天海祐希×アダム・クーパーによる世界初演となる新作書き下ろし舞台『レイディマクベス』フォトコールレポート


2023年10月1日(日)に東京・よみうり大手町ホールにて『レイディマクベス』が開幕した。初日前日にフォトコールと会見が行われ、天海祐希アダム・クーパー、鈴木保奈美、要潤、宮下今日子、吉川愛、栗原英雄、ウィル・タケット(演出・振付)が登壇した。

本作は、ウィリアム・シェイクスピアの『マクベス』に登場する主人公マクベスの妻でありながら、悪女の代名詞のような存在として知られる「マクベス夫人」が、なぜ名前を与えられなかったのか、彼女が手に入れたかったものは何だったのか、その理由を探求すべく誕生した作品。

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世界初演となるこの新作書き下ろし作品は、英国気鋭の若手女性作家ジュード・クリスチャンが描き出し、本年3月寛一郎の初舞台となった『カスパー』も記憶に新しいオリヴィエ賞受賞演出家のウィルが手掛ける。

レイディマクベス役は、常にトップを走りづける天海が挑み、その人生の伴侶であるマクベスを2022年2月ミュージカル『Singin’ in the Rain ~雨に唄えば』で、オミクロン株感染拡大による事実上の「鎖国」の中、長期の隔離に耐え、日本の観客のために入国を果たし、劇場中を幸せに包んだアダムが初めて単身で日本の新作プロダクションに参加する。

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そして、統治者と血縁関係にあることから、常に「特権」という安心感の中で育ち、レイディのそばで強かに生き抜くマクダフ役に鈴木、幼少期からのレイディを知る彼女の幼馴染であり野心家のバンコー役に要、マクベスとレイディマクベスと共に戦場で戦い、二人を「師」として仰ぐレノックス役に宮下、レイディが戦場に戻ることができなくなった要因でもある出産で生まれた娘役を吉川、そして国の統治者ダンカン役に昨年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の大江広元役でその存在感を知らしめた栗原といった豪華俳優陣がここに勢揃いし、新作に挑む。

フォトコールでは第4幕が公開された。国王のダンカンが亡くなり、そのことを伝えるためにレイディが、マクベスの待つ2人の寝室へと入っていくシーンから始まる。そして、レイディがマクベスに国王が亡くなったと伝え、マクベスが今度は国王になるのだが、そのマクベスは戦場に出たことによるトラウマに苦しんでいた。そこで、レイディはマクベスに国王になるように説得し、マクベスが王位につく戴冠式が行われる。

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フォトコールで公開された場面は、戦場のトラウマに苛まれ、心の中に閉じこもるマクベスを象徴するかのような天井まで伸びた鳥かごを思わせるシンプルであるが故に目を引く舞台セットが、まず印象的だった。

そこに、天海とアダムの2人が無言で確かめ合う姿は、照明の光と影を伴い、2人の肉体表現が鮮烈なまでに心に刻まれる。さらに、戴冠式のシーンは少ない人数でありながらもアダムを筆頭としたキャスト陣の荘厳にして、神々しい演技により迫力あるシーンへと作り上げられていた。

会見では、まずウィルが「稽古では素晴らしい時間を過ごさせていただきました。キャストの皆さん、照明、デザイナー、音響、素晴らしいクリエイティブチームと共に素晴らしい作品を作り上げられたと思います」と感謝を述べ、「新作を上演するのは常に難しいことなんですが、素晴らしく才能があり、辛抱強く広い心で稽古をしてくださったキャストの皆さんがいらっしゃったからこそ、これが可能になりました」とキャスト陣を称賛。

本作について、「フォトコールのシーンでは、作曲家の岩代太郎さんが作ってくださった美しい音楽があります、この作品に最後の仕上げの要素を加えてくださったと思います。この作品は非常に面白い作品で、シェイクスピア作品のオリジナルである『マクベス』を基にしつつ、現代の女性の役割というテーマを持った作品となっています」と解説した。

