『演劇【推しの子】2.5次元舞台編』不思議な感覚を味わう舞台制作の裏側【レポート】

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『演劇【推しの子】2.5次元舞台編』不思議な感覚を味わう舞台制作の裏側【レポート】

実写ドラマ・映画も話題になっている赤坂アカ×横槍メンゴによる漫画作品『【推しの子】』。舞台版となる『演劇【推しの子】2.5次元舞台編』が、東京・シアターHで上演中だ。小宮璃央、安西慎太郎、佐竹桃華、内田未来、土屋直武、北村諒、田上真里奈、平体まひろ、鯨井康介、馬場良馬らが出演する本作の公開ゲネプロの模様をお伝えする。

目次

快進撃を続ける【推しの子】がついに舞台化!

本作の原作は、2020年4月より「週刊ヤングジャンプ」にて連載され、「ヤンジャン!」「ジャンプ+」でもWEB連載された赤坂アカ×横槍メンゴによる漫画作品『【推しの子】』。主人公の青年が死後に前世の記憶を持ったまま“推しの子”として転生するファンタジックな設定に加え、サスペンス要素や現代社会を投影した展開、芸能界の闇へ切り込む斬新なストーリーが多くの人の心を掴んでいる。

2023年にアニメ化されると、その完成度の高さでさらに多くの注目を集め、一代ムーブを巻き起こすことに。2024年11月にはAmazon Prime Videoで実写ドラマが配信開始し、12月20日(金)にはドラマの続きを描くことになる映画『【推しの子】-The Final Act-』を公開。さまざまな展開を見せ、常に注目を集める本作だが、その舞台版が東京・シアターHで上演中だ。

『演劇【推しの子】2.5次元舞台編』不思議な感覚を味わう舞台制作の裏側【レポート】

舞台制作の裏側を描く!観劇後に得られる不思議な感覚

『演劇【推しの子】2.5次元舞台編』では、原作の第5章『2.5次元舞台編』に焦点を当て、漫画作品の舞台化の制作ドラマを描いている。実写ドラマ版ではテレビドラマとして描かれた『東京ブレイド』が実際に2.5次元舞台化されているのも見どころ。【推しの子】の主人公・アクアが、人気漫画「東京ブレイド」の舞台(2.5次元舞台)に出演する事が決まり、国内最大手の実力派「劇団ララライ」のメンバーと共に稽古に臨むところから物語が始まる。

「劇団ララライ」の看板俳優である姫川大輝(安西)、黒川あかね(内田)らが出演し、“元”天才子役の有馬かな(佐竹)、読者モデル出身の鳴嶋メルト(土屋)、大人気2.5次元俳優の鴨志田朔夜(北村)、そして突如現れた新星・星野アクア(小宮)を客演に迎えて舞台化されることになる「東京ブレイド」。

『演劇【推しの子】2.5次元舞台編』不思議な感覚を味わう舞台制作の裏側【レポート】

稽古も進み、上手くいっていたかのように見えたが稽古場に訪れた原作者・鮫島アビ子(田上)との見解の相違により、脚本家・GOA(馬場)が降板を余儀なくされ、稽古も中断する事態に。やり手のプロデューサー雷田澄彰(鯨井)が舞台を成立させるために奮闘する姿などが描かれている。

人気漫画「東京ブレイド」を舞台化する物語を描いた【推しの子】を舞台化、というある種の入れ子構造である本作。舞台についての知識がそれほどなかったアクアがいることもあり、無理なく観客に舞台制作の難しいポイントを提示することができ、その苦労の末に完成した「東京ブレイド」を第2幕で展開することで、共に完成の喜びを味わえるようになっている。

『演劇【推しの子】2.5次元舞台編』不思議な感覚を味わう舞台制作の裏側【レポート】

それは、自分の作品を愛するアビ子先生が抱いた不安や期待、満足感と同じものを受け取っているのかもしれない。そして、ふとこの作品もこのようにして出来上がったのだなということを実感する。不思議な感覚を得られる舞台だ。

また、原作を知らないと「?」と思ってしまう場面も多少あるが、この章の本筋である漫画作品の舞台化の制作に奮闘する姿を実直に描きつつ、アクアやかな、あかね、メルト、吉祥寺先生の関係性なども適度に差し込まれているため、初見でも楽しめる仕上がりになっている。

【推しの子】のキャラクターを見事に再現!

『演劇【推しの子】2.5次元舞台編』不思議な感覚を味わう舞台制作の裏側【レポート】

【推しの子】の舞台版として、十分な満足感を得られる本作。個性豊かなキャスト陣が演じるキャラクター達も魅力的だった。小宮が演じるアクアは、登場からそのフォルムと独特の雰囲気を纏い“アクア”としての存在感を確立。テレビドラマでの印象が強い小宮が演じていることも興味深いところだ。

『演劇【推しの子】2.5次元舞台編』不思議な感覚を味わう舞台制作の裏側【レポート】

安西が演じる「劇団ララライ」看板役者・姫川大輝も注目キャラだ。『東京ブレイド』では主人公・ブレイドを務め、月9主演俳優経験での経験もある若手実力派俳優の姫川。普段はローテンションで落ち着きのあるタイプだが、演技のこととなると鮮やかに燃える情熱を見せ、その演技力で牽引していく。安西はそんな姫川を繊細に演じ、躍動感溢れる熱いブレイドで見事に観客の心を掴んでいた。

