ミュージカル『RENT』マーク役の村井良大にインタビュー!「逆境になればなるほどパワーが湧いてくるんです」

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1990年代の終わりにNY・イーストビレッジで生きる若者たちの姿を描いた伝説のミュージカル『RENT』が帰ってくる!前回に続き、オリジナル版の演出家、マイケル・グライフによる新演出バージョンで上演される今回、仲間たちの姿を映像に残し、自らの居場所を探そうとする映像作家、マークを演じる村井良大に今の思いを語って貰った。

村井良大『RENT』

☆このインタビューの最後に、素敵なプレゼントのお知らせがあります!!☆

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――TVK系列でオンエアされている『俺旅』で、スタッフから希望の土地を聞かれてニューヨーク!と即答していらっしゃいましたが、あれはやはり『RENT』の影響でしょうか?

実はそうなんです。あの撮影とちょうど同じ時期に『RENT』に参加させて頂くことが決まって、ニューヨークやブロードウェイという場所を意識しつつ旅に出ました。ブロードウェイでは勉強の意味も込めてロックミュージカルを観劇したりして。

タイムズスクエアに初めて立って、まず驚いたのは舞台の看板の多さ! この街では舞台と人々の生活が本当に近い場所にあるのだなあと実感しました。広告のボードや電光掲示板も、新しいモノがどんどん古いモノに上書きされている印象で、その辺りも面白いと思いました。日本だと古いモノを剥がして次のモノを乗せるんですが、この街はそうじゃないんだなあ・・・いろいろななモノが積み重なって、最新のモノが常に一番上に出てくるんだなあ、と。

村井良大『RENT』

――向こうで最初にご覧になったロックミュージカルが『ロック・オブ・エイジズ』でしたよね。

デート中のカップルがはしゃぎながら開場を待っていたり、上演中もビールとポップコーン片手に観劇している人たちが大勢いたりして、ちょっとしたカルチャーショックでした(笑)。上演中にビールの売り子さんが客席を回って来るのなんて、日本の観劇シーンではなかなか考えられないシチュエーションですよね。

――先程、ニューヨークの街が“上書き”されていく感じが面白いというお話があったのですが、それって村井さんそのものだと思います。舞台を拝見する度に全く違うキャラクターをまとっている感じが・・・まさに。

おお、そうですか、初めて言われました(笑)!僕、過去に参加した作品にほとんど拘りがないんです。仲間と集まった時も「あの時は面白かったね」「楽しかったね」的なノリで盛り上がる事はあるのですが、しんみりと「昔は良かったなあ」的な話は一切しない。むしろ“今”自分が関わっている作品にとことん拘りたいと思うんです。毎回新しいモノに挑戦したいという気持ちが凄く強いんですね。

――そういう意味では『RENT』のマーク役は村井さんにとって新たな挑戦ですね。

まず、ミュージカルへの出演経験があまりないですし、海外ミュージカルへの参加は初めてという事で、これは本当に大きな挑戦だと思います。

――マークは物語の芯の部分に居ながら、自分から物事を動かしていくというより、ビデオカメラを通して皆を見続けるという役回りです。

『RENT』村井良大

マークのそういうキャラクターは面白いですね。劇中「Halloween」というナンバーを歌うのですが、ようやくその辺りからマークの心がほどけていくというか、色々なことに気付いていくというか・・・。彼は結構苦労人でもありますよね、屈折している部分もあるし。仲間たちが暴走したり無茶をするのを違う視点を持ってなだめたり「おいおい」と止めたりするあたりも非常に人間らしいと思います。

『RENT』のストーリーの中で大きな流れを作っていくのはロジャーで、彼の生き様やミミとの関係が一つのキーポイントになっています。僕がマークの台詞の中で特に印象的なのが「僕はHIVポジティブじゃない。だけど僕はここにいる」と語る場面で、この言葉の中にマークが一種の“傍観者”としてそこに居て、仲間たちを撮影し続ける理由が全て入っている様な気がするんです。

――村井さんとマークを繋げるキーワードがあったら教えて下さい。

役柄の紹介でマーク=映画おたく、みたいに表現されることもあるかと思うんですが、僕は実は彼が『RENT』の登場人物の中で一番ロックな人間じゃないかと感じています。以前、別の海外作品でストレートプレイの舞台に参加した時に、演出家に「向こう(アメリカ)の人たちは常に“FUCK”な精神を抱いて生きているんだ」と言われ、役作りの上で目からウロコが落ちたんです。おたくだから暗い、おたくだから人と関わらない・・・そういう型に役をはめるのではなく、皆が心のどこかで中指を突き立てながら必死に生きている、そういう気持ちを胸に役を演じる・・・今回のマークにもこのスピリッツは当てはまると思います。

マークは仲間の前で感情を露わにしない分、ロックな気持ちが常に胸の中に渦巻いていて、実はストレスも一番溜まっているんじゃないかという(笑)だからこそ、それがばぁーっと表に出た時が凄いんですよね。

実は僕も「FUCKな精神」を役として演じるのは非常に好きで(笑)、これからマークと更に深く付き合っていくのが楽しみです。

――村井さんの“ロックな精神”がマークに宿る訳ですね。

そうですね(笑)。実は僕、今日の移動中に「あー 俺ってドMだなあ」って気付いちゃったんですよ。

――え、ここでまさかの衝撃発言ですか?(笑)

いや、実は今、スケジュール的にちょっとタイトな毎日が続いてまして、さっき「あー 大変だなあ、俺、なんでこんな大変なことやってるんだろう」と、ふと思ったんです(笑)。それですぐ後から「いや、でもこれが楽しいんだよなあ」と次の感情が来て「あれ、コレって俺、ドMって事じゃないか?」と(笑)

これも最近気づいた事なんですけど、僕、大変なことの方が楽しいんです。現場でも恵まれ過ぎた素敵な環境だと何だか落ち着かなくって、過酷な現場であればあるほどガッツが湧いてくるという。舞台の本番中でもアクシデントが起きると逆に燃えるんです!

