最高に熱い真夏の熱海を!『熱海殺人事件』バトルロイヤル50’s 稽古場取材会レポート


2023年8月4日(金)より上演される『熱海殺人事件』バトルロイヤル50’sの稽古場取材会が、7月20日(木)に行われた。つかこうへいが生んだ、名作戯曲が誕生して半世紀。今年は、荒井敦史・池田純矢、元乃木坂46の新内眞衣、高橋龍輝・三浦海里、多和田任益らを中心となり、50周年の舞台上で火花を散らす。

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1973年に文学座に書き下ろされる形で誕生した『熱海殺人事件』は、翌1974年に岸田戯曲賞を受賞し、以降、日本の演劇史上プロアマ問わず上演され続けてきた。日本の現代劇の戯曲で、これほど長く愛され続けている作品は稀有だ。

つかこうへいの没後は、2011年から岡村俊一のプロデュース・演出で、紀伊國屋ホールでの『熱海殺人事件』上演を継続。新たな世代へと魂を受け渡し続けてきた。今回は、岡村に加え、総合演出としてフジテレビエグゼクティブプロデューサーの河毛俊作(河毛は2001年のTVドラマ版『熱海殺人事件』の演出も担当)が加わり、経験者に新メンバーを加えた新たな座組でしのぎを削る。

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“東京警視庁にその人あり”と言われた木村伝兵衛部長刑事役には、2020年の『改竄・熱海殺人事件 ザ・ロンゲストスプリング』(演出:中屋敷法仁)、2021年1月の「ラストレジェンド」、同年6月の「新・熱海殺人事件」と3シーズンに渡り同役を演じている荒井に加え、「エン*ゲキ」シリーズなどで作家・演出家としても活動する池田が新たにWキャストとして参加。

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捨て身の潜入捜査を行うヒロイン・水野朋子婦人警官役は、新内が2021年より3年連続で同役を担う。東京警視庁に転任してくる熊田留吉刑事役は、つか作品を複数経験している高橋と、2021年の「新・熱海殺人事件」では犯人・大山金太郎役を演じた三浦がWキャストに。

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そして、犯人・大山金太郎役は、ダンスエンターテインメント集団「梅棒」メンバーであり、近年では振付なども手掛ける多和田が担う。なお、多和田は2017年「NEW GENERATION」・2021年「新・熱海殺人事件」に熊田役、2020年には『改竄・熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン』(演出:中屋敷法仁)で木村伝兵衛役を演じており、今回で男性役全役制覇する。

また、今回はメインキャストの「スタンダード公演」のほか、オーディションで選出したメンバーを加えた「フレッシャーズ公演」と「エキサイト公演」、ゲストありでキャストを入れ替える「シャッフル公演」が行われる。

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「フレッシャーズ公演」は、水野朋子役と大山金太郎役にオーディションメンバーを加えた公演。水野役は、パチンコ「海物語シリーズ」のキャンペーンガール「ミスマリンちゃん」10代目、TVドラマ『王様に捧ぐ薬指』(TBS)にも出演している小日向ゆか。大山役は、2022年度関西演劇祭にてベストアクター賞を受賞し、今年『新・幕末純情伝』にも出演した北野秀気が挑戦する。

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「エキサイト公演」では、昨年『初級革命講座飛龍伝』ヒロイン役を務め、映画『ヘルドッグズ』や主演映画『私の知らないあなたについて』などに出演した佐々木ありさが、水野役として登場。

このほか、ゲストも迎え、キャストを大胆に入れ替えた「シャッフル公演」や、50周年を記念しスペシャルゲストを迎えたトークショーも開催。“「熱海殺人事件」を若い世代にも繋げていきたい!”という想いから日にち限定で割引価格の公演を設け、「解説セミナー」を実施するなど、様々な取り組みを行う。

稽古場では、犯人・大山金太郎登場直前の10分程度のシーンが公開された。作品をご存じの方はイメージしやすいと思うが、『熱海殺人事件』は幕が開けたらノンストップ。一気に台詞渦巻く中、物語が進んでいく。今回、それぞれの登場人物に複数の出演者がいるため、稽古の中でも次々に出演者が入れ替わるが、流れを止めることなく突っ走るという異例のスタイルで行われた。

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木村伝兵衛役・池田とエキサイト公演の水野役・佐々木から、木村伝兵衛役の荒井と水野役の新内、熊田役の高橋へとバトンが渡される。そこへ、ついに犯人・大山役の多和田が登場。刑事たちが犯人を問い詰める中、「俺じゃあねぇよ」と口を開く大山。おなじみの「よろしく哀愁」を歌い上げ、ノリノリの中、木村伝兵衛役が池田、水野役がフレッシャーズ公演の小日向、熊田役が三浦に入れ替わり、大山に犯人の理想を求めると、大山役が多和田から北野に変わっている――というフルコース。

演じる役者たちが、個性全開で遠慮なしにぶつかり合う姿は、実にエネルギッシュ。めまぐるしくパワーバランスが変わっていく様は作品を象徴するようだ。また、Wキャスト・トリプルキャスト・どんな組み合わせでも、役者の魅力を最大限に輝かせる『熱海殺人事件』という戯曲の力も同時に感じられた。

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シーン公開のあとに行われた取材会では、まず、荒井が「50周年という節目に出演させていただけること、このメンバーでできることが嬉しいです。個人的には4回目の熱海なので、責務を全うしようと思います」と挨拶。

