植原卓也、平間壮一、水田航生ら「3LDK」が3人だけで魅せる!ミュージカル 『ミア・ファミリア』 公開ゲネプロ・取材会レポート

当ページには広告が含まれています
植原卓也、平間壮一、水田航生ら「3LDK」が3人だけで魅せる!ミュージカル 『ミア・ファミリア』 公開ゲネプロ・取材会レポート

2023年11月24日、東京・東京芸術劇場シアターウエストにて、ミュージカル『ミア・ファミリア』が開幕した。韓国発コメディ・ミュージカルの日本初演であり、植原卓也、平間壮一、水田航生によるユニット「3LDK」が初共演を果たす作品として、開幕以前より注目を集め、期待が寄せられていた本作。この記事ではゲネプロの様子と、「3LDK」の3人が登壇した会見の模様をお届けする。

韓国を熱狂させたノンストップミュージカルコメディである『ミア・ファミリア』。日本版脚本・演出を安倍康律、訳詞を森雪之丞が担当している。

物語の舞台は1930年代のニューヨーク、イタリア人労働者たちが集う「アポロニア イン&バー」。明日には閉店してしまうそのバーで、ボードビル俳優のリチャード(平間壮一)と、同じくボードビル俳優であるリチャードの友人オスカー(水田航生)は、最後の公演の準備をしていた。そこに突然マフィアの手下であるスティーヴィー(植原卓也)が押しかけてきて、ボスの自伝『ミア・ファミリア』を上映することを要求する。

『ミア・ファミリア』のリハーサルを始めるリチャードとオスカー、そしてなぜかリハーサルに巻き込まれていくスティーヴィー。登場人物は、個性溢れるこの3人だけ。物語はどんな結末に向かっていくのか。そして、それぞれが見つけた「居場所」とは。

植原卓也、平間壮一、水田航生ら「3LDK」が3人だけで魅せる!ミュージカル 『ミア・ファミリア』 公開ゲネプロ・取材会レポート

舞台が人生の全てだったリチャードは、バーの閉店により自分の居場所を失うことに大きな不安を抱えている。そんなリチャードを演じるのは平間壮一。平間の巧緻で繊細な芝居が、リチャードのナイーブでセンチメンタルな内面を見事に表現するさまには息を呑んでしまう。

持ち前の身体能力を生かしたキレのあるダンスや振る舞い、要所で披露される豊かで無二の歌唱、そして平間自身が纏うどこか洒脱な雰囲気。もちろん芝居も加えて、その全てが、役だけにとどまらず『ミア・ファミリア』という作品の世界観にぴったりだ。

植原卓也、平間壮一、水田航生ら「3LDK」が3人だけで魅せる!ミュージカル 『ミア・ファミリア』 公開ゲネプロ・取材会レポート

リチャードの友人・オスカーは、最後の公演前だというのに金持ちの娘との結婚のことで頭がいっぱいである。要領良く立ち回っているように見えるオスカーだが、彼にはそれゆえの葛藤があるようだ。水田航生のひたむきなパフォーマンスが、そんな彼の心情に客席をも寄り添わせる。人間の良さや愚直さが垣間見えるのは、水田自身の持つ魅力の表れだろう。

また、コメディ要素も強い本作であるが、水田には特に笑いへの貪欲さを感じた。至るところに笑いを散りばめ、客席の笑いを誘う水田。シリアスな芝居とのギャップが非常に印象的である。

植原卓也、平間壮一、水田航生ら「3LDK」が3人だけで魅せる!ミュージカル 『ミア・ファミリア』 公開ゲネプロ・取材会レポート

自身が執筆したというボスの自伝『ミア・ファミリア』を携えてバーに押しかけるマフィアの手下・スティーヴィー。彼もまた、内面に複雑なものを抱えている様子。物語において特に異質の人物であるスティーヴィーに、「3LDK」の最年長でもある植原卓也の、威厳あるたたずまいがぴったりはまる。重厚な存在感の底に、柔らかさをも併せ持つ植原の芝居や歌唱は必見・必聴である。

またスティーヴィーは、冷酷である一方どこか抜けていて可愛らしい。マフィアという役柄との「ずれ」を感じさせる部分が、シュールでとても面白い。ゲネプロ前に行われた会見の中で、役と植原との似ている部分について水田が「クールに見えるけど愛おしさが滲み出るところ」と語っていた。植原の実力と彼自身のチャームポイントが、スティーヴィーをより心惹かれる人物にしているに違いない。

植原卓也、平間壮一、水田航生ら「3LDK」が3人だけで魅せる!ミュージカル 『ミア・ファミリア』 公開ゲネプロ・取材会レポート

本作は約2時間、休憩なしの上演であるが、その1分1秒たりとも舞台から心を離れさせない安倍康律の演出がにくい。劇中劇を交えながらの展開は興味深く、テンポが良く勢いがありながら物語が進むにつれ理解度はきちんと深まっていく構成にどんどん引き込まれ、ポップで楽しい部分とシリアスな部分との緩急にはっとさせられる。

会見にて植原が「コメディとしっとりとした場面とのバランス」に気を配りながら稽古に挑んだことを語ったが、実際に舞台の時間を先へ先へと進めていくキャスト3人の力強さも頼もしい。ラストの演出には胸が高鳴った。もう一度観たい!と思うこと請け合いである。