村井良大『RENT』

――ますます村井版・マークが楽しみになってきました。ビジュアル撮影の時は素の村井さんが部屋に入っただけで海外スタッフはすぐに「彼がマークね」と分かったとか。

え、それって何かを抱えてる雰囲気があったんでしょうか(笑)ありがたいことです!

――村井さんの出演舞台を拝見すると、個性の強い役柄も多く、ご本人のキャラクターがなかなか想像できなかったのですが、お話を伺ってとてもニュートラルな方なのだな、と思いました。

いやあ、僕、基本的に無個性なんですよ(笑)バラエティ番組の仕事をさせて頂くこともあるんですが、ひな壇に座ってもなかなか前に出て行けない時もあります。あー、俺って本当に“色”がないんだなあ、と思ったりもしますよ(笑)何とか頑張って喋るんですけどね。

――だからこそ、いろいろな役に染まれるのだと思います。マークもそういう所があるキャラクターですよね。

確かにそうかもしれません。オーディションの時は実際のナンバーを歌ったり、冒頭のマークの台詞を喋ったりしたのですが、『RENT』に関してはオーディションが進むにつれ、どんどんマークの気持ちに乗って行けて、“面白い作品”“やってみたい役”という気持ちが強まっていきました。

まだ『RENT』のカンパニーのメンバーとはしっかり話せていないので、稽古がスタートしてから仲間としての関係を作っていく感じになると思います。でも、僕、キャストの中では年が下の方なのでちょっとドキドキですね(笑)

村井良大『RENT』

――3月に千秋楽を迎えた『弱虫ペダル』や、昨年シアタークリエで上演された『マホロバ』では主演として舞台に立たれました。

主演で舞台に立たせて頂くと、周りの方からは「主演、凄いね」と言って頂いたりもするんですが、自分としては全然そういう風に思っていないんです。毎回本当に周囲の方たちに恵まれていると思いますし、役者の先輩も尊敬できる方ばかりで、「いつかああいう風になりたい!」と常に思って現場にいます。

主演だからこういう風にやりたいとか、こうするべきだという感覚も全くなくて、他の出演者の方たちに対してもリスペクトする気持ちが凄く強いんです。例えば2時間の中で一言しか台詞がない役があるとしたら、その役を演じる人はその一言を言うまでに物凄いエネルギーを使って、全てを作り上げた状態で舞台に登場しなくちゃいけない・・・本当に凄いことだと思います。

――今のお話を聞いて、ちょっと泣きそうになってます。

いやいや、ちょっと!(笑)そういう意味ではいつか“助演男優賞”を獲れるような役者になりたいと思います。助演に個性が強くて上手い役者が居れば主演も輝く、主演が輝けば舞台全体が光る、みたいな。

それでそういう自分の思いを、ある先輩俳優に話した事があるんですが、その時に「最強の助演を目指すのなら、まずは主演をきっちりできるように。そこで一番を取れる役者になりなさい」と言って頂けて目からウロコが落ちました。今はその言葉を実践できるよう、がむしゃらに頑張っています。僕、本当に現場が大好きなんですよ。

――心強いです!では『RENT』を楽しみにしている方に向けて、メッセージをお願いします。

今回『RENT』という作品に出演させて頂くにあたり、初めての事も多いですが、これから稽古が始まって、日本版のリステージをされるアンディ・セニョールJr.さんや共演者の方達とどう関係を作っていくのか、どんな作品になるのか、僕自身もワクワクしています。このワクワクするエネルギーを舞台上ではもっと高めて、観に来て下さった方達に「良い舞台だった!」と幸せな気持ちをお持ち帰り頂ける様、精一杯頑張ります。劇場でお待ちしています!

村井良大『RENT』

舞台で村井良大の姿を観る度に役によって“全く違う色”をまとう俳優さんだな、と思う。“上書きされていく感じが面白い”と評したNY、“作品中で実は一番ロックな人間”と語ったマーク像。二つとも、まさに村井良大の俳優としての在り方を示している言葉ではないだろうか。新しい挑戦とも言える『RENT』 への参加で、彼がどんな色をまとい、マークとしてシアタークリエの舞台に立つのか・・・その日を楽しみに待ちたい。

ミュージカル『RENT』は、2015年9月8日(火)~10月9日(金)、東京・日比谷シアタークリエにて上演。

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村井良大、堂珍嘉邦、ユナク(超新星)らが出演する話題作『RENT』。本作の製作発表会が、2015年6月8日(月)に行われることになりました。
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(スタイリスト:吉田ナオキ)

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