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一方、初参加の池田は「フレッシュな新人なので、何を言えば・・・」とおどけながら、「紀伊國屋ホールという劇場は自分にとってもなじみ深い劇場であり、そこで(劇作家としての)大先輩であるつか先生の作品を、記念すべきタイミングでやらせていただけることは光栄なことです。伝兵衛という役は、息継ぎなしでトライアスロンをやっているみたいな役なので、周りに助けてもらわないと一歩も前に進めないような状態です(笑)。なので、信頼し合って、この物語を最後まで完遂したいと思います」と語った(池田は「フレッシャーズ公演」と「エキサイト公演」に出演する)。

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そして、3度目の『熱海殺人事件』挑戦となる新内は「毎回、稽古をしている時はしんどい、しんどいと思っているんですが、本番が終わるとまたやりたくなる不思議な作品です。観に来てくださる方もそう思ってもらえたら嬉しいです。50年も上演が続くというのは、本当に力のある作品だからだと思うので、私も精一杯演じさせていただきたいです。いろんなパターンの公演、イベントなどもあるので、ぜひ楽しんでください!」とアピールした。

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高橋は、熊田役をWキャストの三浦と話し合いながら作っていっていると明かし、「三浦海里くんの熊田には負けないようにがんばります!」と宣言。すると、三浦も負けじと「高橋龍輝くんに負けないようにがんばります!」と呼応していた。なお、三浦は「フレッシャーズ公演」に登場。

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そして、『熱海殺人事件』の男役を全役制覇となる多和田は、「本当に光栄なことだと思うと同時に、大山を僕がやると、また新しい感じになると思うんです。観てくださった方が『多和田の大山もよかったね』ではなく、『あいつの大山も大山だったな』と思っていただけるように、今まで演じて来られた方々の良さも感じつつ、自分らしい大山の色も探しながら、全力で戯曲誕生50周年というタイミングに届けられたらと思っております」と意気込んだ。

そして、「エキサイト公演」の佐々木は「誠実に丁寧に、役とも人とも向き合って、素敵な作品に仕上げたいです。エキサイト公演なので、エキサイトしたいと思っております!」、「フレッシャーズ公演」の小日向は「プレッシャーも強く感じているのですが、皆さんに支えていただき、新内さんにもいろいろ教えていただきながら、がんばっております。本番も一生懸命、皆さんに何かを持って帰っていただけるようにがんばります」、同じく「フレッシャーズ公演」の北野は「大阪芸大で初めて熱海の台本を読んだ時から、やりてー!ってなっていたので、今、最高に幸せです。精一杯フレッシャーズとしてがんばります!」とそれぞれコメント。

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また、『熱海殺人事件』は春に上演されることが多かった(その理由は、おそらく「解説セミナー」で聞けると思うので、ぜひ気になる方は足を運んでみては)。異例の、真夏の『熱海殺人事件』上演ということで、稽古場から全力で熱い日々を過ごしているという面々。公演に向けて、「さらなる高みへ(荒井)」「失神しない(池田)」「全員から愛をもらって、全員に愛を伝える(新内)」「自分を超える(高橋)」「喉をつぶさない(三浦)」「一生懸命がんばる(佐々木)」「汗をたくさんかく(小日向)」「(お客さんの脳裏に)田園をイメージさせる(北野)」とそれぞれ目標を掲げる。

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そして、多和田が「よき20代の締めに。そして、あとは水野だけだな・・・です」と意味深な発言をする中、荒井は「つかさんに感謝しつつ、最高の夏の熱海を!イベント公演やシャッフル公演もございます。多和田さんの水野、どこかであるのかな(笑)?僕らスタンダード公演をやっている時、フレッシャーズは休んでいるわけではございません。劇場に来たら、全員に会えるかも、と匂わせつつ。よろしくお願いします!」と締めくくった。

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50周年記念特別公演『熱海殺人事件』バトルロイヤル50’sは、8月4日(金)から8月20日(日)まで東京・紀伊國屋ホールにて上演される。

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)

50 周年記念特別公演
『熱海殺人事件』バトルロイヤル 50ʼs公演情報

上演スケジュール

2023年8月4日(金)~8月20日(日) 紀伊國屋ホール

8月15日(火)18:00公演 50周年記念イベント
※通常公演は行わず/キャストは全員出演
8月16日(水)18:00公演 シャッフル公演
※誰がどの役で出るかは、幕が開くまでのお楽しみ
8月8日(火)・9日(水)・13日(日)・18日(金)は、開演前「解説セミナー」付き

スタッフ・キャスト

【作】つかこうへい
【総合演出】河毛俊作
【演出】岡村俊一

【出演】
木村伝兵衛部長刑事:荒井敦史・池田純矢
婦人警官水野朋子:新内眞衣(スタンダード公演)
佐々木ありさ(エキサイト公演)
小日向ゆか(フレッシャーズ公演)
熊田留吉刑事:高橋龍輝・三浦海里
犯人 大山金太郎:多和田任益・北野秀気(フレッシャーズ公演)

チケット

【チケット料金】
7,500円(税込/全席指定)※未就学児童入場不可
学生料金3,000円(学生証提示・当日引換・8月15日・16日除く)
熱海50周年記念割引5,000円(8月8日・9日・13日・18日のみ)

公式サイト

【公式サイト】http://www.rup.co.jp/







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