藤ヶ谷太輔“色気が漏れすぎて”ダメ出し!?舞台『野鴨 -Vildanden-』フォトコール&会見レポート


藤ヶ谷太輔が4年振りのストレートプレイに挑戦する舞台『野鴨 -Vildanden-』が2022年9月3日(土)に東京・世田谷パブリックシアターで開幕。直前にプレスコールと会見が行われ、藤ヶ谷太輔、忍成修吾、前田亜季、浅野和之が登壇し、公演への意気込みなどを語った。

藤ヶ谷太輔“色気が漏れすぎて”ダメ出し!?舞台『野鴨 -Vildanden-』フォトコール&会見レポート

本作は、“近代演劇の父”と称されるヘンリック・イプセンの代表作の一つ。イプセンはノルウェーの劇作家で、19世紀ヨーロッパで主流とされていたヴィクトリア朝的な価値観(行きすぎた厳格さや節制を美徳とする偽善的な社会観念)を批評し、悪に立ち向かう高潔さを描いた勧善懲悪が期待されていた当時の演劇に革命をもたらした人物。シェイクスピア以後、世界で最も盛んに上演されてきた劇作家とも言われ、そんな近代演劇の創設者が1884年に発表したのがこの『野鴨』である。

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イプセンは、納屋を“嘘”、外の世界を“真実”、そして“野鴨”を我々人間に例えることで、自己欺瞞によって自らを守ろうとする人間の弱さや、独りよがりの正義を振りかざす愚かしさを表現。今作では、そんなイプセンの名作の演出を上村聡史が担当している。

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プレスコールの後に行われた会見には、藤ヶ谷、忍成、前田、浅野が登壇。主演を務める藤ヶ谷は「劇場、イプセンの作品、上村さんの演出と、全てが初めてで、こうして挑戦させていただける環境をありがたく思っています。この作品はすごく難しく思われるかもしれませんが、しっかり見て感じていただくことで現代に通ずるものも感じてもらえると思います。しっかりと見ていただくためには我々がしっかりとこの繊細な芝居をお届けしなきゃいけないと思うので、ドキドキと興奮とちょっとした怖さなど色々な感情が入り混じっています」と、初挑戦尽くしの本作で常に緊張感がある様子。あまりの緊張に「昨日、セリフを飛ばす夢を見ました。最悪な状態です(笑)。でも皆さんを信じて、皆さまからエネルギーをもらってこのカンパニーで最後まで走り抜けたいと思います」と、不穏な夢を見つつも逆に気合が入ったようだ。

また、自身が演じる役については「グレーゲルスのように正義感を振りかざすタイプは、結構上位に来るぐらい苦手なタイプなんですけど(笑)、でも自分の中にも無意識に正義感を振りかざしてるとこもあるんだろうなと考えるようになりました。演じていてすごく難しい人物ですけど、楽しいです」と語り、「テーブル稽古も初めてだったんですけど、1週間ぐらいでやらせていただいて、自分の役だけでなく、書かれていないところとか、歴史のことも上村さんに教えていただきながら進めていて。どういう人物なのか、みんなの意見を聞きながら咀嚼しながら一緒に作っていくことができて、新しい体験でした。すごく楽しかったです」と新たに体験する芝居の取り組み方法に感銘を受けたようだった。

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グレーゲルスの親友・ヤルマール役の忍成は「初日を迎えてやっとお客さん見ていただけるということでとても楽しいです。お話をいただいた時に本当に面白い話だなと思って、共演者の方々も素晴らしくて、稽古中はドキドキして不安な部分もあったんですけど作品自体がとても素敵な仕上がりになって僕も観客として見て見たかったなと思うほどです(笑)。それくらい素敵な作品になりました」と、作品の仕上がりに自信を見せている。

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ヤルマールの妻・ギーナを演じる前田も「初日を迎えられることが本当に奇跡みたいだなと感じています。来ていただける皆様に良いものをお見せしたいなという気持ちで頑張ってきました。140年前にイプセンが書いた物語なんですけど、はっとさせられるようなセリフなどもあって観ている方にもそういった部分を感じていただけたらと思います」と無事に初日を迎えられたことに安堵しつつ、意気込みを語った。

