PARCO PRODUCE 2024『東京輪舞(トウキョウロンド)』が2024年3月10日(日)に東京・PARCO劇場で開幕する。初日前には会見とプレスコールが行われ、主演の髙木雄也、清水くるみ、台本を手がける山本卓卓、演出の杉原邦生が登壇した。
『東京輪舞(トウキョウロンド)』とは?
『東京輪舞(トウキョウロンド)』は、東京のリアルを生きる5人の“男”と“女”、計10人の情事の風景をリレー形式で描いていく作品。
原作はオーストリアの劇作家アルトゥル・シュニッツラーが1900年に発行した『輪舞』(La Ronde)で、当時の性道徳や階級理念に反していたためウィーン社会にセンセーションを巻き起こし、上演を巡って法廷論争まで引き起こした。しかし、人間の普遍的な関係性と欲望を描いた内容は時代が変わっても支持され続け3度の映画化・オペラ化、ロンドンやブロードウェイでも翻案され舞台上演された。
今回は、この原作『輪舞』を「現在」「東京」に翻案し新たな息吹を吹き込んだ。
出演にはHey! Say! JUMPのメンバーとして活躍し、近年舞台作品でもその力量と輝きを見せる髙木雄也。舞台やミュージカルだけでなく、朝ドラ『ブギウギ』での演技も話題となり活躍の場を広げている清水くるみが初の2人芝居に挑戦する。
演出・美術を担当するのはポップかつダイナミックな趣向と繊細さを兼ね備えた杉原邦生。台本を手掛けるのは杉原からの信頼も厚い山本卓卓が独自の言葉で“現代の東京”を描き出す。
プレスコールレポート:髙木雄也×清水くるみの2人芝居で描く“現代の東京”
白黒のシンプルな色の舞台セットに、様々なタイポグラフィで書かれている“東京”の文字。そのインパクトに最初圧倒されたが、それぞれのシーンへ転換していく場面はとてもドラマチックで思わず引き寄せられる。場面転換の横で衣裳を着替える、それがとても現実的でドラマチックな場面転換との対比がリアルさを演出していた。
また、国籍や年齢、立場の違う役を髙木と清水が次々と演じ分けていく。それぞれの事情と情事、役が時折見せる切ない表情に胸が締め付けられ、欲望を潜ませる笑顔にトウキョウのリアルとエロスを垣間見た。
会見では、難易度の高い内容の作品ながら、とても良い空気感で稽古をしてきたことが伺えた。初日を迎えるにあたり、髙木は嬉しそうに「キャスト、スタッフの皆さんで一丸となって作り上げてきました。ようやく皆さんにお披露目できるのかっていうのと、早かったなっていうドキドキとワクワクの50/50な状態ですが、自分ができることは100%やってきたつもりなので、早く皆さんに観ていただけると嬉しいなと思います!」と声を弾ませた。
100年以上前のセンセーショナル作品を翻案するにあたり、山本は杉原と色々と話をしたそうで「センセーショナルな部分を大切にしつつ、 でも現代の東京に置き換えてっていうオーダーをいただいた。原作は男性と女性、性別の二元論って話が書かれているけど、これは“今”じゃないんじゃないかって。そういうことに捕らわれることなく、今東京に居る人たちを描くっていうのを決めました」と説明した。
山本が択ぶ日本語のセンスやリズムが今作品に必要だったとコメントしている杉原は「台本を読んですごく刺激的で面白いなって第一に感じました! 原作を元にしながら、卓卓くんなりの解釈で踏襲しながら、 彼にしか描けない愛のコミュニケーションの物語になってます」と笑顔を見せた。
また、稽古場にも山本はよく通っていたそうで、登壇者4人でディスカッションしながら作品を組み立てていったという。和やかなムードを感じたが、それを作り出したのは「髙木と清水の素直な人柄が大きかった」と杉原。「2人とも本当に飾り気なくて。 素直に稽古場にいてくれるというか、髙木くんは本当にこのまんまなんです。稽古の最中でも、休憩中でも、本当にこのまんまで!シームレスにずっとお芝居と普段とを行き来できる稀有な存在だなと思います。こんな俳優出会ったことないです。年末にHey Say Jump!のライブを見に行ったんですけど、みんなかっこよく踊って歌ってるんですけど、髙木くんはふとした瞬間にふら~って、その辺歩いて行って!この感じでドームに立てるんだったら、絶対に自然体で芝居をしてくれるなと思った」と仲の良さを垣間見せた。