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初日を迎えることに関して、天海は「本当に素晴らしいキャスト、スタッフの方とご一緒させていただけて幸せに思っております。あっという間の稽古期間ですごく正直ドキドキしていますけど、皆さんに楽しんもらいたいです」と期待を寄せた。

アダムも「とてもワクワクしていると同時にとても緊張しています。日本語のお芝居に出演するのは初めてで、セリフもほぼ日本語、日本人のキャストの皆さんと一緒にやるということでとても緊張していますが、皆さんに本当に助けていただきまして、自分としては落ち着いて初日に臨める気分でおります」と初日を迎えての心境を明かした。

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鈴木は「約1年前にお話を頂いて、こんな夢のようなお話があるんだと思いました。それから台本を頂いて、リハーサルが始まって、でもなんだかまだ夢の中にいるようです。1か月のリハーサルが終わり、この期に及んでもまだ夢じゃないかと思ったりしています」と笑顔で語りながら、改めて「まだあんまり現実味がありませんので、これからもう一回ギアを入れ直そうと思っております」と気を引き締めた。

要は「台本を読んだ瞬間にこんな素晴らしい作品に僕が出ていいんだろうかという不安と期待を持ちつつ、稽古が本当に早く過ぎてしまって、もう稽古が終わりなんだと思ったんですけど、その充実した皆さんとの時間の中、一つ一つのセリフをみんなで話し合いながら、より魅力的な作品につなげていくという作業がしっかりできたなと実感しています」と自信を覗かせた。

宮下は「1か月ちょっと稽古をしてきて、本当にみんなで話し合って助け合ってきました。自分の役じゃないこともいろいろ話し合って、お稽古してきて、チームワークは完璧だと思うので、初日に向けて、ますますみんなで臨みたいと思います」とコメント。

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吉川は「本当に素晴らしいキャストさんの中で、舞台初心者の私が入っていいものなのかずっと緊張していました。、ウィルさんをはじめ、キャストの皆さんにいろんなアドバイスを頂きまして、技術だったり話し方だったり、いろいろと教えてくれて、それを初日から全力で出し切りたいです」と稽古を振り返りながら、意気込みを披露した。

PARCO PRODUCE『ピサロ』でもウィル演出を受けていた栗原は「また今回、ご一緒することにあたって、またしつこい演出を今回も受けまして(笑)、なかなか素晴らしい作品になっていると思います」と冗談を交えながら心境を明かし、「最後まで、この忍耐強く寛大な7人で誰一人欠けることなく大千秋楽を迎えるまで集中して公演を行ってまいりますので、よろしくお願いいたします」と語った。

キャストについてコメントを求められた、ウィルは「世界中で仕事をしてきましたけど、これほど寛大で素晴らしい皆さんとお仕事ができたのは初めてだと思っています」と絶賛し、「ご覧いただけると分かるように、皆さん僕の言葉を真面目に受け取ってはくれずに、絶対にいつも笑っています(笑)」と語り、カンパニーの仲の良さを感じさせた。

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そのウィルの演出について、天海は「とても良い意味で細かく話しをしてくださって、一つの疑問があると、ちゃんとみんなと話しができるような稽古場にしていただいた気がします。私たちの動く感情をちゃんと汲み取ってくださるんだなということに、とても感激しました。ですけど、だんだんウィルさんが望まれていることと、自分がそこに追いついていないことがすごく申し訳ない気持ちになっていって、でも、そこをちゃんと置いてけぼりにせず、ウィルさんこそ忍耐強く私たちに向き合ってくれて、とても感謝しています」と述べた。

