古川雄大らが挑んだ熱き“言葉”の戦い『シラノ・ド・ベルジュラック』レポート

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古川雄大らが挑んだ熱き“言葉”の戦い『シラノ・ド・ベルジュラック』レポート

舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』が、2022年2月7日(月)のプレビュー公演を経て、東京芸術劇場 プレイハウスにて開幕する。プレビュー前日には公開ゲネプロと取材会が行われ、主演の古川雄大、馬場ふみか、浜中文一、翻訳・演出の谷賢一が登壇した。

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古川雄大らが挑んだ熱き“言葉”の戦い『シラノ・ド・ベルジュラック』レポート

本作は、17世紀フランスに実在した詩人にして剣豪であるシラノを主人公としたエドモン・ロスタンの戯曲を、イギリスの劇作家マーティン・クリンプが現代的な脚色した作品。2019年秋にロンドン・プレイハウスシアターにて上演され、2020年にローレンス・オリヴィエ賞にて最優秀リバイバル賞を受賞した。マーティン・クリンプ脚色版の日本上演はこれが初となる。

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古川は、これが約10年ぶりのストレートプレイ主演作。古川、馬場、浜中のほか、大鶴佐助、章平、堀部圭亮、銀粉蝶らが、古川と共にこの“言葉で戦う演劇”に挑んでいる。

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物語の舞台は中世パリ、詩人にして剣豪、哲学者であり理学者と、多才だが“大きすぎる鼻”という醜い容姿をコンプレックスに持つシラノ(古川)は、秘かにいとこのロクサーヌ(馬場)に心を寄せていた。ある日ロクサーヌに呼び出されたシラノは彼女の想い人が美男のクリスチャン(浜中)だと聞かされる。

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手紙を送って欲しいとロクサーヌからクリスチャンへの言付けを頼まれたシラノだったが、彼は“言葉”に乏しくその恋心を伝えるすべを知らなかった。シラノはクリスチャンの代わりにロクサーヌへの手紙を書かせてくれと提案する。自分の恋心を隠しあくまでも詩人としてのスキルアップのためだと言って・・・。

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中世を彷彿とさせる華やかな衣装や帽子はなく、小道具もない。スタイリッシュで現代的な装いに人々は身を包み、主人公であるシラノはその特徴的な鼻もメイクアップしていない。舞台上にあるのは無骨で巨大な鉄組の階段と時折現れるマイク。マイクを手に取りそれぞれが思いのたけを語る。

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ペンは剣よりも強し。ラップバトルを繰り広げる物語冒頭でのシーンでは、熱いビートに詩的な台詞を乗せていく。白熱するその様子はまさに騎士の決闘だ。シラノがクリスチャンの代筆で語っていたのに気持ちを抑えきれずにマイクを奪い、ロクサーヌへの抑えきれない想いが口からこぼれ出すように語るシーンには胸を打たれた。

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「衣装や帽子、すべてなくしたら何が残る?“言葉”だけだ」と英国初演に出演したジェームス・マカヴォイは語っている。“言葉”にフォーカスを当てることで観客は想像力を掻き立てられ、“言葉”の強さをたきつけられる。熱い“言葉”の応酬に日本語の美しさが加わった新たな『シラノ・ド・ベルジュラック』がここに生まれた。

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取材会で古川は「いよいよ日本初上演!谷さんにしかできない、ここでしか観られないものに出来あがったと思うのでたくさんの方に観ていただきたい。この日を迎えてほっとしていますが、まだまだ気が抜けません。先日開幕した北京オリンピックに向けて選手の皆様の活躍を励みにして、一致団結して千秋楽までがんばっていきたいと思います」と開幕目前の気持ちを語った。

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また、馬場は「こんなにいっぱい本読みをした稽古は初めて。何回も何回も読んで、読み解いた先での立稽古でした。この作品自体“言葉”をすごく大切にしているので、ひとつひとつの“言葉”の意味の裏をみんなで理解しながら進める稽古は新鮮でよい時間でした」と稽古場での思い出を振り返った。

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一方、浜中は「僕は最初から出来すぎちゃって・・・10日間くらいお休みをいただいて、“お前完璧すぎるから一回頭冷やしてこい”って、まぁそれは嘘なんですけど(笑)」と冗談を飛ばしつつ(浜中は先月新型コロナワクチンに感染し療養し回復した)、「途中からの稽古参加にも温かく迎え入れてくれた楽しい稽古場でした!」と笑いを交えて会場を和ませた。

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翻訳・演出の谷は「目の前の人がたった一言発するだけで、想像力は無限に広がる。何か一言を劇場にぽんっと置いて、そこから広がる世界や、つながる空想と連想を楽しんでいただけたら。言葉を手掛かりに想像力を表現するようなことが出来たらいいなと思っているので、ぜひ劇場に足を運んでいただけたたらと思います」と本作にかける気持ちを語った。

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最後に、古川が「この作品の魅力を皆様に伝えるべく、毎公演、魂を込めて舞台に立ちたいと思います。先ほども申しあげたとおり、北京では今熱い戦いが繰り広げられていますが、ここ池袋の東京芸術劇場では“言葉”の熱い戦いを繰り広げたいと思いますので、ぜひ足をお運びいただけたらと思います!」と熱い想いをファンに呼びかけ締めくくった。

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舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』は、2月7日(月)のプレビュー公演ののち、2月20日(日)まで東京芸術劇場・プレイハウス、2月25日(金)から2月27日(日)まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて上演。上演時間は第一幕90分、休憩20分、第二幕55分の計2時間45分を予定。

(取材・文・撮影/カヤシマヒデミ)

目次

『シラノ・ド・ベルジュラック』公演情報

【東京公演】2022年2⽉7⽇(月)~2⽉20⽇(日) 東京芸術劇場 プレイハウス
※2⽉7⽇(月)はプレビュー公演
【大阪公演】2022年2月25日(金)~2月27日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA TT ホール

スタッフ・キャスト

【作】エドモン・ロスタン
【脚色】マーティン・クリンプ
【翻訳・演出】谷賢一

【出演】
シラノ・ド・ベルジュラック:古川雄大
ロクサーヌ:馬場ふみか
クリスチャン:浜中文一
リニエール:大鶴佐助
ル・プレ:章平
ド・ギーシュ:堀部圭亮
マダム・ラグノ:銀粉蝶

秋葉陽司 植田順平 函波窓 西山聖了 花戸祐介 福原冠 ホリユウキ 村岡哲至

【公式サイト】https://www.cyrano.jp/



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この記事を書いた人

演劇好きが功を奏してフリーの演劇ライターとして活動中。
演劇の面白さを垣根を超えて伝えたい!
舞台、映画、音楽、アート、全方向のエンタメ好きです。

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