エン*ゲキ#02『スター☆ピープルズ!!』池田純矢×鈴木勝吾インタビュー!「真意は見せつけるのではなく、そっと置いておくもの」

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若手人気俳優の池田純矢が作・演出を手掛ける「エン*ゲキ」#02『スター☆ピープルズ!!』が2017年1月に東京・紀伊國屋ホールにて上演される。「エン*ゲキ」第1回公演として上演された朗読劇『君との距離は100億光年』はチケットが即完売と好評を博した。それから1年、第2回公演となる本作は、第1回から大きくスケールアップ。宇宙を舞台に笑い満載の群像劇が描かれる。公演に向け、作・演出・出演の池田純矢と前作『君との距離は100億光年』にもゲスト出演した鈴木勝吾に、新作について話を聞いた。

エン*ゲキ#02『スター☆ピープルズ!!』池田純矢×鈴木勝吾インタビュー

――俳優である池田さんが「エン*ゲキ」を始めた経緯を教えてください。

池田:元々、いつか脚本を書いて演出してみたいと考えていたんです。第1回公演の朗読劇『君との距離は100億光年』は、僕が17歳くらいの頃に書いた小説を元にした作品なんですけど、ちょうどスケジュールがハマるタイミングがあったので「エン*ゲキ」として上演することにしたんです。それがことの始まりですね。

――鈴木さんは、前作『君との距離は100億光年』にゲスト出演されたんですよね。

鈴木:そうですね。

池田:初めて自分が演出する作品だったので、自分の好きな俳優さんに出演していただきたいと思い、公演ごとにキャストが替わるスタイルを取ったんです。(鈴木)勝ちゃんも僕が尊敬する俳優さんの一人。オファーは、ある日唐突に「ちょっと話があるんだけど」ってドライブに連れ出した車の中で直接依頼したんです。そしたらお互い熱くなっちゃって(笑)。勝ちゃんの家に車置かせてもらってから居酒屋に流れ込み、「今すぐマネージャーさんに電話してくれ!」って迫って、出演を決めてもらいました。

――オファーを受けた時はどんな心境でしたか?

鈴木:唐突ではあったんですけど、純粋に嬉しかったです。同時に、羨ましいとも思いました。同じ役者同士なので「演出もするんだ・・・いいな、すごいな」って。話を聞けば聞くほど具体的な構想が溢れていて、さらに「すげーな!」って尊敬の念も持ちましたね。

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近くにいすぎて気づかなかった鈴木勝吾の魅力

――池田さんは、鈴木さんのことを友達という枠を超え“俳優”として尊敬しているとおっしゃっていましたが、ラブコールを受けていかがですか?

鈴木:尊敬・・・本当かな?って(笑)。

池田:本当だよ(笑)!

エン*ゲキ#02『スター☆ピープルズ!!』池田純矢×鈴木勝吾インタビュー_3

鈴木:純矢は、僕が出演する舞台を全作観に来てくれるので、気にかけてくれているのは感じます。舞台を観るって、時間も労力もかかることだし、すごくパワーが必要なことだと思うんですよ。それなのに、いつも欠かさず観に来てくれる。そんな純矢が言うんだから、多少は真実なのかなぁ(笑)?・・・俺のどこを買ってくれてるの?

池田:やっぱり、爆発力だね。初めて共演した時は、全然意識してなかったんですよ。タイプの違う役者さんだなっていうぐらいの認識で。でも、勝ちゃんが出演する他の舞台を観たら「この人すげ~!」って驚いて。共演している時は、近くに居すぎて分からなかったんですよね。それから、勝ちゃんは本読みが下手なんで、第一印象が悪かったのかも(笑)。

鈴木:まあね、本読みが下手なのは否定できないです(笑)。本読みって、いろんな意味でパーツがはまっていない気がしていて、苦手なんですよね・・・。

――前作の『君との距離は100億光年』は朗読劇ですが、本読みが苦手な鈴木さんにとっては難しいスタイルだったのではないですか?

鈴木:いや、それはありませんでした。朗読劇ですけど、純矢からは「脚本はすべて覚えてください」って言われていましたし、動きもたくさんありましたから。

池田:台詞を覚えてないから朗読劇のスタイルを取っている、というようにはしたくなかったんですよ。僕は、朗読劇の魅力って「演者が台本を手に持っているという制約がある」からこそ、お客さんの想像力が、より湧き上がるところだと考えているんです。もちろん、最初の本読みの段階での勝ちゃんはダメでしたけど(笑)。台本が小道具の一つに過ぎない状態になってからは、とてつもなく強かったです。

小学生の頃の日記では全篇フィクションを書いていた

――『君との距離は100億光年』は、17歳の頃に書かれた小説が元になっているようですが、池田さんはいつ頃から創作をされるようになったんですか?

鈴木:創作というより、彼は子供の頃からずっと病んでるんですよ(笑)。

池田:病んでねーわ(笑)!でも確かに、ちょっと変な子どもだったかもしれません。小学校低学年の頃って、宿題で日記をつけたりするじゃないですか?日記って普通、日々起きる楽しかったことを書くものだと思うんですけど、僕は全ページにフィクションを書いたりしていたんです。

鈴木:それはどの程度のフィクションなの?

池田:とんでもないフィクションもあれば、行ってもないディズニーランドの話をかなり現実的に書いたり・・・嘘つきなんですよ(笑)。

鈴木:ほら、小学生の頃からこじらせてんじゃん(笑)!

――ちなみに、前作と同様に今作も宇宙の話ですが、池田さんは行ったことのない場所を想像するのが好きなんですかね?

