2017年1月に東京・全労済ホール/スペース・ゼロにて舞台『おとめ妖怪ざくろ』が上演される。本作は、星野リリィによる同名人気漫画の初舞台化作品。キャストには、2.5次元から小劇場まで、各ジャンルで活躍する俳優陣が集結し、連載10周年となる「ざくろイヤー」の幕開けにふさわしい豪華な顔ぶれが揃った。読み合わせが始まったばかりの稽古場で、主演・総角景役の遊馬晃祐と、敵役となる沢鷹役の安里勇哉に意気込みを聞いた。
――稽古場に入ってみていかがですか?
遊馬:“スタートラインに立ったんだな”という気持ちです。今までと決定的に違うところは“座長”であるということなので、その責任感を改めて感じました。いつもとは違った緊張感とプレッシャーがありますが、優しくて頼れる先輩方が盛り上げてくださるので、ドキドキしつつ安心感もあります。
安里:僕は、今回初めて「敵役」という役どころを演じさせていただきます。これまでは、どちらかというと正統派なイメージの役をやらせていただくことが多かったので、今回のような闇を抱えている悪役という部分がまず自分にとって新鮮ですし、やりがいも感じます。読み合わせでは「妖怪」をどう表現していくのか、という部分についても話しました。まだまだ予想がつかないので、とても楽しみです。
――お二人はこれまでも様々な2.5次元作品でご活躍されていますが、役へのアプローチはどのようにされているのですか?
遊馬:僕はまず、役との共通点を探しますね。例えば、僕、結構ヘタレなところがあるので、今回演じる総角景にも通じる部分があるなと思っています。でも、女性の前ではちょっとでも自分をよく見せたいなとか、弱い部分は見せたくないなとか、見栄を張ってしまうというか・・・勇哉さんはないですか?
安里:なんだそれ(笑)。この歳になったらそこまで考えないよ。俺、辛いもの苦手だけど、相手が誰であっても苦手って言うよ。例えば晃祐が虫が苦手だとして、急に目の前にパッて現れても大丈夫なの?
遊馬:無理です!
安里:女の子の前では?
遊馬:・・・無理です!!
安里:全然カッコつけられてないじゃん(笑)。でも、なんとなく分かるよ。晃祐と総角は似てるところ、あるよね。
――実は妖怪が苦手という役柄ですもんね。ヘタレっぷりも楽しみです(笑)。 安里さんが演じられる沢鷹は、どう捉えていらっしゃいますか?
安里:まだ内容が変わっていったり、ネタバレになってしまったりする部分もあるのですべては言えないんですが、表の顔と裏の顔を持つ、二面性を持った役だと思っていますね。同一人物だけど、別人を演じているような・・・舞台ならではの楽しみを感じていただける役になると思います。
遊馬:昨日の読み合わせの段階でも、勇哉さんはじめ、皆さんキャラクターのポイントをしっかり掴んでいらっしゃって、すごいと思いました。僕も、これから稽古を重ねて役をもっと掘り下げて、より景に近づいていきたいと思いますね。
――今回、様々なジャンルでご活躍されている方が集まっていますが、共演者の方の印象はいかがですか?
遊馬:これまでは2.5次元作品に多く出演されている方とご一緒させていただく機会が多かったんですけど、今回の現場は劇団で長くやられている方、ストレートプレイでご活躍されている方など、いろんな経験をお持ちの方とご一緒させていただくので、すごく刺激を受けています。いろんなことを吸収させていただきたいと思うと同時に、座長としてしっかりしなくちゃと思っています。
安里:今回、女性が多い座組みなんですよね。これは2.5次元作品では珍しいような気がします。妖人省のメンバーは、物語の中でパートナーを組むことになるんですけど、こういった掛け合いのある作品は2.5次元作品あまりないので、新しいなと感じますね。
遊馬:確かに。これまではほとんど男性の舞台が多かったですもんね。
安里:パートナー同士の関係性にも注目してもらえるといいですね。
――ビジュアルもかなり艶やかで、インパクトがありますよね。
遊馬:軍服を着たのは初めてだったので、すごく身が引き締まる思いがしましたね。早くこれを着て舞台に立ちたいって思いました。勇哉さんは、ハマりすぎてますよね!
