佐藤勝利、初めての朗読劇で黒柳徹子の恋人役『ハロルドとモード』レポート

演劇

『ハロルドとモード』が2022年9月29日（木）に、東京・EXシアター六本木にて開幕。初日前日には公開ゲネプロと取材会が行われ、黒柳徹子と佐藤勝利が登壇し初日への思いを語った。

1971年にアメリカで公開された映画『ハロルドとモード』は、ブラックユーモアを随所にちりばめながら、年齢差のあるちょっと変わった二人のラブストーリーと生きることの楽しさをコメディタッチに描き、世界中で熱狂的な支持を得た作品。1977年にジャン＝ルイ・バローの演出による来日公演が上演された後は、ストレートプレイやミュージカルなど、数々の上演形態で上演され続けている。

今回の上演は、数多くの舞台作品の脚本・翻訳・演出を手がけてきたG2が新たに脚本を書き下ろし、朗読劇として上演する3度目の公演。舞台セットや衣裳、照明、ピアノの生演奏と意匠を凝らし、朗読劇という枠組みを超えた作品創りで好評を博してきた。

79歳のチャーミングな女性モードを演じる黒柳は、1977年の来日公演を観劇して以来、出演を熱望し、2020年に長年の夢を実現。そこからはライフワーク公演として上演している。モードに恋する19歳のやんちゃな少年・ハロルド役は、2020年公演の生田斗真、2021年公演のジャニーズWESTの藤井流星から受け継ぎ、今回は佐藤が務める。

黒柳は、佐藤の印象を聞かれると「勝利くんは本当にハンサムで“（顔面）国宝”と言われているそうですが、いつも横からしかみてなかったんです。たまに正面から見ると、なるほどと思います。穏やかで一生懸命で、日増しに台詞も上手になっていく。落ちたものをパッと拾ってくれたり、とても気がつく方で、この頃の若い方では少ないと思います」と絶賛。

さらに「こういう一生懸命な方とご一緒できるのは素晴らしいことだと思います。ダメ出しがあると次の時にはきちんと言われた通りに直して、進歩しているのが分かるので偉いなと思って見ています」と話すと、佐藤は「これは放送してくださいね！嬉しいです」と満面の笑みを見せた。

一方、佐藤は黒柳について（2021年にハロルドを演じた）藤井から「徹子さんは本当に国宝の人だから、一緒にいられるだけですごい経験だった」と聞いたそうで、「国宝と国宝で、素晴らしい貴重な経験をさせていただけることになると思うので、楽しんで明日からの本番でも朗読していきたいと思います！」と語った。

今回、60歳差の恋人役となるが佐藤は「60歳差の『？（はてな）』を感じさせないように、ハロルドはこんなに素敵なモードだったら好きになるよねと思ってもらえるようにということを大事にしています。俯瞰で見るとすごいことだと思うけど、ハロルドとしては逆に（年齢差は）考えないようにしています」とコメント。

黒柳も「歳のことは考えず、モードという変わった女の人どうやったら面白くなるのかと思ってやっているので、いちいち何歳違うとは思っていない。それを思ったらやりにくくなってしまいます。ですが、どこか感じるところがピタッと一緒になった関係なのかもしれない。普通じゃないかもしれないけど、もしかしたら（そういうカップルも）いるのかもしれないと思うと、人間というのは素敵だなと思いながら稽古していました」と思いを明かした。

また、佐藤は今作が初めての朗読劇挑戦となるが「普通の演劇なら台本を持ったり、（稽古中でも）台本に目を落とさないようにしていますが、朗読劇はそれが逆。でも、伝えることや表現することという意味では同じだと思います。アプローチが全く逆というのは新鮮だと思いました」と朗読劇の面白さを語った。

今作が初共演となる黒柳と佐藤だが、佐藤にとって黒柳は思い出の人でもある。佐藤が「小学校4年生の時に、学校の担任の先生が毎朝、朗読をしてくれていたのですが、その作品が（黒柳が著した）『窓際のトットちゃん』だったんです。トットちゃんは、すごく自由で素敵な人だな、素敵な生き方だなと思っていました。徹子さんの作品を朗読で聞いていたので、まさかお仕事でしかも朗読劇で徹子さんとご一緒できるとは想像もしていなかったので、奇跡の交差をしたなと思います。担任の先生もガッツポーズしていると思います」と明かすと、黒柳は「素敵ね」とその“奇跡”を喜んだ。