30年以上もウィルと仕事をしてきたアダムも、東京の地で一緒にクリエーションしたウィルについて「ウィルがこの企画を演出すると聞いた時に安心しました。ウィルは演出家としても振付家としてもとても面白い人だと思っています。彼のアプローチ方法は普通と違っていて、ダンサーにしろ役者にしろ、一つのビジョンに向かって、一つのストーリーを作り出すために、みんなを一つにするというもので、彼のやり方はすごいものがあります」と褒め称えた。

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さらに、ウィルとの稽古場のエピソードとして、要は「シリアスな場面が多いストーリーなんですけど、稽古場はいつも笑い声に包まれていて、笑いが止まらなくてそのままお芝居しそうになって、ウィルさんに『これはシリアスな作品だからね』と何回も止められたぐらいです」と披露。宮下も「演出席を見ると、ウィルさんはだいたい少年のような顔でニヤリと笑っていて、悪い顔をしている時は、私と愛ちゃんがウィルさんから最後にちょっとディスられるんです(笑)」と明かすと、吉川は「私はイジりやすいんですかね(笑)。でも、嬉しいことです」とはにかみ、和気あいあいとしたカンパニーの姿を見せていた。

アダムとの共演について、彼のファンだという天海は「ご褒美ですね。それに尽きます。毎日がご褒美です。それだけです!」と即答し会場を笑わせると、アダムは「天海さんという誰もが知るアイコン的な存在の方と一緒にできるということだけでなく、稽古場で彼女が仕事をする姿を間近で見ることができたというのが、自分にとっても刺激を与えてくれて、感謝しています」と天海に言葉を返した。

そんなアダムに対して、天海は「稽古で煮詰まったりしても、ふと横を見るとアダムの穏やかな笑顔があって、『頑張れる!』と思っていました」と笑顔を見せながら、衣装合わせの際のエピソードとして「あまりにアダムがかっこよかったので、今日子ちゃんと一生懸命にアダムの写真を携帯で撮っていたら、演出助手の方から『それ以上、近づかないでください』と怒られました(笑)。とにかく、いつもかっこよくて、本当に素敵な方で、今でも共演できるのが夢じゃないかなと思っています」と告白。

その天海と宮下の行為に、アダムは「酷いですね(笑)」と答えて、会場の笑いを誘いつつ、改めて「本当に笑いの絶えない稽古場だったんですけど、自分にとっては初めて日本語をしゃべらなければいけない、日本語をずっと聴いていなければならないというストレスがある中で、笑える雰囲気があったのはとてもありがたいことでした」とカンパニーへ感謝を伝えた。

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最後に、天海が「私たちがこの『レイディマクベス』にかけている思いをぜひ舞台から感じ取っていただけたらなと思います。素晴らしい戯曲で、素晴らしいキャスト、素晴らしいスタッフでお贈りします。ぜひ来ていただけたらそれ以上の何かを持って帰っていただけるように頑張りたいと思います。ウィルさん曰く、『とても美しい舞台だ』と言ってくださっていますので、それをぜひ楽しみにしていただけたらと思います」と呼びかけて、会見を締めた。

『レイディマクベス』は、10月1日(日)から11月12日(日)まで東京・よみうり大手町ホール、11月16日(木)から11月27日(月)まで京都・京都劇場で上演。上演時間は2時間15分(途中休憩15分含)を予定。

(取材・文・撮影/櫻井宏充)

『レイディマクベス』公演情報

上演スケジュール

【東京公演】2023年10月1日(日)~11月12日(日) よみうり大手町ホール
【京都公演】2023年11月16日(木)~11月27日(月) 京都劇場

スタッフ・キャスト

【作】ジュード・クリスチャン
【演出】ウィル・タケット
【音楽】岩代太郎

【出演】
レイディマクベス:天海祐希
マクベス:アダム・クーパー
マクダフ:鈴木保奈美
バンクォー:要潤
レノックス:宮下今日子
娘:吉川愛
ダンカン:栗原英雄

公式リンク

【公式サイト】https://tspnet.co.jp/whats-ons/ladym/
【公式X(Twitter)】@TSP_produce

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