『演劇【推しの子】2.5次元舞台編』不思議な感覚を味わう舞台制作の裏側【レポート】

『演劇【推しの子】2.5次元舞台編』不思議な感覚を味わう舞台制作の裏側【レポート】

そして、かなやあかね、女性陣の再現度の高さに思わずうなってしまう。話し方も身振りも原作で見たあの2人を強く感じさせ、この作品は【推しの子】の一部なんだなと再認識させてくれる。かなは常に貫禄ある女優のオーラで見ている人の目を引き、あかねは鞘姫になった瞬間に想像を超える輝きを発する。この驚きは、アビ子先生や頼子先生も同様だ。名配役とも評されるドラマ版とはまた違う、各キャラクターの魅力を引き出している。

『演劇【推しの子】2.5次元舞台編』不思議な感覚を味わう舞台制作の裏側【レポート】

さらに、雷田(鯨井)やGOA(馬場)、鴨志田(北村)が登場してきた時の安心感も強く感じるだろう。あの個性の強いキャラクターを違和感なく舞台上で描き出す鯨井と北村。数多くの“2.5次元舞台”で活躍してきた二人の表現力は、人気漫画の実写化に必ず伴う不安な思いを拭うには十分に感じるだろう。

そんな『演劇【推しの子】2.5次元舞台編』は、12月22日(日)まで東京・シアターHまで、12月26日(木)からは梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティで上演予定。上演時間は約2時間50分(途中休憩を含む)。

現在、公演チケットは完売しているが、「au Live Streaming」「TELASA」にてライブ配信を実施。12月29日(日)12:00公演を全景映像、17:00大千秋楽公演をスイッチング映像で展開する。また、見逃し配信に加え、2025年1月中旬頃からはアーカイブ配信も実施するという。

キャストコメント

『演劇【推しの子】2.5次元舞台編』不思議な感覚を味わう舞台制作の裏側【レポート】

◆小宮璃央

自分が演じるアクアは、整った容貌と明晰な頭脳によりかっこいいと言われることが多いなと感じます。“推し”であったアイの息子として生まれた複雑な生い立ちに加え、父親を探し復讐することを心に誓うなど、ダークな一面も持ち合わせている役所です。

今回の『2.5次元舞台編』ではその父親が芸能界に居ると睨み、自分自身が芸能界のトップになり真犯人に近づくという野望を心に舞台を成功させようと暗躍する姿が見どころです。普段舞台を観劇することが多くても、制作過程をちゃんと理解する機会は少ないと思います。今回の舞台でより深く2.5次元舞台を知ることができるはずなので、この機会に足を運んでくださる皆さんには親身になって役者のみんなに寄り添っていただきたいと思っています。

◆安西慎太郎

ついに『演劇【推しの子】』が開幕いたします。この1カ月カンパニーの皆様全員で『【推しの子】』について考えてきました。若手は毎日遅い時間まで残り自身の鍛錬に励み、ベテランはその時その瞬間に必要なものを常に心地良く散りばめてくださいました。

指揮をとった中屋敷さんは、誰よりも情熱的な視線で『【推しの子】』を観察し、舞台・演劇としての『【推しの子】』のガイドラインを作ってくれた。そして何より運営・スタッフの皆様が最後まで誰1人欠けることなく走り切れるように支えてくださりここまでこれました。

準備は整いました。あとはやるだけです。先生が描いてくださったキャラクターを実体化させそこに実在感が出せる所まできたと思っています。楽しみにしていてください。

◆鯨井康介

雷田澄彰役を演じます鯨井康介です。

舞台プロデューサーの役を務めさせていただきます。ツートンカラーの髪型にサングラス。手元にはグローブ。なんとも風変わり。なのに本人は妙に飄々とサラッとしている。非常に考察の余地の多い男だと思っています。

今作に携わる事で改めて感じた事は、演劇を作る上でドラマは板の上だけで起こっているわけではないという事です。俳優の手に上演台本が渡るまでに、様々な難題と、それに立ち向かう人々のドラマがある。そしてそのドラマの登場人物たちには、出演者に勝るとも劣らない演劇への愛がある。そんな事に改めて気付かされました。其々の仕事に対する情熱のぶつかり合いは、今作の大きな見どころだと思います。

『演劇【推しの子】』多くの方々にご観劇いただきたい作品です。原作の『【推しの子】』はもちろん演劇そのものの魅力が伝わる事を願っております!

◆馬場良馬

GOA役を演じさせていただきます馬場良馬です。

今回の『演劇【推しの子】』は『2.5次元舞台編』という事で、劇中の漫画『東京ブレイド』の舞台化と同時に舞台制作の裏側も描かれています。僕が演じる脚本家のGOAという人間は、漫画原作の舞台化という中で原作側と制作側の間で振り回される役所なのですが、中屋敷さんの稽古中の言葉を借りるなら各々の立場の違い故の「愛」のぶつかり合いが今回の歪みに繋がっているのだなと感じました。

「原作への愛」「漫画への愛」「キャラクターへの愛」「舞台への愛」
「演劇への愛」等々…。個性豊かなキャラクター達の様々な「愛の形」。
是非劇場で見届けていただけたら嬉しい限りです。

『演劇【推しの子】2.5次元舞台編』公式サイト・SNS

演劇【推しの子】2.5次元舞台編
舞台公式HP:hhttps://www.marv.jp/special/theater_lalalai/oshinoko/
舞台公式X:@theater_lalalai

舞台『東京ブレイド』
劇中劇 舞台『東京ブレイド』企画ページ公開中!
https://www.marv.jp/special/theater_lalalai/blade/
※このHPは「演劇【推しの子】2.5次元舞台編」のプロモーションページです

(C) 赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・演劇【推しの子】製作委員会

「推しの子」原作を読むなら

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