お伽話「浦島太郎」をモチーフに脚本・池田鉄洋と演出・板垣恭一によって紡がれるオリジナルファンタジーミュージカル『TARO URASHIMA』が、2016年8月11日(木・祝)から東京・明治座にて幕を開ける。本作は、る・ひまわりと明治座による新企画。果たして、どんな「浦島太郎」の物語が繰り広げられるのだろうか?!出演の木村了、辻本祐樹、原田優一に本作の魅力と内容の一端を聞いた。
――初めて企画を知った時と脚本を読んだ時に抱いた印象について、それぞれ教えてください。
木村:浦島太郎が原作と聞いた時は、そんなに驚きはなかったんですが、脚本を読んでみたら池鉄さん(池田鉄洋)ワールドが炸裂していたので、さすがだなって(笑)。板垣恭一さんの演出を受けるのは初めてなので、この物語をどうまとめていくのかとても気になっています。
原田:僕は「浦島太郎」をミュージカルにすると聞いて、「リトル・マーメイド」のように海の生物が出てきて歌って踊るのかなって想像していました(笑)。ただ脚本を読んでみると、人間ドラマならぬ“海ドラマ”といった、ひねくれたところがあっておもしろいなって。
辻本:自分は、制作にる・ひまわりさんが入っているのを知って、「これは普通のミュージカルじゃないな・・・」ってなんとなく予想していました(笑)。脚本を読んでみると、やっぱり想像とはかけ離れた展開の連続で、どんなものが出来上がるか、楽しみでワクワクしましたね。
――皆さんの役どころもユニークですよね。それぞれの役の紹介と共に魅力を教えてください。
木村:僕は浦島太郎役なんですけど、お伽話の人物とは違って、とてつもなく運の悪い青年なんです。でも、どんなに不遇なことが起きてもポジティブに解釈していくので、観ている方はスカッとする役どころになっているんじゃないかな。日常生活でくじけそうな方に、ぜひ観てもらいたいですね。
辻本:確かに。木村さん演じる浦島太郎を観れば、「俺もまだ、がんばれる!」と思えるかもしれませんね(笑)。
木村:そうそう(笑)。
――何をイメージして役作りをされていきますか?
木村:そうですねぇ。僕は基本的に周りに振り回される役なので、周りの方がしっかりしてくれれば・・・それに乗っかっていくという作り方をしようかと思います(笑)。
辻本:周りのキャストは暴走する人ばかりですから!浦島さんの周りには“暴走注意報”が出てますよ(笑)。
木村:それはもう、座長として見守りたいと思います。
一同:(笑)!
「ダイオウグソクムシって裏返すとエグいことになってるんです」(辻本)
――辻本さんの役はいかがですか?
辻本:僕はダイオウグソクムシ参謀という役で、まず名前が長いなって(笑)。でも実は・・・僕、この生物の大ファンなんですよ。ダイオウグソクムシのぬいぐるみとかも持っているんです。だから、自分の憧れの生物を演じさせてもらえるのはありがたいです(笑)。
――プレッシャーもあるんじゃないですか?
辻本:ハッハッハ。プレッシャーは・・・、ありませんね(笑)。ダイオウグソクムシって裏返すと・・・エグイことになってるんですよ。ダイオウグソクムシ参謀も裏返すとエグイという役どころなので、今回はそこを思いっきり楽しもうと思っています。
――原田さんの役名は深海王子とかっこいい感じがありますよね。
原田:そう思うじゃないですか?最初役名を聞いた時は「ついに王子役が来た!」って思ったんですけど、蓋を開けてみれば、クーデターを企て幽閉されている王子という・・・、とんでもない王子でした(笑)。なので、一筋縄ではいかない人間味のある王子として演じたいと思っています。
――原田さんの中にはクーデターを起こすような反骨精神はあるんですか?
原田:それが・・・、あるんですよ!
一同:(笑)!
原田:なので、反骨精神を持つ王子なんて「待ってました!」と言わんばかりの役なんですよ(笑)。
「俳優として、とても演じがいのある脚本」(原田)
――本作の脚本を手がけた池田さんにどのような印象を持っていますか?
木村:池鉄さんって、ものすごく低姿勢な方なんです。お会いする前は破天荒なイメージを持っていたんですけど、全然そんなことなくて。僕から話しかけても「あっ・・・、あっ・・・、あっ・・・」っていう感じで、おもしろい方だなって。
辻本:たくさんお話ししたいですね。本当に深く魅力的な台本なので、話が尽きないと思います。
原田:台詞から感じられる狙いがすごくわかりやすいので、俳優としてはとても演じがいのある脚本で、無駄もないし無理もない台本。出演できてすごく嬉しいです。
――それでは板垣さんの演出に関して楽しみにされていることはなんですか?