安里:沢鷹の衣裳は、なんて言えばいいんだろう・・・神主みたいな?和服や着物は着たことがありましたけど、こういうのを着たのは初めてかもしれない。
――結構初めてなことや挑戦が多い作品になりそうですね。
遊馬:そうですね。女性陣も相当ハードだと思います。ダンスもアクションもあると思うので・・・。
安里:たぶん、歌も入るよね?
遊馬:僕、ちょっと歌うみたいです。
安里:大丈夫?ちゃんと歌える(笑)?
遊馬:・・・がんばります(笑)!盛りだくさんですが、お芝居の中に芯の通ったストーリーがあるので、キャラクターらしさや、ヒロインのざくろやライバルとなる沢鷹との関係性もしっかりと表現していけたらと思っています。
――『おとめ妖怪ざくろ』の世界では人間と妖人が共存していますが、お二人は妖怪やおばけっていると思いますか?
遊馬:僕は信じてます。実際に見たことがあるので・・・。
安里:ちょっと待って、その話長くなる(笑)?
遊馬:長くないです(笑)。僕、出身が岐阜なんですが、近所に結構心霊スポットがあって。学生の頃、肝試しをした時に何回か見たことがあるんですよね・・・。勇哉さんは?
安里:僕もわりと信じている方です。妖怪とかおばけじゃないんですけど、最近、CIAの機密文書で超能力者が存在していたことが分かった・・・っていうニュースを見たんですよ。本当かどうかは分からないけど、そういうのを聞くとなんでも“絶対にない”とは言いきれないなと思うんですよね。
――なるほど・・・。たくさんのお話をありがとうございました。最後に、作品を楽しみにしている方へ意気込みをお願いいたします。
安里:2016年は本当にいろんな作品に出演させていただいて、とても濃い1年になりました。2017年は、初めての「敵役」を演じさせていただきますので、この作品を皮切りにさらに飛躍できるようにがんばりたいと思います!
遊馬:僕はちょうど1年前にデビューさせてもらい、いろんな舞台に立たせていただいたありがたいスタートとなった2016年でした。現場で教わること、鍛えられることがとても多くて、本当にいい環境で学ばせていただいています。先輩から見たら、まだまだなところばかりだと思うのですが、2017年は初座長の『おとめ妖怪ざくろ』と共に幕を開けますので、成功を収められるよう、全力で稽古に挑みたいと思います!
安里:もしかしたら、年が越したら台本の内容が変わっているかもしれないよ。俺がざくろといい感じになって終わるっていうエンディングもあり得るかもしれない(笑)。
遊馬:えっ、それは・・・うーん・・・(神妙な顔つきで)。
安里:うーん・・・じゃないよ、そこはちゃんと突っ込んで(笑)!それぐらいの勢いでやりたいということね。晃祐には、座長なのでもちろんしっかりしていてもらいたいですが、僕たちみんなで彼の背中を叩いていていけたらって思いますね。この作品で「変わったね」って言われたいよね。晃祐自身にも、一皮むけたって言わせたい。そういう意味でも、僕はガンガン焚きつけていこうと思ってます!
遊馬:勇哉さん、頼もしいです!
◆作品情報
舞台『おとめ妖怪ざくろ』
1月18日(水)~1月25日(水) 東京・全労済ホール/スペース・ゼロ
【出演】
遊馬晃祐、脇崎智史、阿部快征
野田和佳子、高橋優里花、富田麻帆、椙山さと美
亀井美緒、影山靖奈、千田美智子、小林健一
一木美名子(声)
加藤真由美、吉住由香里、笑子、有松知美、増井紬
安里勇哉
◆プロフィール
遊馬晃祐 (あすまこうすけ)
1995年10月20日生まれ。岐阜県出身。ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」の及川徹役でデビュー。主な出演作は『明治東亰恋伽~朧月の黒き猫~」の川上音二郎役、「ROCK MUSICAL BLEACH」~もうひとつの地上~の市丸ギン役など。
安里勇哉(あさとゆうや)
1987年12月4日生まれ。沖縄県出身。パフォーマンスユニット「TOKY0流星群」の結成メンバー。主な出演作は、舞台『弱虫ペダル』IRREGULAR~2つの頂上~の寒咲通司役、舞台「黒子のバスケ」THEENCOUNTER の火神大我役、『明治東亰恋伽~朧月の黒き猫~」のチャーリー役、『おそ松さん on STAGE ~SIX MEN’S SHOW TIME~』のF6・一松役など。
(撮影/近郷美穂)