劇中劇が展開されることもあり、軽快なものからしっとりと聴かせるもの、どこかクラシカルなものまで、多彩なナンバーを楽しめるのも本作の大きな魅力である。一人ひとりの歌唱だけでなく、2人、また3人でのハーモニーも存分に聴くことができて、その唯一無二の響きに聴き入ってしまう。

音楽そのものだけでなく、森雪之丞による印象的な訳詞にも耳を傾けたい。抵抗なく流れていく耳心地の良さを持っているにもかかわらず、観終わったあとに口ずさむことができてしまうような言葉選びが秀逸だ。加えて、ダンスナンバーにおける3人は目を見張るほど鮮やか。大村俊介(SHUN)による振り付けもまた、彼らの持ち味を余すことなく引き出し、おおいに輝かせている。

そして、これらの作品の魅力すべて、「3LDK」でなければ生まれ得なかったものだろう。長年一緒にやってきたからこその頼もしさや刺激が会見でも強調されたが、3人の実力、多才さ、個性、そして息の合ったプレーがなければ、この『ミア・ファミリア』は完成しなかったと思える。植原卓也、平間壮一、水田航生一人ひとりの良さを、そして「3LDK」の良さを、贅沢に、思う存分堪能できる作品だ。

植原卓也、平間壮一、水田航生ら「3LDK」が3人だけで魅せる!ミュージカル 『ミア・ファミリア』 公開ゲネプロ・取材会レポート

ゲネプロの前に行われた会見では、この作品へ挑むにあたっての意気込みが3人から語られた。植原は、本作が発表された際の期待の声を振り返り、「チケットを握りしめて待っていてくださった皆さまに早くいい形でお届けしたいと思って日々を過ごしてきたので、ようやくこの日が来たと思いとても嬉しい気持ちです。一生懸命頑張っていきたい」と決意を述べた。

植原卓也、平間壮一、水田航生ら「3LDK」が3人だけで魅せる!ミュージカル 『ミア・ファミリア』 公開ゲネプロ・取材会レポート

平間は「真剣に稽古に向き合ってきたぶん、劇場に入って、この距離感で公演ができることが本当に嬉しいとしか思えない」と喜びをあらわにする。また本作について、パワーを使う作品であるものの苦しさはあまり感じず、「不思議と好きになっちゃう、魔法のように愛せちゃう作品」だとし、「これから観てくださる皆さんにもそう思っていただけたら嬉しいなと思っている」と語った。

植原卓也、平間壮一、水田航生ら「3LDK」が3人だけで魅せる!ミュージカル 『ミア・ファミリア』 公開ゲネプロ・取材会レポート

「これからゲネプロがありますんで、テンション上げていかないと!」と言いながら声を張る水田に、「緊張してる!?」とすかさず突っ込む平間。水田は「今日まじで緊張してる! このまま3人で駄弁っていたいくらいです!(笑)」と会場を笑わせながらも、「ギリギリまで“より良くする”をモットーにやってきたこの作品が、どう受け入れてもらえる未知数です。その瞬間に生まれるお客さんとのキャッチボールみたいなものが、とってもいい形になって、天に昇華していってくれればいい」と、(最後まで平間に愛ある茶化しを受けながら)力強く述べた。

会見は終始楽しげな雰囲気で進行。3人の仲の良さや確立された立ち位置がうかがえて、本編への期待が高まった。

ミュージカル『ミア・ファミリア』からは、関わる全ての人の舞台への情熱、そして熱い魂が感じられる。さながら舞台賛歌のようなこの作品で、満を持して「3LDK」が初共演を果たす。観劇すれば、「3LDK」の3人への愛も、舞台への愛も、高まるに違いない。

本作は11月24日(金)から12月3日(日)まで東京・東京芸術劇場シアターウエスト、12月23日(土)から12月24日(日)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演。また、11月29日(水)夜公演は、ライブ配信(アーカイブ付き)されることが決定している。

(取材・文・撮影/矢島春花)

目次

ミュージカル『ミア・ファミリア』公演情報

スケジュール

【東京公演】2023年11月24日(金)~12月3日(日) 東京芸術劇場シアターウエスト
【大阪公演】2023年12月23日(土)~12月24日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

ライブ配信

【配信日時】2023年11月29日(水)19:00
(アーカイブ付き:生配信終了後~2023年12月6日(水)23:59まで)
【販売期間】11月26日(日)11:00~12月6日(水)20:00
【配信視聴チケット料金】4,500円(税込)
【視聴チケットの購入・配信】PIA LIVE STREAM(ぴあライブストリーム)
https://w.pia.jp/t/miafamiglia/

スタッフ・キャスト

【脚本・作詞】イ・ヒジュン
【作曲】パク・ヒョンスク
【訳詞】森雪之丞
【日本版脚本・演出】安倍康律

【キャスト】植原卓也 平間壮一 水田航生

【公式サイト】 https://miafamiglia.jp/
【公式X(旧Twitter)】@miafamiglia_jp

植原卓也、平間壮一、水田航生ら「3LDK」が3人だけで魅せる!ミュージカル 『ミア・ファミリア』 公開ゲネプロ・取材会レポート

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

エンタステージは、演劇初心者からツウまで、演劇に関する情報、ニュースを提供するサイトです。サイトを訪れたユーザーの皆さんが、情報をさらに周囲に広めたり、気になる作品や人物などを調べたり・・・と、演劇をもっと楽しんでいただける情報を発信していきたいと思います。

目次