辻本:今回ミュージカルということなので、板垣さんがどういった表現をしてくださるのか、今から凄く楽しみです。
原田:板垣さんって・・・“王道が大好きな邪道な人”みたいなところがあって、そこがおもしろいなって思うんです(笑)。僕もその中の一つのスパイスになれることを、とても楽しみにしています。
木村:僕はそんなにミュージカルの出演経験がないので不安も大きいんですが、板垣さんがなんとかしてくれるかなって(笑)。板垣さんの稽古場ってどんな感じなんです?
辻本:稽古場では俳優から演技を引き出し続ける究極のオラオラ系ですかね(笑)。ただ、最終的にある到達点まで導いてくれるんですよね。
「ゆくゆくは世界に向けたミュージカルになるはず」(木村)
――ちょっと話はズレますが、「浦島太郎」は海が舞台となる物語なので、それぞれ海にまつわる思い出や印象を教えてください。
辻本:僕はスキューバダイビングをやるので、海にはちょこちょこ行くんですけど、スキューバをする度、海の世界って人間の想像を超えているなって思うんです。海の中では、人間は本当に弱い存在ですからね。ただ、その分海の中は神秘的で美しいんですよね。あれ?今回の衣装ってどうなるんですかね?
――衣装もなかなか凝ったものが用意されているようですよ。
木村:まあ、僕の衣装が一番地味なんでしょうね(笑)。
一同:(笑)!!
木村:僕は『キャッチ ア ウェーブ』(2006年)という映画で撮影のためにサーフィンを覚えたのですが、そこで辻本さんがおっしゃっていたような海の恐怖を知って。サーフィンの場合、ボードと足を紐で繋げるんですけど、海に呑まれるボードにつられて溺れてしまったりもするんです。
でも、そんな危険があるにも関わらず何度も挑戦したくなる。やっぱり、海には惹きつけるものがあるんですよね。
原田:自分は埼玉出身で海に隣接していない県なので、すごく(海に対して)憧れがあるんですよ。だから初めて一人暮らしする時は海の近くに住みたいという理由で、豊洲にしたほどです(笑)。だから山より海の方が好きというか、「桃太郎」より「浦島太郎」の方が好きだと言えますね(笑)。
――それでは最後に公演を楽しみにされている方に、一言ずつ意気込みをお願いいたします。
辻本:皆さんもよく知っているお話ですが、まずは、そのイメージをすべて取っ払っていただき、ミュージカルなので歌も楽しんでいただきたいです。あとは、僕のダイオウグソクムシ参謀の裏側を思う存分観てください(笑)!僕もダイオウグソクムシを愛してもらえるようにがんばります。
原田:「浦島太郎」ではなく『TARO URASHIMA』というところがポイントだと思うんですよね。キャストの皆さんも個性豊かな方ばかりですし、尊敬する先輩もいっぱい出演されるので芸を盗みつつ、丁寧かつ過激に創っていけたらなと思っています。
木村:池鉄さんからストーリーをすべて言ってもいい!と言われているので、少しだけ明かしてしまうと、『TARO URASHIMA』はとても運のない浦島くんがハッピーエンドで終わる話で、原作とはちょっと違うんですね。なので、皆さんが抱く「浦島太郎」のイメージを、大きく裏切る内容になっていると思います。
まず言えるのは、チラシのような雰囲気の話ではないということ(笑)。新しい浦島太郎をお見せできると思いますので、明治座で何年も再演を繰り返されるような作品にして、ゆくゆくは世界に向けたミュージカルになれたらと思っています。ぜひ、皆さん楽しみに、裏切られに来てください(笑)!
――ぜひ、裏切られに足を運びたいと思います(笑)。本日はありがとうございました!
◆公演情報
ミュージカル『TARO URASHIMA』
8月11日(木・祝)~8月15日(月) 東京・明治座
◆プロフィール
木村了(きむらりょう)
1988年9月23日生まれ、東京都出身。代表作は、ドラマ『WATER BOYS2』『赤い糸』、『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~』、映画『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』、『東京島』、『うさぎドロップ』、舞台『陽炎峠』、『ライチ☆光クラブ』、『帝一の國』シリーズ、『虹とマーブル』など。10月に舞台『フリック』への出演を控える。
辻本祐樹(つじもとゆうき)
1985年1月12日生まれ、大阪府出身。ドラマ『3年B組金八先生 第6シリーズ』でデビュー、『新撰組血風録』(NHK)で沖田総司役を演じ好評を博す。このほか、舞台『晦日明治座 納め・る祭~あんまり歌うと攻められちゃうよ~』など多数出演。8月20日(土)より出演映画『ゆずの葉ゆれて』が公開。また、9月に舞台『And so this is Xmas』に出演する。
原田優一(はらだゆういち)
1982年9月1日生まれ、埼玉県出身。幼少の頃から子役として活躍。『レ・ミゼラブル』、『ミス・サイゴン』など、数々のミュージカルに出演。2014年にはオフブロードウェイ・ミュージカル『bare』で初めて演出を手掛け好評を博し、2016年6月から7月にかけて行われた再演でも演出を手掛けた。