションが、撮影現場を練り上げていく。「どう読みたいか、どう演じたいか」という意思をしっかりと持ち作品と向き合っていた崎山に、撮影終了直後、話を聞いた。

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―― 朗読を“MV風”に仕立てる「読奏劇」撮影を終えられた直後ですが、いかがでしたか?

「MV風」というのがおもしろい企画だなと思いました。想像はできなくはないんですけど、ほかにはないような朗読作品になりそうだなと思って。僕自身も、新しいことに挑戦するのが好きな方なので、お話をいただいて、ぜひ!と参加させていただきました。

――朗読された太宰治の『走れメロス』ですが、実は崎山さんご自身も、何らかの形で触れてみたい作品に挙げていらっしゃいましたよね?

そうなんです。別プロジェクトの配信番組の中で、「国語の教科書を演劇作品としてやってみたい」というお話をしまして。そこで、ちょうど『走れメロス』の名前を挙げていたんですよ。

その翌日くらいだったかな?この「読奏劇」のプロデューサーさんから、『走れメロス』を僕でやりたい、というお話をいただいて。もしかして配信ご覧になっていました?って聞いたんですけど、プロデューサーさんはそんな話をしていたことはつゆ知らず(笑)。「崎山つばさには『走れメロス』だ」という確固たるイメージのもと、オファーをしてくださったそうなんです。こんなすごいタイミングが偶然重なることがあるんだと驚きましたし、何かのご縁だと思って、早くやりたいなと今日を待っていました。

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――崎山さんご自身がこのタイトルをピックアップしたのは何故ですか?

「国語の教科書」の中で特に印象深かったんです。僕は、これを小学校高学年の頃に授業で学んだ記憶があって。「メロスは激怒した。」という一文から始まることが衝撃的だったことを今でも覚えていて、挿絵とかも記憶にあるぐらいなんですよ。力のある作品だからこそなんでしょうね。

でも実際に読み返してみると、意外と忘れている部分もたくさんありました。改めて読むと、懐かしさと「こんなシーンがあったんだ」とハッとすることが多かったです。過去にかえっていくような感覚もありながら、それがまた新鮮でおもしろいなと思いました。

――確かに、子どもの頃に読んだものを今読むと、受け取り方が変わっていることに気付くことが多々あります。

例えば、メロスが邪智暴虐の王と称したディオニスを、子どもの頃は“悪役”として見ていただけだったのですが、大人になった今は「わしだって、平和を望んでいるのだが。」という一言が目につきました。やり方は残酷だとしても、抱えているものがあっての“暴君”なのだなと。

それから、メロスとセリヌンティウスが互いを「殴れ」と言い合う場面も、小学生の頃は正直、何故殴り合うのか、本当の意味をよく分かっていなかったんだなと・・・。でも今は、男の友情を確かめ合ういいシーンだとしみじみ思います。そういう捉え方の違いを感じるのも、おもしろかったです。

――今の崎山さんの“朗読”で、観て聞く方も精神面の成長を感じる・・・大人の味わいですね。

そうですね。友のために必死に走ってきたメロスが、「正義だの、信実(しんじつ)だの、愛だの、考えてみれば、くだらない。」と、自分のしてきた選択を否定するような言葉が並ぶ部分があるのですが、それも今なら分かるなと思ったんです。

僕も、舞台で追い込まれて本当に辛い時とか、それが仕事なのだけれど、やっぱり人間だからやさぐれることもあるし。子どもの頃はすらっと読んでしまっていた気がするけれど、人間の真理というか、ストレートな本質がしっかり書かれているのが、今だから分かるのだと思います。きっと皆さんもそうなんじゃないかな。

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――崎山さんは、本作を含めて3作朗読劇をご経験されましたよね。朗読劇「Reading Stage『百合と薔薇』と、直近で『ラブレターズ』にご出演されたばかりで・・・。

一口に朗読劇と言っても、どれも全然タイプが違う(笑)。この「読奏劇」は、どちらともまったく違いましたね。本を手放して、台詞に感情を乗せて言うシーンを撮影していただいたりもしましたし。今回は、演劇と朗読劇のMIXと言えるような映像作品になりそうです。