続けて「くるみさんも思っていることを素直に伝えてくれるので、今どこが悩んでいるのか、今どういう気持ちで役に挑もうとしているのかっていうことが伝わってくるんです。この人は直接ぶつかってきてくれる人だっていう信頼感を相手に与えてくれるから、こっちもちゃんと思ったことをその場で言える。それはすごく魅力だなって思います」と思いを述べた。
今回作中で何役も演じる髙木と清水。演じ分けを切り替えることが難しいと話す2人だが、難しさがゆえの見どころでもあると清水は意気込みながら「8役(髙木)と6役(清水)を2人芝居で演じるのに2人しか舞台の上に出ていない。なんでこの役の数にさがあるのかっていうのは、なんでだろうって思う方も多いんじゃないかなと思うんですけど、そこも見どころだと思うので楽しみにしていただきたいなと思います!」と吐露した。
また、印象的な舞台セットに杉原はかなりのこだわりがあるそうで「とにかくここは東京だ!って言いまくるデザインに。“RONDE”の文字やドアがついているパネルとかが次々に出てきてシーンを構成していくんですけど、その道具が輪舞(ロンド)のように動き・踊りながら空間を作っていくような劇空間に出来たらいいなと思ったのが1番のコンセプトです」とコメント。思い描くものを現実化させるために8名のステージパフォーマー(ダンサー・俳優)が道具変換を行う構図がしなやかな転換を実現させていた。
こだわり抜かれた舞台上に立って役を体現する髙木と清水。セットが組みあがり、清水は「とてもわくわくする!」と同時に「東京、トウキョウーーという感じで一見賑やかだ思うんですけど、ちょっと孤独を感じるなと思っていて・・・。作品が終わって暗転になった瞬間にいつもすっごい寂しい気持ちになるんです。それが“東京”だなって。人がいっぱいいて、いい意味でも悪い意味でも孤独を感じるのが東京だと。作品として脚本も、このセットも全部合わせて“東京”を表現している。本当に素敵なセットだと思っています!」と両手でマイクを握りながら力説した。
続けて、髙木も「信じてもらえないと思うんですけど・・・全く同じです(笑)」といたずらっぽく笑った。そして「『東京輪舞』をこのメンバーで作り上げました。年齢や過ごしてきた環境、今の気持ちとかで、もしかしたら観え方が変わってくるかと思うんですけど、“今”の自分が見た時にどう感じるかっていうのを大事にしながら観てもらえたら嬉しいなと。地方公演もあるので、よければぜひ遊びに来てください」と締めくくった。
PARCO PRODUCE 2024『東京輪舞』は2024年3月10日(日)から3月28日(木)まで東京・PARCO劇場にて、4月5日(金)~ 4月6日(土)まで福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホールにて上演。
(取材・文・撮影/カヤシマヒデミ)
PARCO PRODUCE 2024『東京輪舞』公演情報
上演スケジュール
【東京公演】2024年3月10日(日) ~ 3月28日(木) PARCO劇場
【福岡公演】4月5日(金)~ 4月6日(土) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
【大阪公演】4月12日(金)~ 4月15日(月) 森ノ宮ピロティホール
【広島公演】4月19日(金) 広島上野学園ホール
チケット
スタッフ・キャスト
【原作】アルトゥル・シュニッツラー「輪舞」(La Ronde)
【作】山本卓卓
【演出・美術】杉原邦生
【出演】
髙木雄也 清水くるみ
<STAGE PERFORMER>
今井公平 市原麻帆 椛島一 木下葉羅 KENVOSE 小林由依 田村真央 長南洸生
公式サイト
【公式サイト】https://stage.parco.jp/program/tokyoronde/
【公式X(Twitter)】@parcostage