2024年3月から4月にかけて、PARCO PRODUCE 2024『リア王』が、東京・新潟・愛知・大阪・福岡にて上演されることが決定した。演出を手掛けるのは、英国出身の演出家ショーン・ホームズ、主演は段田康則が務める。
アソシエイト・アーティスティック・ディレクターとして、ロンドンのグローブ座でも抜群の手腕を発揮するショーン・ホームズは、サイモン・スティーヴンスの新作戯曲『FORTUNE』(2020)のワールド・プレミアで日本デビュー。アーサー・ミラー不朽の名作『セールスマンの死』(2022)に続いて、現在上演中のチェーホフ最後の戯曲『桜の園』(2023)も手掛けている。
ショーン・ホームズと段田は、高度経済成長期の資本主義の歪みを重ね合わせた斬新な演出により高い評価を得た『セールスマンの死』でタッグを組み、段田は同作で第30回読売演劇大賞 最優秀男優賞、令和4年度(第73回)芸術選奨文部科学大臣賞などを受賞している。
今回は、長年親しまれる名作を、従来の解釈に捉われず、本来戯曲が語り掛けていることを丁寧に紐解き、現代に蘇らせる。生来の気性の荒さと老いからくる耄碌から、娘たちの腹の底を見抜けず、悲嘆と狂乱の内に哀れな最期を遂げるリア王を、どう描くのか注目だ。
美術・衣裳デザインは、これまでにもショーン・ホームズと数々の作品でクリエイションを共にし、イアン・マッケラン主演の『リア王』でも高い評価を得たイギリス気鋭のデザイナー、ポール・ウィルスを招聘。さらに、音楽にかみむら周平、ステージングを小野寺修二、翻訳にシェイクスピア全作品翻訳を達成した松岡和子を迎える。
PARCO PRODUCE 2024『リア王』は、2024年3月に東京芸術劇場 プレイハウス、4月に新潟・愛知・大阪・福岡を巡演する。
(2022年『セールスマンの死』舞台写真/撮影:細野晋司)
コメント紹介
演出:ショーン・ホームズ
日本で『リア王』の演出ができること、そしてPARCOプロデュースとの充実したクリエイティブな関係を継続できることに喜びと興奮を覚えています。今回が4回目のコラボレーションであり、そして比類なき名優・段田さんとは2作目となります。
『セールスマンの死』での素晴らしいコラボレーションを経て、シェイクスピアの名作に取り組むこと、段田さんのリア王に出会うことが楽しみでなりません!また、シェイクスピアへの燃えるような情熱、一緒にいるとこちらまで熱くなるお気持ちを持った和子さんとご一緒できることもこの上ない喜びです。劇場で観客の皆さまと私たちの作品が出会うことを楽しみにしています。『セールスマンの死』や『桜の園』でそうしたように、暗闇、不条理、そして驚きを作品にもたらしたいと思っています。
I am thrilled to be directing King Lear in Japan and delighted to be able to continue my fulfilling and creative relationship with PARCO.
This will be our fourth production together and the second time I’ve worked with the incomparable Danta san.
After collaborating together so successfully on A Death of a Salesman, I can’t wait to get started on Shakespeare’s master work and to meet Danta san’s King Lear! It’s also going to be a great pleasure working with Kazuko san whose burning enthusiasm for Shakespeare is so infectious. I look forward to audiences meeting our production and hope we can bring the same mixture of darkness, absurdity and surprise to this show as we did to Salesman and Cherry Orchard.
翻訳:松岡和子
古代ブリテンの王を主人公として400年以上前に書かれた『リア王』。現代の私たちとは無関係に思える遠い時空を背景とし、王侯貴族が引き起こすこの劇は、私たちの日常とはかけ離れた壮大この上ないものでありながら、万人共通の問題を突きつけてきます。人は誰でも歳をとる。子をもうけずに一生を終える人はいても、親から生まれなかった人はいない。老い、親子兄弟姉妹のあり方――万人共通の問題です。リアをめぐる人々が繰り出すのは、愛と憎悪、呪詛と祝福、残酷と優しさ、暴力といたわり。そこには笑いや歓びさえある。『リア王』は演劇の極北です。
主演:段田安則
『セールスマンの死』でご一緒した演出のショーン・ホームズさんから「シェイクスピアでやりたいものはありますか?」と訊かれて「ロミオかな」と冗談で返したら、「ジュリエットも良いですよ」と言われましたが、今回お話をいただいたのは「キング リア」でした。
『リア王』への出演は1991年、蜷川幸雄さんの演出でエドガー役を演じました。三十数年の年月を経て、タイトルロールという大役を務めるにあたり、「本当に私で大丈夫?」という不安と楽しみが入り混じっています。
ショーンさんはとても頭が良く、且つ、ユーモアのある方。稽古は楽しく、作品に対する彼の視点や発想から多くを学び、私は相性の良さを感じました。『セールスマンの死』は時代を少し現代に近づけての上演でしたが、今回の『リア王』の演出でもそのような構想を練っているそうですので、私自身も楽しみです。シェイクスピアの本場、イギリス出身のショーンさんですから、きっと面白くしてくださるはず。この悲劇の名作、ご覧になったことのある方はもちろん、初めてご覧になる方にも楽しんでいただける演出をされると思いますので、ぜひご期待ください。私もお客さまのご期待にお応えできるよう努めます。