――撮影では、監督の中にあるイメージと、崎山さんの中にあるイメージのセッションが形になっていくような印象を受けました。

僕は、監督のビジョンに表現として寄り添いながらも、お話をいただいた時のイメージや、こういう風に作りたいということは、積極的にお伝えしたいという思いを持っているんです。この『走れメロス』についても、どう読みたいか、どう演じたいか、事前にお伝えさせていただきました。今日、監督とお互いのやりたいことをセッションしながら実現できた感じがして、とてもよかったです。やっぱり僕は、そういうものづくりが好きみたいです。

――衣裳をお着物にしたいというのも、崎山さんの発案だったと伺いました。

はい。物語の登場人物のように読むのではなく、作者である太宰治が現代に蘇って、自分の作品である『走れメロス』を読む・・・みたいなセカンドストーリーを、自分の中でサブテーマとして持ちながら読ませていただきました。

――ここまで何作かシリーズの撮影が終了していますが、崎山さんの作品では初めて外ロケも行われました。

実は、最後のシーンは建物の屋上で撮影していただきました。監督から「こう撮りたい」というイメージを、今日この場で伺って、それはやらねばと夕日が沈むのを待ちました。映像としてどういう仕上がりになっているのか、観るのがとても楽しみです。

――この「読奏劇」は、自粛期間中に表現の方法を模索した中で生まれたものですが、崎山さんご自身はどんなことを考えて過ごされてきましたか?

直近でいうと、東映ムビ×ステ 『死神遣いの事件帖』を31公演無事に終えることができてほっと胸をなでおろしました。いつ終わってしまってもおかしくない状況でしたが、それでも劇場に来てくださるお客さん、配信で観てくださるお客さんがいる。僕らも演劇をしたい。待っていてくださる方がいるから生まれるものがある、それが、演劇がずっと残理続ける所以なのかなと。だから、どんな形であれ悪い方向にはいっていないと思いたいです。

時代に合わせて新しい形を模索しながら、それに立ち向かっていく。その真っ只中を経験できたことは、これからに必要な体験だったのかな。でも、何もないことが一番よいことなんですけどね。

――この作品は配信なのでどこからでもご覧いただくことができますし、生配信時は視聴直後の崎山さんのお話が聞ける構成になっています。崎山さんは、ご自身が出演された作品を積極的にご覧になる方ですか?

僕は観る方です。でも、お客様と一緒に観るのは・・・恥ずかしいですね。観て感じたことを、すぐに共有できるのはとても素敵なことだと思うんですけど、やっぱりこっ恥ずかしい(笑)。でも、配信だからご覧になれる方も多いと思います。今は東京だけで公演されるものも多くなっているから。より多くの方へ配信という形で届くとよいなと思います。

――第2弾に登場された大平峻也さんも、崎山さんの『走れメロス』を激推ししていました(笑)。

聞きました(笑)。この「読奏劇」は、作品選びから人それぞれの色がしっかり出ていると思いました。撮影前にもっくん(太田基裕さん)の作品を拝見してきたんですけど、もっくんの大人の色気と語り口調にそそられて、気がついたら物語の中に入り込んでいる感じがしましたし。

僕の『走れメロス』は、監督が映画のような超大作とおっしゃっていたので、どんな仕上がりになるのか、僕も配信当日を楽しみに待ちたいと思います。

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『Dream Stage -読奏劇-』

【#3】8月29日(土)21:00~
崎山つばさ
朗読「太宰治 著/走れメロス」
https://ima-ticket.com/event/119

【#4】9月5日(土)21:00~
橋本祥平
朗読「ヴィルヌーヴ 著/美女と野獣(原題:ラ・ベルとラ・ベート『美し姫と怪獣』)」
https://ima-ticket.com/event/120

【#1】アーカイブ配信:11月30日(月)まで
太田基裕
朗読「シャルル・ペロー 著/眠れる森の美女(原題:眠る森のお姫さま)」
https://ima-ticket.com/event/117

【#2】アーカイブ配信:11月30日(月)まで
大平峻也
朗読「小泉八雲 著/雪女」
https://ima-ticket.com/event/118

※以降順次出演者・配信⽇・朗読作品を発表予定!

【公式Twitter】@dreamline_inc
【公式サイト】https://dreamline.link/dream_stage
【チケット】イマチケ https://ima-ticket.com/dreamstage

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)

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この記事を書いた人

ひょんなことから演劇にハマり、いろんな方の芝居・演出を見たくてただだた客席に座り続けて〇年。年間250本ペースで観劇を続けていた結果、気がついたら「エンタステージ」に拾われていた成り上がり系編集部員です。舞台を作るすべての方にリスペクトを持って、いつまでも究極の観客であり続けたい。

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