2025年3月14日(金)に東京・天王洲 銀河劇場にて、ミュージカル『贄姫と獣の王~the KING of BEASTS~』が開幕した。初日当日に公開ゲネプロが開催されたので、その模様をお届けする。
異種ロマンスを描いた「贄姫と獣の王」
「贄姫と獣の王」は、「花とゆめ」(白泉社刊)で2015年より連載された、友藤結による大人気漫画。累計発行部数230万部を超える本作は、“人外×少女”の異種ロマンスとして根強い人気を誇り、累計発行部数が230万部を突破した人気漫画。TVアニメの最終回と共に初舞台化が発表され話題になっていた。
脚本・演出・振付を上島雪夫、作詞を浅井さやか(One on One)、音楽を八幡茂が務める。
魔族を統べる王・レオンハートを演じる加藤大悟のほか、魔族の王の生贄として献上された少女・サリフィ役で久家心、アヌビス役で福井巴也、ヨルムンガンド役で京典和玖、ラントベルト役で今牧輝琉、アミト役で永利優妃、フェンリル役で白柏寿大、グレイプニル役で松田岳、アナスタシア役で小嶋紗里、オセロット役で古田伊吹、そして、魔族の国「オズマルゴ」で法官を務める魔族・セト役で矢田悠祐が出演する。
ダークな人外ファンタジーの世界をミュージカルならではの表現で美しく表現
物語の舞台は、人間を寄せつけない瘴気漂う禁忌の世界。そこにはかつて人間を喰らい支配した異形の眷属と魔族を統べる王が治める魔族の国「オズマルゴ」があった。
異形の眷属の王へ、人間界「ヨアナ」から99番目の生贄として人間の少女・サリフィが献上されるところから物語は始まる。サリフィは、生贄として魔族の王と対面するものの、物怖じしない性格から、恐れもせずに短気な王様をたしなめてしまう。
そして供儀の夜、サリフィは何者も寄せ付けない孤高の王・レオンハートの真実の姿を知る。ひとりぼっちの少女と孤高の王の隠された心が触れあい、2人の運命は大きく動き出す――。
「贄姫と獣の王」のダークな人外ファンタジーの世界を、ミュージカルならではの表現で美しく、重厚かつ情緒豊かに綴る本作。
さらに、メインキャラクターだけでなく、アンサンブルも含めた魔族たちのハイクオリティな衣裳とメイクによって、舞台ならではの造形で、原作の世界観がステージ上に再現されている。
その中で、サリフィを通して描くレオンハートや数々の魔族たちとの出会いと交流、フェンリルとグレイプニルが率いる亡国の幻狼軍とレオンハートたちとの戦い、そしてレオンハートの出生の秘密を軸としてストーリーが展開していく。
魔族の王レオンハートを演じる加藤は、魔族と人間の2つの血を受け継ぐ存在としての苦悩にさいなまれながら、サリフィとの邂逅によって秘められた優しさが浮かび上がっていく様を、獣の王と人間体の2つの姿で巧演。
さらに、ミュージカルシーンでは、王としての気高さと威厳さを持った力強い歌声で心情を歌いつつも、サリフィとのナンバーでは対照的に甘く切なく愛情を歌い上げる。
サリフィ役の久家は、生け贄という儚くも可憐な少女としての姿からは想像もできないほどの心の強さを解き放ち、魔族の王にも臆することなく堂々とした演技を披露し、いとおしく可憐な声でミュージカルシーンを彩る。
アヌビス役の福井とヨルムンガンド役の京典は、レオンハートの忠臣として大人な落ち着いた演技と存在感を見せながら、ラントベルト役の今牧とアミト役の永利は、魔族の世界でひとりぼっちの人間であるサリフィを支えながら、緊張感のある展開の中にも軽やかさをもたらしている。
フェンリルを演じる白柏は、憎悪するレオンハートとの対決を望む白狼の魔族を、過去にとらわれた苦しみを抱きつつ、尊大なまでに熱演。そんなフェンリルに仕えるグレイプニルを演じる松田は、フェンリルとの一部として存在する忠誠ぶりを、強者としてオーラをステージ上に放つ。
そして、セトを演じる矢田は、オズマルゴの法官でありながら暗躍するという、一癖ある存在として目を引く演技を見せてくれる。
人間を寄せつけない瘴気漂う禁忌の世界で、孤高の王とひとりぼっちの少女による“人外×少女”の異種ロマンスが、華やかに繰り広げられる。
(取材・文・撮影/櫻井宏充)
ミュージカル『贄姫と獣の王~the KING of BEASTS~』はいつどこで上演される?
【東京公演】2025年3月14日(金)~3月23日(日) 天王洲 銀河劇場
【大阪公演】2025年3月28日(金)~3月30日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
【公式サイト】https://stage-niehimekob.jp/

(C)友藤 結・白泉社/「贄姫と獣の王」舞台製作委員会