エン*ゲキ#02『スター☆ピープルズ!!』池田純矢×鈴木勝吾インタビュー_2

池田:宇宙には、特別興味をひかれるんです。僕は、知らないことがあるのが嫌なタイプでして。本を読んでいても、知らない漢字が出てくるとその漢字のことがほっとけなくなっちゃって、納得するまで調べたり。気になったまま放り出したら、夜眠れなかったりするし(笑)。でも、宇宙に関してはいくら調べても分からないことだらけで、それがおもしろくて。だから、宇宙が好きなんですよね。

今作も宇宙の話にしたのは、『君との距離は100億光年』で表現したかったことが描ききれなかった、という思いがあるからなんですよ。元の小説は何百ページとあるものだったんですけど、上演用の台本に書き下ろす上でやむを得ずカットした描写が多くて。だから、もう一度宇宙モノでリベンジしたいと思い、今作も宇宙を舞台にしたんです。気づかないかもしれませんが、前作とリンクしている部分もあるんですよ。

鈴木:『スター☆ピープルズ!!』を観たら、きっと『君との距離は100億光年』のDVDが欲しくなるよ(笑)。だって、絶対気になるもん!

池田:なるかな?

鈴木:なるよ。ある意味、ズルいな~って。

池田:ははは(笑)!

ピッチャー鈴木勝吾、キャッチャー池田純矢・・・楽しみなのは鈴木の暴投!?

――鈴木さんは『スター☆ピープルズ!!』の脚本を読まれて、どんな感想をお持ちになりましたか?

鈴木:まず・・・覚えるのが大変そうだなって(笑)。純矢にも言ったんですけど、この作品がどうお客さんに届くのか気になりましたね。すごくおもしろい脚本なんですけど、お客さんはこの作品を見て何を持って帰るのか、という点にとても興味が湧いたんです。僕は、演劇を見たら何か持って帰りたくなるタイプなんで。この舞台はどんな後味が残るのか、今から考えているし、純矢とも稽古の中で作っていくことだと思っています。

――お話を伺っていると、仲が良いのはもちろんのこと、お二人は創作の場におけるピッチャーとキャッチャーのような組み合わせに感じます。

池田:その例えだと、僕がキャッチャーだと思います。勝ちゃんがどんな暴投をするか楽しみで(笑)。今言ってくれたみたいに、勝ちゃんは感じたことを何でも正直に話してくれるんです。確かに僕は、その瞬間笑って泣ける演劇であれば、劇場を出た後、すべてを忘れられてもいいと思っている。一方で、作者の個人的な思想や想いは必ず必要だと思うんです。でも、そういう真意は見せつけるのではなく、そっと置いておくものだとも考えていて。だから、お客さんにどんなお土産をたくすか、これから作り込んでいきたいですね。

エン*ゲキ#02『スター☆ピープルズ!!』池田純矢×鈴木勝吾インタビュー_4

「エン*ゲキ」の魅力は池田純矢の度胸と勇気

――鈴木さんから見て、今作の見どころはなんでしょうか?

鈴木:やっぱり、登場人物それぞれが持つキャラクター性かな。出てくる人物がもう最高なんですよ。

池田:それは嬉しいな。

鈴木:何が良いって、言葉で読んでいるだけなのに、どの人物もキャラがしっかり立ち上がっていて、全員が魅力的。なので、それぞれの登場人物をよく見ていただけたら嬉しいですね。

池田:そう思ってもらえると、本当にありがたい!「エン*ゲキ」では、演劇を“娯楽”として徹底的に昇華したいと思っているんです。今の時代、いろんな“娯楽”があるじゃないですか?スマートフォン一つで、手軽に遊べるし。その点、演劇はチケット代だって高いし、劇場に行く労力もかかれば、時間だって拘束される。
でも、だからこそ演劇も“娯楽”であって欲しいと考えていて。遊園地に行くような感覚で楽しめるものにしたい。そのためにも、子供から大人まで、誰が観ても「おもしろいね」って思えるような演劇にしたいんです。だからキャラクターが分かりやすいって言ってもらえるのはとっても嬉しいです。

鈴木:純矢は本当に度胸と勇気があるよね。演劇一つ作るにしても、世の中にはいろんな方法論があるじゃないですか?そんな中、純矢は「自分はこれなんだ!」と言い切れる度胸と勇気がある。そこが「エン*ゲキ」の一番の魅力なのかもしれない。

池田:毎日怖くてブルブル震えていますけどね!

鈴木:ははは(笑)!

――今後の「エン*ゲキ」についての構想はありますか?

池田:・・・実を言うと、次の脚本も書き始めているんですよ(笑)。

鈴木:マジで?!すげーな(笑)!

池田:今は、やりたい目標のために何をするべきなのか想定して、一歩一歩着実に進むことを考えています。例えば、ロンドンで公演をすることが目標だから、次の作品はロンドンで上演しようと思っても成功するとは思えませんからね。ロンドンっていうのはあくまで一つの例えですけど(笑)。目標に向かって、一つ一つのステップを踏んで、確実に「エン*ゲキ」のステージを上げて、自分が持っている成功のビジョンを目指していこうと思っています。

エン*ゲキ#02『スター☆ピープルズ!!』池田純矢×鈴木勝吾インタビュー_5

◆公演情報
エン*ゲキ#02『スター☆ピープルズ!!』
2017年1月5日(木)~1月11日(水) 東京・紀伊國屋ホール
【作・演出】池田純矢
【出演】鈴木勝吾、透水さらさ、赤澤燈、井澤勇貴、吉田仁美、オラキオ、池田純矢、酒井敏也

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