ミュージカル『SUNNY』制作発表記者会見が、2023年6月14日(水)に東京都内で行われ、花總まり、瀬奈じゅん、小林綾子、馬場園梓、佐藤仁美、渡邉美穂、須藤茉麻、片桐仁、演出の西田征史が、公演への意気込みを語った。
本作は、2011年にカン・ヒョンチョル監督により韓国で製作され、大ヒットを遂げた映画『SUNNY』(邦題「サニー 永遠の仲間たち」)を世界で初めて舞台化。バブル経済絶頂期の1980年代と現代の日本を舞台に、学生時代と大人になった「SUNNY」メンバーが笑いと涙の青春物語を繰り広げる。
80年代のヒット曲に乗せて、誰もが経験したであろう淡い青春時代と、大人になりそれぞれ事情を抱えている彼女たちの今が交錯する。振付を、バブリーダンスの生みの親で、現在多方面で活躍中のakaneが行うのも見どころだ。
会見では、まず初めに西田が、“ジュークボックスミュージカル”と呼ばれる本作について、「80年代の懐かしい歌をふんだんに散りばめた作品ですが、(通常のミュージカルのように)感情を歌い上げていくというよりは、歌う箇所で『その歌を歌おう』という流れになって、流れの中で織り込まれています」と説明。
「(原作の映画が) 素晴らしい原作なので、映画のテンポを崩さずに2つの時代をどう描いていくかを試行錯誤しながら、皆さんと一緒に作り上げています。それぞれの世代のSUNNYの皆さんの空気やコンビネーションを見ていただければと思っています」と思いを語った。
平凡な主婦で、仲良しグループ「SUNNY」の再集結に向けて奔走する奈美を演じる花總は、「奈美が動き出さないと物語が始まらないというくらい、作品の中ではみんなを引っ張っていく役だと思いますので、大切に演じたいと思っています」と自身の役柄について言及。そして「こんなに出ずっぱりな舞台は初めてというくらいで、はけたと思ったら移動だったり、はけずにそのままいたりと、頭の中が混乱しているんですが、そこもいつか楽しみに変わるんじゃないかと思って、早く体になじませていけたらと思います」と意気込んだ。
また、ジュークボックスミュージカルについて聞かれると「私はミュージカルに出演することが多かったので、気持ちをどう繋げるか、どう伝えるか(を考えて歌うこと)が多かった。でも、今回は、単純に切り替えて歌を歌うというので、すごく楽しく歌わせていただいています。観ているお客さまも懐かしさを感じていただけるし、楽しくノッてくださるような曲もあり、歌がスパイスになっていると思います」と思いを述べた。
一方、「SUNNY」のリーダーで現在は大病を患う千夏役の瀬名は「私は花總さんとは違い、こんなにじっとしている役は初めてなんじゃないかというくらいじっとしてます。なので、内面的にはアクティブに、体はじっとしていようと思っています」と笑いながら、「この5人の空気感を舞台でも表現したいと思いますし、何よりも(SUNNYメンバーの学生時代を演じる)若者たちが本当に素晴らしくて、彼女たちに力をもらっています」と語った。
大変貌を遂げセレブな暮らしをするみどり役の小林は「みどりは高校生の頃から口が悪いんです。汚い言葉を発しているので、私も罵り言葉に挑戦していまして、これが難しくて、悪戦苦闘しているので、そこも見てもらえたら」と稽古での苦労を明かす。
保険会社で働く桜役の馬場園は「躍動感あふれる役なので、皆さんの足を引っ張らないように全力で本番に向けて稽古を完璧にしたいと思います」と話し、裕福な家庭で育つも現在は生活苦にある好恵役の佐藤は「作品自体が、懐かしいな、こういうのあったなと自分が育ってきた環境を思って共感できるところがたくさんあるので、そういうところも見てもらいたいです」とアピールした。
学生時代の奈美を演じる渡邉は「奈美の成長していく姿が目に見えて分かると思うので、私も奈美と一緒に成長していけるように頑張りたいと思います」と力を込め、「同世代の方たちがたくさんいるので、励みにもなります。私も高校時代の青春を再び取り戻しているような気分になって稽古も楽しくやっています」と笑顔を見せた。
学生時代の千夏役の須藤は「大人になると悩みや闇もあると思いますが、高校生チームがキラキラしていればしているほど、その対比が出ると思うので、それが出せればいいなと思っています」とにっこり。
探偵をはじめとした8役を担当する片桐は「おじさんは全部僕が演じます。いろんなおじさんが出てきたと思ったら、一人だったの? って言われたらいいなと思ってます。皆さんのお手伝いをできたらと思っています」とコメントした。
「青春時代の自分に伝えたいメッセージは?」という質問が上がると、瀬名は「私は、今が青春時代だと思っている」と言いながらも、「宝塚時代のことを言えば、そんなに生き急がなくていいよって言ってあげたいです。やることに追われて、自分がやりたいことも後回しだったから、もう少し肩の力を抜いてもいいんじゃないかなと言ってあげたい。でも、それが青春だったのかもしれませんね」と振り返った。
花總は「青春時代はとにかく思いっきり、はちゃめちゃで、2度と戻ってこない10代です。今から振り返ると10代はいいなと思うので、精一杯いい汗を流して、アオハルを満喫して欲しいと思います」と過去の自分に呼びかけた。
そして最後に、花總は「練りに練ってみんなで一生懸命頑張っている最中ですが、間違いなく期待は裏切りません。それ以上のものをお届けできると思って、一丸となって頑張っています。誰でも共感できる物語ですので、一緒に見て一緒に楽しんで、共有できたらと思います」と改めてアピールし、会見を締めくくった。
なおこの日は、花總、瀬名、小林、馬場園、佐藤の歌唱による「SUNNY」、渡邉と須藤、川村咲季、横岡沙季、伊藤友惠、伊藤彩夏、池田晴香、飯沼帆乃佳、菊田万琴、浅倉智尋、寺田彩乃によるダンス&歌唱「ダンシング・ヒーロー」が披露された。
ミュージカル『SUNNY』は、6月26日(月)から7月5日(水)まで東京・東京建物Brillia HALL、7月9日(日)から7月13日(木)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演される。
(取材・文・撮影/嶋田真己)
ミュージカル『SUNNY』公演情報
上演スケジュール
【東京公演】2023年6月26日(月)~7月5日(水) 東京建物 Brillia HALL
【大阪公演】2023年7月9日(日)~7月13日(木) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
スタッフ・キャスト
【脚本・演出】西田征史
【振付】akane
【出演】
花總まり、瀬奈じゅん、小林綾子、馬場園梓、佐藤仁美/
渡邉美穂、須藤茉麻/
片桐仁/
川村咲季、横岡沙季、古沢朋恵、伊藤友惠、伊藤彩夏、池田晴香、飯沼帆乃佳、菊田万琴、浅倉智尋、鈴樹志保、井阪郁巳、寺田彩乃