2015年発売の人気乙女ゲーム「黒蝶のサイケデリカ」を舞台化した『黒蝶のサイケデリカ THE STAGE』が、2016年8月3日(水)、東京・紀伊國屋ホールにて開幕した。出演は、山田ジェームス武、藤本かえで、北村健人、八島諒、木村敦、阿部快征、霜月紫、大塚愛菜。脚本・演出は、7月24日(日)に大千秋楽を迎えたミュージカル忍たま乱太郎第7弾 再演「水軍砦 三つ巴の戦い!」の演出・作詞を手掛けた菅野臣太朗が担当している。
物語は、一人の少女・紅百合(藤本)が、とある洋館で目を覚ますところから始まる。紅百合には記憶が無く、自分がなぜこの場所にいるのかもわからない。そんな状況の中、突如現れた化け物の集団に襲われてしまう。絶体絶命の危機になす術のない紅百合だったが、黒髪の少年・緋影(山田)に助けられ、なんとか化け物の襲撃から逃げ延びる。未知の世界で自分以外の人間に会えたことに安堵する紅百合だが、この緋影もまた、記憶を失っていたのだった。
化け物から身を隠しながら館内を探索するうち、二人は自分たちと同じ状況に置かれている山都(北村)、鴉翅(八島)、鉤翅(木村)と出会う。互いを警戒しつつも、5人は身を寄せ合い、洋館からの脱出を試みる。そんな中、“館の主”を名乗る人物から1通のメールが届く。そのメールに書かれていた「化け物の持つ“万華鏡の欠片”を集めろ」という指示のもと、自らの強い思いによって生まれた不思議な拳銃を手に、5人は化け物たちを狩っていく。そして“万華鏡の欠片”を手に入れる度に少しずつ過去の記憶が蘇るのだが、ようやく取り戻したその記憶は、それぞれが負った辛い過去を思い出させる残酷なものだった・・・。
化け物がうごめく洋館の正体、紅百合たちが失った過去の記憶、そして洋館の主は誰なのか・・・。幾多の謎が重なり合ったストーリーは先の展開がまったく読めない。一つの謎が明らかになったと思いきや、また新たな謎が浮かび上がり、ラストまで気が抜けないシナリオは非常に完成度が高い。また、常に緊迫した状況が続くストーリーだが、その一方でキャラクター同士の会話シーンは穏やかな雰囲気の演出となっており、それぞれの心の動きがとても丁寧に描かれている。この緩急を織り交ぜた脚本は、原作を知らない観客も十分に楽しめるだろう。
そして本作の一番の魅力は、山田をはじめ、北村、八島、木村、阿部快征、霜月紫が演じるイケメンキャラクター達。冷静沈着でミステリアスな雰囲気の緋影、ぶっきらぼうだが情に厚い一面を持つ山都、冗談好きで軽いノリの鴉翅、優しく温和な性格の鉤翅など、一人ひとりが乙女心をくすぐる魅力にあふれている。衣装やヘアスタイルなど、原作を忠実に再現したビジュアルにも注目だ。
『黒蝶のサイケデリカ THE STAGE』は、8月7日(日)まで東京・紀伊國屋ホールにて上演。
(C)2015 IDEA FACTORY / 2016 舞台「黒蝶のサイケデリカ」製作委員会