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そして、ヤルマールの父・エクダル役の浅野は「上村さんがキメの細かい演出をされる方で、今回は時間をとっていただいてテーブル稽古もしっかりしてきました。たくさんやってきたので、本当に非常に良い、質の高い作品に仕上がっていると思っています。ただひとつ、季節を間違えましたね。こういう暑い時期や芝居じゃないですね。早く脱ぎたくて仕方ない(笑)。ただ、良いお芝居になっています。ぜひお楽しみください」と冗談を交えつつ、自信たっぷりにコメントした。

座長を務める藤ヶ谷の本作での印象を忍成、前田、浅野に聞くと、忍成は「稽古の時は世間話をする余裕がなくて、その中で見ていた印象なのですが、とても美しいというか、色気があるなと思いました。雑談してるときは笑顔が素敵でかわいらしい感じなんですけど、舞台に立ったらオーラが違ってすごいなと圧倒されました。あと、一緒にお芝居を重ねる毎にインスピレーションをちゃんと受け止めていて、とても勘の鋭い方なんだなと思いました」と藤ヶ谷のギャップに驚いた様子。

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また、前田からは「真面目ですごく真剣に取り組まれていたのが印象的なんですけど、通しをしたあとのダメ出しで、『色気が漏れすぎている』と言われていて(笑)。もう少し抑えてとダメ出しをされていました」と裏話が明かされ、藤ヶ谷は「嬉しい事なんですけど、無意識なものなのでどうすればいいか分からず(笑)。僕の役はある意味美しさも必要なので、そういうところに活かしていければなと。普段よりも色気を落としてお届ければと思います(笑)」と冗談交じりに意気込む。記者から「落として何割くらいですか?」と質問が飛ぶと、「そうですね、普段がすごい高いので。20%くらいですかね。それでも皆さんには届くと思うので・・・」と茶目っ気話すと、「調子に乗るなよ」と浅野からツッコミが入り、キャスト一堂笑いに包まれた。切れ味鋭くツッコミを入れた浅野からも「色気は確かにありますね」と太鼓判を捺していた。

会見の終盤には、舞台を楽しみにしている方へのメッセージが。浅野は「しっかりとした稽古をやって、良い座組で舞台に立てると思うのでぜひ楽しみにしていてください」と語り、前田も「舞台美術や照明の光なども繊細に作られていますので、劇場でぜひ体感していただけたらなと思います」とコメント。忍成は「それぞれのキャラクターが本当に面白くて、どんな視点から見ても楽しめる舞台になってると思います。ぜひ劇場で楽しんでいただけたらと思います」とアピール。

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そして最後に藤ヶ谷が「本当に全てにおいて細かいところまでこだわって作りました。そういうところも皆さまに伝わると信じて表現し続けたいと思います。作品のテーマは現代に通ずるものも沢山あるので、しっかり見ていただけたら嬉しいです」とメッセージを送り、会見を締めくくった。

舞台『野鴨-Vildanden-』は9月3日(土)から9月18日(日)まで世田谷パブリックシアター、9月21日(水)から9月25日(日)まで兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで上演される。上演時間は、2時間45分(途中20分休憩あり)の予定。

(取材・文・撮影=エンタステージ編集部3号)

『野鴨-Vildanden-』公演情報

上演スケジュール

【東京公演】2022年9月3日(土)~9月18日(日) 世田谷パブリックシアター
【兵庫公演】2022年9月21日(水)~9月25日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

スタッフ・キャスト

【作】ヘンリック・イプセン
【訳】原千代海
【演出】上村聡史

【出演】
藤ヶ谷太輔、忍成修吾、前田亜季、八幡みゆき、
伊達暁、吉野実紗、山森大輔、齋藤明里、村上佳、
大鷹明良、浅野和之

あらすじ

豪商ヴェルレの息子グレーゲルスは久しぶりに山にある工場から戻り、幸せな家庭生活を送っている親友ヤルマールに再会する。そこで父ヴェルレの使用人だったギーナが、ヤルマールの妻になっていることを知り、ある疑惑が芽生える。

グレーゲルスとヤルマール二人の父親は、かつて工場を共同経営していたが、ヤルマールの父エクダルがある事件の罪を一手にかぶり投獄され、家族は没落してしまった。また、ヤルマールの妻ギーナは、過去に父ヴェルレとただならぬ関係があり、その負い目から、父ヴェルレはヤルマール家に援助を与えていた。

そのささやかな家族の幸福は、嘘で塗り固められた土台の上に立っていた。
友に真実を告げて、真の幸福な家庭を手に入れてほしいと願うグレーゲルスだったが・・・。

【公式サイト】https://nogamo2022.com/
【公式Twitter】@nogamo2022




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